以前からずっと観たいと思っていた作品。
どういう思考回路をしていたら、こんな突拍子もないアイデアが生まれるのか。
また、こんな名状し難い内容の脚本で映画を撮ろうと思い、撮ることができたのか。
それこそ脚本を書いたチャーリー・カウフマンや、監督(デビュー作!)のスパイク・ジョーンズの頭の中を見てみたい。
複雑怪奇なストーリーなので、端折って書くと人形師を目指すが成功者になれない冴えない男が、就職先の不思議な会社の資料室で偶然見つけた穴に入ると、その穴は俳優のジョン・マルコヴィッチの頭の中に繋がっていて、15分だけ彼の脳内に居座って、彼の人格と同化できる、というもの。
これだけでとても一つの映画ができるとは思えないが、それができてしまうのが映画の面白いところ。
面白いといえば、クレイグが就職する会社のある7・1/2階という設定が絶妙だ。
本来あるはずのない7階と8階の間にあるフロアで、微妙に天井が低くてみんな首を傾けて仕事をしている。
この設定だけで十分笑えるのだが。。。
ジョン・キューザックはお笑いもできるというのを、(遅まきながら)この映画で知った。
また、マルコヴィッチの友人役でチャーリー・シーンが出てくるが、後半で年老いたチャーリーが出てくる場面で、なんと禿げ散らかしてバーコード頭のチャーリーが見られる。アメリカ人でバーコード頭って見たことないのだが・・・(欧米人は禿げたら潔くハゲになる) あれは日本のハゲオヤジをモチーフにしたのだろうか。。。
人は自分という存在をどう思っているか、どう思われたいか、そして自分の人生をどう生きたいかを、誰しも潜在的に持ち合わせていて、それを具現化するとこんな感じになる?というのが、この映画のテーマかと。
クレイグ(ジョン・キューザック)は妻のロティ(キャメロン・ディアス)と平凡な生活を営んでいる。
クレイグは手先が器用で人形師としての才能はあるが、人とのコミュニケーションが苦手で、どうもうまくいかない。人形師だけでは食べていけず、就職した会社のビルで知り合った女性・マキシン(キャサリン・キーナー)に一目ぼれし口説くが、相手にされない。そして、たまたまオフィス内に見つけた不思議な穴に入ると、それはジョン・マルコヴィッチの脳内に繋がっていて、華やかなスターの人生に憧れてのめり込んでいく。。。
この映画がややこしいもとい面白いのはマルコヴィッチの穴にクレイグの妻のロティも入り、彼女は男の目線になることで自分の中の男性性に目覚め、マキシンへの愛に気づき、もともとバイセクシャルの気があるマキシンがそれを受け入れることで、奇妙な三角関係が生まれるという展開にある。(マキシンという女性は、曲者だらけの登場人物の中でも一級品の曲者キャラだ)
そこから先のストーリーはもう、なんと説明したらよいかわからないくらいぐちゃぐちゃであるが、好きに観て好きに解釈してくれ、としか言いようがない。
どこまでも冴えなくて情けないクレイグは、マルコヴィッチの中に取り込まれてしまい、最後はマルコヴィッチとマキシンの娘・エミリーの中に取り込まれてしまう。そしてお互いの愛を確かめ合ったマキシンとロティの娘として生きていく人生を強いられる、というラストを迎える。
なんだそれは?、、、なのだが、最後まで自分という人間を生きることができず、アイデンティティがあいまいなままのクレイグは、エミリーという新しい命に永遠に取り込まれてしまい、マルコヴィッチの穴を通じて自らのアイデンティティを見つけ出したロティは、マキシンと言う新たな恋人を見つけて幸せに暮らしましたとさ、ということなのだ。
世の中には自分のことを好きな人間と、自分が嫌いで誰かになれるのならいつでもなりたいと思っている、という人間がいる。
前者は死ぬまで自分を磨き続けて幸せな人生をおくることができる。後者は努力の末に本来は自分ではない「誰か」になることで幸せを得るかもしれない。自分という存在が不確かなものである以上、どんな形であれ本人が幸せに生きることができればよいのではないだろうか。
この映画は誰もが隠し持っているそんなモヤモヤに、少しヒントを与えてくれる作品なのかもしれない。







































