定年後の収入と、退職までの収入をどう確保していくか?(高年齢雇用継続給付金と年金) | 年金アドバイザーが教える!楽しく学ぶ公的年金講座

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僕も日々勉強ですが、一人でも多くの方に年金の事を知って欲しいと思います。
年金は…正確に書くように努めてはいますが、少しでも年金の事を知っていただければ幸いであります。
一緒に年金について考えてみませんか?

こんにちは!
年金アドバイザーのhirokiです。
 
最近、文章が頭にまとまらずにちょっとスランプですね。
たまにそうやって、やる気というか書き方を忘れて自信を失ってしまう。
もうやめたいと思ってしまう。
こういう時は基礎に戻る。
いつもそうやって自信を失っては、基礎に戻っての繰り返しだった。
誰かに何とかしてもらうという事はできないので、こればかりは自分で何とか立て直すしかない。
 
絶不調だけど更新(;´∀`)


では本題です。
 
 
今現代は60歳定年を迎えても、その後も継続して働く人が多くなりました。
 
 
平成6年改正にて厚生年金の支給開始年齢の引き上げが決まって、同時に高年齢者雇用安定法により60歳未満の定年が禁止となりました。
 
昭和60年頃から女子の平均寿命がついに80歳台となりました(昭和30年頃は男子63歳、女子67歳だった)。
このまま年金支給開始年齢が60歳のままだと年金給付を過大にし、保険料負担にも限度があるから年金支給開始年齢の引き上げというのは兼ねてからの課題でありました。
 
 
そして平成6年改正時に、人生80年時代は65歳までは年金の一部と賃金を得ながら生活し、65歳以降は年金を中心に生活するというモデルが望ましいという考え方になった事で年金支給開始年齢の引き上げがやっと実現しました。
実現はしたものの、実際の引き上げ開始は平成13年(女子は平成18年から)からとなりました。
 
 
急激な高齢化と平均余命の伸びにより年金支給開始年齢の引き上げをしなければならないというのは昭和55年改正からの課題だったんですが、その後20年棚上げされたままだったんですね。
 
昭和55年改正、昭和60年改正、平成元年改正の時に国会に働きかけるも支給開始年齢引き上げは先延ばしにされてしまっていた。
 
何度も当時の厚生省が支給開始年齢の引き上げの重要性を訴えていましたが、ことごとく弾き返されていたわけですね。
これにより、将来世代の負担を先送りにしてしまったという現実があります。
 

 
年金の給付費は昭和45年はまだ1兆円にも満たなかったんですが、10年後の昭和55年には10兆円に膨れ上がり、平成元年には22兆円になって初めて社会保障給付費の半分以上を年金が占めるという状態になりました(現在の年間年金給付費は57兆円程)。
 
 
やっとの事で平成6年改正で支給開始年齢の引き上げが決まり、実際の引き上げは平成13年から始まりましたが、今もなお65歳未満でも厚生年金が支給されてる人は多くいます。
 
完全に65歳に引き上がるのは平成42年(新年号12年)です。
 

さて、支給開始年齢の引き上げに関しては随分のんびりした話ではありますが、60歳になってその後も継続雇用という人が増え、定年後の継続雇用というのは給与が下がる人が多いし年金も十分に支給されない形になったので、雇用保険から高年齢雇用継続給付金というものが支給される人もいます。

 
高年齢雇用継続給付金は下がった給与の最大15%が支給される(60歳到達時賃金に対して75%未満に下がった場合で、さらに61%未満に下がった場合は最大15%)。
 
高年齢雇用継続給付金は平成6年の年金引き上げの改正時に導入された。
 
 
 
というわけでですね、今回はその高年齢雇用継続給付金を貰いながら働くという場合を見ていきましょう。
 
なお、この8月というのは毎年この雇用継続給付金の上限額などの金額が変わる月なので注意しておく必要があります。
 
 
1.昭和32年5月16日生まれの男性(今は61歳)
 

20歳になる昭和52年5月から昭和55年3月までの35ヶ月は夜間の大学生だった。
この学生期間は国民年金強制加入だったから、納めなければならなかったが未納にした。
 

 
昭和55年4月から65歳の前月である平成34年(新年号4年)4月までの505ヶ月は厚生年金に加入するものとします。
 
 

ちなみにこの男性の昭和55年4月から平成15年3月までの276ヶ月の平均給与(平均標準報酬月額)は35万円とします。

平成15年4月からは賞与も年金額に反映するようになり、平成15年4月からこの人の年金支給開始年齢である63歳の前月である平成32年4月までの205ヶ月の平均給与(平均標準報酬額)は48万円とします。
 
 
なお、60歳に到達した平成29年5月15日時点の60歳到達時賃金は50万円だったとします(60歳到達時賃金というのは60歳前6ヶ月に支払われた賃金の合計を180で割った額を30倍した額)。
 
 

60歳以降は賃金が24万円(標準報酬月額も24万円)に下がった。
 
 
24万円は50万円に対して48%にまで落ちてしまった。
 
 
しかし、平成29年8月1日以降の60歳到達時賃金の上限は469,500円だったため、24万円は469,500円に対して51.1%となる。

 
まあいずれにせよ61%未満に下がってるので、下がった給与の24万円に15%が支給される。
 
・高年齢雇用継続給付金→24万円×15%=36,000円
 
 
よって、給与がこのまま24万円とすれば65歳到達月までは36,000円の支給となる。
 
ただし、途中の給与がもし469,500円の75%以上(352,125円以上)になったらその月の給付金は1円も支給されない。
 
 
で、この平成30年8月1日からこの60歳到達時賃金の上限469,500円が472,200円に上がった。
 
という事は、472,200円に対して24万円は50.8%になる。
 
 
しかし、給付金額としては36,000円で変わらない。
 
 
 
 
次に、この男性は63歳に到達する平成32年(新年号2年)5月から自分自身の老齢厚生年金の受給権が発生する。
 
まずその老齢厚生年金の金額を算出。
 
 
老齢厚生年金(報酬比例部分)→35万円÷1000×7.125×276ヶ月+48万円÷1000×5.481×205ヶ月=688,275円+539,330円=1,227,605円(月額102,300円)
 
 
この月額102,300円は平成32年6月分から発生。
 
 
 
さて、この男性は65歳になる平成34年(新年号4年)5月まで厚生年金に加入して働く事になっています。
 
 
 
という事は、給与額によっては年金額が停止される在職老齢年金が適用される。
 
 
停止額がかかるかどうかを見てみる。
 
 
・在職老齢年金による停止額→{(24万円+年金月額102,300円)-28万円}÷2=31,150円の停止額。
 
 
さらに、この男性は高年齢雇用継続給付金を貰ってるので更に年金の停止が入る。
 
 
・高年齢雇用継続給付金による年金停止額→標準報酬月額24万円×6%=14,400円
 
 
 
よって、老齢厚生年金額は102,300円ー在職による停止額31,150円ー高年齢雇用継続給付金による停止14,400円=56,750円の年金支給となる。
 
 
なお、上記の停止額は厚生年金に加入している場合のみであり、厚生年金に加入しないのであれば停止は全くない。
 
高年齢雇用継続給付金の支給は65歳到達月分まで。
 


※追記
停止額が6%というのは支給割合15%に対して40%を停止するという意味。
 
6÷15=0.4
 
なお、60歳到達時賃金に対して75%未満61%以上になると、給付割合や停止割合も変わる。
 
例えば、60歳到達時賃金が50万円だとしたら、上限は472,200円ですのでこの上限金額に対し30万円になったとします(低下率63.53%)。
 
とすると、こういう計算式になる。
 
(ー183×63.53+13,725)÷280×100÷63.53=11.80%(小数点以下3位未満四捨五入)
 
・高年齢雇用継続給付金額→30万円×11.80%=35,400円
 
また、停止額を計算する際は上記の公式に当てはめますが、使う金額は低下した賃金額ではなく標準報酬月額。
標準報酬月額も30万円とします。
とすると、472,200円に対して標準報酬月額30万円の低下率は63.53%。
 
(ー183×63.53+13,725)÷280×100÷63.53×(6÷15)=4.72%
 
よって、30万円×4.72%=14,160円が年金停止額となる。
 
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