混沌として、魑魅魍魎が跋扈していたような妄想をたくましくさせてくれる時代というのが、明治時代ではないだろうか。もうその頃のことを言葉で伝えてくれる人たちもほとんどいなくなってしまった。
それほど昔ではないのに、我々がその頃のことについて口頭伝承を得る機会もない。
NETFLIXでこのドラマを観ながら、同じく明治時代が舞台の「ゴールデンカムイ」をTVの再放送で観て、しみじみと感じた。
今村翔吾の原作。漫画かと思っていたら小説だった。
小説の良いところは、登場人物のビジュアルを、読み手の想像にゆだねることができることだ。映像作品になった時に、読者それぞれが思い思いにキャラクターを演者に重ね合わせて観たことだろう。
監督は藤井道人。先日「ヴィレッジ」を観て、もう彼の映画は観ることないだろうと書いたが、早々に観ることになってしまう。
ただ、この原作であの出演者、さらにNETFLIXの資金力でつまらない作品にする方が難しい。それほどキャストは豪華なのだ。
出演者(Wikipediaより)
嵯峨愁二郎 - 岡田准一
香月双葉 - 藤﨑ゆみあ
衣笠彩八 - 清原果耶
柘植響陣 - 東出昌大
カムイコチャ - 染谷将太
化野四蔵 - 早乙女太一
祇園三助 - 遠藤雄弥
蹴上甚六 - 岡崎体育
狭山進之介 - 城桧吏
櫻 - 淵上泰史
諸沢(住友財閥関係者) - 榎木孝明
神保(三井財閥関係者) - 酒向芳
近山(安田財閥関係者) - 松尾諭
榊原(三菱財閥関係者) - 矢柴俊博
平岸 - 黒田大輔
橡 - 吉原光夫
柙 - 根岸拓哉
立花雷蔵 - 一ノ瀬ワタル
弥兵衛 - 笹野高史
立川孝右衛門 - 松浦祐也
京八流の師 - 宇崎竜童
大久保利通 - 井浦新
前島密 - 田中哲司
永瀬心平 - 中島歩
安藤神兵衛 - 山田孝之
嵯峨志乃 - 吉岡里帆
槐 - 二宮和也
菊臣右京 - 玉木宏
貫地谷無骨 - 伊藤英明
川路利良 - 濱田岳
岡部幻刀斎 - 阿部寛
赤山宋適 - 山中崇
天明刀弥 - 横浜流星
それぞれ一流の主演級、バイプレイヤーが活き活きと役を演じていて、全6話では物足りなく感じた。シーズン2が制作されるとのことで、続きが待ち遠しい。
プロデューサーも兼任している岡田准一のアクションの質はいうまでもない。
いわゆる「チャンバラ」がTVや映画でなかなか見られなくなった現代、彼の剣裁きを見られるのは貴重だ。
そのほかの出演者は、アクションのキレだけでいうと物足りない部分があるものの、そこは斬られ役のスタントマンたちのレベルで救われている。
それでも、6話の最期に出て来た横浜流星は、アクションのキレに定評があるので楽しみ。
井浦新や田中哲司の演じる明治の政治家たちの威厳、阿部寛演じる岡部幻刀斎の異様な恐ろしさ、悪い役が板についてきた濱田岳、貫地谷無骨という唯一無二のキャラを演じた伊藤英明の狂気。東出昌大はインチキ臭い関西弁でうさん臭さを上手く出している。
一皮むけた演技に今後も期待したい。そのほかのキャラも一人一人が魅力的だ。
特に淵上泰史が演じた櫻は、武士の出自ながら政府に取り込まれた複雑な立ち位置で、男の色気たっぷりに演じている。
彼には侍の役をやってもらいたかったが、警察官でありながら刀を振り回す姿に、これもありかなと感じた。彼のように立ち姿が美しい役者はそれほどいない。
藤崎ゆみあはまだ無名のころ、「最高の教師 1年後、私は生徒に■された」で注目。
その後NHKの「照子と瑠衣」でも好演している。
今回の双葉役は、混とんとした時代にあっても汚れ色に染まらない、純粋な少女という役にピタリとはまっている。様々な役にチャレンジするのは女優さんにとってはいい経験だろう。
双葉という役を得て、さらなる飛躍を期待したい。
藤崎ゆみあ。
演技ではない「ピュア」さを出せるのは、ある種の才能か。
清原果耶がハードなアクションの女剣士役をやっていて驚いた。
でも、彼女は現代劇に収まるほどスケールの小さな女優ではない。
NHKの「螢草 菜々の剣」でも時代劇を経験している。
彼女は多部未華子と並び、声がとても良いと思う。時代劇向きだ。
清原果耶。
陰と陽が表裏一体の演技ができる、若手随一の女優さん。
本作はアクション活劇なので、女優さんと言うと岡田准一演じる嵯峨愁二郎の妻役の吉岡里帆以外は、この二人の若手女優のみ。
男くさい絵面に文字通り華を添える存在だが、強く美しいというのが現代的だ。
「ゴールデンカムイ」と共に近代を舞台にした映像作品として、魅力的なコンテンツとなった。
シーズン2で明らかになる横浜流星の存在と、更に魅力的なキャラの登場に大いに期待したい。























