テレ東の春ドラマ深夜枠は、いつも以上に攻めていた。
この「惡の華」と「るなしい」という、絶対にレギュラー枠ではやらないテーマを深夜に連続で放映するという快挙に拍手。
鈴木福とあのがW主演。「るなしい」同様、ロケ中心(おそらくともに群馬県?)なので、予算も抑えられている。お金をかけずとも、有名な役者を起用しなくとも、アイデアと覚悟で面白いドラマは作れる。テレ東の真骨頂だ。
鈴木福演じる、地方の小都市に暮らす鬱屈した中学生・春日高男が日々妄想を膨らましているところに、あの演じる仲村佐和という悪魔的な少女と出会うことで、マジメの仮面を無理やり剝がされて本性をさらけ出し、精神的に開放されていく。
この過程における福くん(愛菜ちゃん、と呼ぶように敢えてそう呼ぶ)の未成熟な精神の動揺と、未知なる世界への憧憬と恐れの表現がなかなか見もの。
また、あのは役者としての実力がどうこうより、無表情のまま名セリフ「クソムシが!」を連発する、何を考えているかわからない不気味さの演技がハマっていた。映画版は玉城ティナだったようだが、共に整った顔立ちの美少女キャラなので、あののキャストは間違いなかったと言える。
また春日が好きな女の子・佐伯奈々子(井頭愛海)の体操服が教室に落ちているのを偶然発見し、衝動に抗えず思わず匂いを嗅いでほおずりしてしまったところを仲村に偶然見られてしまい、それをネタに変態と脅されて契約奴隷となってしまう流れは、とてもSMチックであり、あのと福君というキャラの関係性は完璧だったように思う。
ちなみにこの作品で佐伯奈々子を演じた井頭愛海は、女優としての殻をやぶった感がある。佐伯は途中で優等生である自分の仮面を自ら剥ぎ取り、春日に迫って襲おうとするが、正統派美少女の彼女がこういった役にチャレンジした価値は大きい。ちなみに「波よ聞いてくれ」では、このドラマの後に放映していた「るなしい」の原菜乃華と共演していた。
MATTの中では、久保田紗友という演技力のある正統派美少女キャラの後継者である。
山に囲まれた地方都市から逃げ出したい、あの山の向こうの世界を覗いてみたい。
以前、「進撃の巨人」の作者・諫山 創が「山に囲まれた小さな町で育ち、あの山の向こうはどうなっているのだろう、山を越えて巨人が現れたら怖い」という妄想を膨らませた結果が、世界的なヒット作に繋がったという話を思いだした。
大阪の街中で育ったMATTでさえ、若い頃に東京はどんな街だろう、見てみたいと思って19で飛び出したわけで、それが地方に住む若者ならなおのこと、そう思うのも仕方ないというもの。
二人を見ていると、中学生の頃ってどうしてあんなにわけもわからない衝動に駆られたのだろうと懐かしく思った。
自分の中にある何か名状しがたいものを引きずり出したいのだが、どうやったらいいのかわからない。誰かそいつを俺の中から引っ張り出して見せてほしい。
そんな思いでモヤモヤしているところに、救世主のように現れたのが仲村だったのだろう。春日にとって仲村は待ちに待った存在だったのだ。盗んだ佐伯奈々子の体操着を着せられたり、奈々子とのデートの日に服の下に体操着をこっそり着せられて、仲村に水を浴びせられ、スケスケになった体操着を見られそうになったり、クラスの女子のパンツを盗んで秘密基地でパンツ御殿?を作ったりという数々の変態の所業を強いられても、仲村を手放したくなかった。彼女は春日にとって精神を解放してくれ、まだ見ぬ世界へ連れて行ってくれる、唯一無二の存在だった。
9話から高校編に移行するが、MATT的には中学編で終わっても良かったかなと思う。
高校編では群馬の田舎町から大宮に舞台が移動するが、そこで出会う美少女・常盤文を演じた中西アルノが良かった。
演技は正直まだまだだが、井頭愛海が古風な正統派美少女とすると、彼女は令和の美少女。きれいな整った顔立ちをしている。
それにしても、福君、美少女3人にモテモテで、いい役をGETしたな・・・・笑
中西アルノ。とてもいい雰囲気を持っているので今後に期待。
共演者は、春日の父親に長谷川朝晴、母親に中越典子。中越典子はお母さん役をやる歳になったのね。。。
佐伯の母親に紺野まひる、仲村の父親に堀部圭亮、親戚の叔母?役に雛形あきこ(久しぶりに見たが美しい)。
地方の田舎町の風景を切り取った映像も美しく、青春譚として佳作のドラマだった。テレ東はNHKと並んで吟味したキャスティングが素晴らしい。今回もあの、福君、井頭愛海の3人は本作の世界観を体で表現していて、若い3人の演技に拍手を送りたい。






























