もやし生産者協会が訴えた

 

もやし生産者の窮状

 

のニュースを受けてか、もしくは昨年発売された拙著「闘うもやし

の影響なのか、ここのところしばしばメディアに紹介されています。うちのように経営の苦しい零細もやし生産者にとってメディアで広げてもらうのは本当にありがたいことです。

 

 来月も2つの番組に弊社が紹介される予定ですが、実際は撮影する絵も、インタビューされても話すことはいつも同じ内容です。ただ一つだけ、これは放送されるかどうかわかりませんが、気になる質問を受けました。それが

 

「もやし栽培でもっとも気をつけていることは?」

 

でした。これは「ハッ」としました。以前ならば「きちんともやしの生長を見守ること」と答えるのですが、この5~6年で意識がかなり変化していることに気づいたからです。

 

そして私は少し考えた後

 

「慢心」

 

と答えました。

 

 この5~6年…つまり深谷もやしという概念が生まれてから、私はもやしを太くする植物ホルモン「エチレン」の使用量を少しずつ減らしてきました。現在はもう10年前の1/10くらいになっています。もやし本来の姿、ノンエチレンもやしは私の理想でもあります。

 

 もやしの収穫の際、もやしの形状は毎回違うのですが、エチレンを減らすと不思議なことにその日々の違いがより大きくなってきました。つまりエチレンを減らすことでもやしの生育を安定させることがさらに難しくなってきているのです。

 

 設備の故障によるトラブルは別として、これまでの経験則から

 

『多分これならもやしは大丈夫だろう』

 

が今は無くなってしまいました。

 

 もやしの微妙な変化に気づかない…そんな油断が命取りになることを今痛感しています。私は仕事でもやしを見続けて35年になりますが、現実にはまだまだ何もわかっちゃいないのです。

もっともそれはもやしに限らず、生きている物に向き合う仕事の宿命なのだろうと思います。

 

 なんでもわかった気でいる『慢心』が、実は一番気を付けなくてはいけないことなのです。

今年の3月26日から始めた、飯塚商店の新事業「もやしの収穫体験」ですが、至らない部分もありつつこれまでに5回実施され、概ね参加した皆様から楽しかったいう感想をいただいています。

 

イベント名にあえて「黄金」の文字を入れたのは、栽培コンテナの中で育つもやしがまるで黄金に輝く草原のように見える…とおっしゃった方がいたからです。宮崎駿の「風の谷のナウシカ」みたい、という人もいらしゃいました。

この「黄金深谷もやしの収穫体験」は3部構成になっています。

 

①「もやしを聴く」

…生産者である私がもやしの生育過程を案内をしながら、もやしの話をします。残念ながら具体的な栄養価、数値的な「目に見えない」ものは苦手ですが、そういったものより私はいつも感じている「もやしの生命力」を伝えます。ときどき脱線してもやし業界の現状も話すこともあります。

 

②「もやしに触れる」

実際に栽培コンテナで育ったもやしを皆様に収穫してもらいます。時々洗ったばかりの生のもやしをかじってもらっても結構です。そして手作業で深谷もやし作りを体験してもらいます。

 

③「味わう」

収穫したばかりのもやしを味わってもらいます。基本「もやしの天ぷら」とその他1品、ときどきオリーブオイルソムリエ、サラダ作りの達人、他食の生産者などがゲストとして参加して、いろいろなもやし料理を楽しんでもらいます。

 

もやしの天ぷらの様子です

 

ゲストであるオリーブオイルソムリエ須永公人氏によるもやしとオリーブオイルのコラボ料理の説明です。

 

です。お待ちしています!

 

 

 

です。 

 

・・・・・・・・・・

 

「黄金深谷もやしの収穫体験ご案内」

 

料金:  大人(高校生以上)1名                  2000円 

           同伴未就学児、小学生                無料(見学・体験はできます)

           同伴中学生                                500円

 

定員:  20名(それ以上は要相談)

      

内容:  1.もやし栽培見学・もやし講座

         2.もやし収穫体験(ご自身でもやしの収穫、深谷もやし作り体験)

         3.もやし料理試食(深谷もやしの天ぷら、採りたてもやしの蒸し焼き…等)※

     ※ 試食料理は季節、状況によって異なります。

 

土産: 1.収穫したもやしお一人1kg(200g5)

         まで

    

 

物販:  発芽大豆100g200円   国産無農薬大豆(ユキシズカ)もやし100g 200円

     たたみもやし (乾燥深谷もやし)350円 

 

用意するもの:長靴(足元が濡れます)

 

集合: 当日15:50までに飯塚商店まで現地集合 

 

       (有)飯塚商店 埼玉県深谷市新井637

 

        ※場所がわからなければ私に連絡をください。 

    090-3200-8432(飯塚) 

 

 駐車場スペースはありますので、お車でお越しください。

 

お問合せ、申し込み先:                  〇電話 (有)飯塚商店 048-571-0783

                     ※   〇FAX  048-571-6421 

                        〇メール matt2@coffee.ocn.ne.jp

                        〇facebookページ

                        深谷のもやし屋 (有)飯塚商店へメッセージ 

                   

※FAX メールの際は必ずご連絡先を明記してください。

 

申し込み締め切り日:前々日の金曜日まで

 

お待ちしています!

日時: 毎月 第2、第4 日曜日 午後4時より(予約制) 

    3月は12日、26日に開催します。

 

料金:  大人(高校生以上)1名                  1500円 

           同伴未就学児、小学生                無料(見学・体験はできます)

           同伴中学生                                500円

 

定員:  10名(それ以上は要相談)

      

内容:  1.もやし栽培見学

         2.もやし収穫体験(ご自身でもやしの収穫、深谷もやし作り体験)

         3.もやし料理試食(深谷もやしの天ぷら、採りたてもやしの蒸し焼き…等)※

     ※ 試食料理は季節、状況によって異なります。

 

土産: 1.収穫したもやしお一人2kg(500g4)

         まで(追加は500g100円)

        2.もやし栽培キット

 

物販:  発芽大豆100g150円   国産無農薬大豆(ユキシズカ)もやし100g 200円

     たたみもやし (乾燥深谷もやし)350円 

 

用意するもの:長靴

 

集合: 飯塚商店まで現地集合 

        埼玉県深谷市新井637 

        わからなければご連絡を 090-3200-8432(飯塚) 

 

 駐車場スペースはありますので、お車でお越しください。

 

お問合せ、申し込み先:(有)飯塚商店 048-571-0783

                     ※ FAX 048-571-6421 

                     メール matt2@coffee.ocn.ne.jp

※FAX メールの際は必ずご連絡先を明記してください。

申し込み締め切り日:前々日の金曜日

 

 

深谷もやしの収穫中、「おっ。今日のもやしは美しいな」と思ったときつい写真に収めて、それをフェイスブックなどのSNSに投稿してしまいます。

それを見た方が「黄金もやし」と感想をくださいました。

「黄金もやし」いいですね。ありのままのもやしが黄金を生むもやしでもあってほしいです。

現実はまだまだ先の話ですけど。

 

「ナウシカだ」とおっしゃった方もいました。そうなのですか(笑)?

 

黄金色のもやしを見ていると、久しぶりに「もやしの出汁」をとってみたくなりました。事務所の机の上にIHコンロを置いて水の入った鍋を載せます。そしてこのもやしを適量引っこ抜いて、鍋に入れて茹でます。もやしの温かい香りがふわぁ~っと、冷え切った事務所に充満します。

5分くらい茹でたところで火を止めてしばらくすると、じわ~っともやしから出汁が染み出てきます。もやしの出汁は薄い黄色がかった色ですけど、ステンレスの鍋にあると黄金色に見えなくもありません。

この出汁、温かいままでも十分もやしの旨みを感じますが、一晩経って冷たくなったものを飲んでみましたら驚きです。もやしの香り、味がさらに鮮烈になっています。

 

出汁というより、もやしの冷たいお茶です。すうっとしたハーブティーのような味わい。なにか体に良さそうです。夏になったら麦茶のかわりに飲んでみるかな、と思いました。

今年初めての投稿になります。みなさま本年もよろしくお願いします。

 

 タイトルである「トランプ次期大統領と深谷のもやし屋」ですが、世界で最も力を持つ人間と今にも崩れ落ちそうな零細もやし栽培業が肩をならべるなんてふざけた比較だと思うかもしれませんが、実はこの記事がきっかけとなり、一昨日はフジテレビの「新報道2001」のトランプ特集で私も取り上げられ、さらに本日、違う報道系番組から取材の依頼がありました。

 

 この元記事ではライターさんによる「トランプ大統領の誕生でモヤシ農家が歓喜」と非常にキャッチーなコピーのおかげで注目を浴びたわけですが、もやし屋である私が期待するのはこれまでのグローバル化一辺倒の世界規模の流れが少しは変わるかもしれない、それは我々個人の事業者にチャンスが来るかもしれないという部分です。

 

 映像には流れませんでしたが「新報道2001」の時、取材に来たディレクター氏が「飯塚さんにとってグローバル化とは何ですか?」と質問をしました。グローバル化にはいろんな意味があると思いますが、私はもやし生産者として

 

 「食べものに限って言えば一部の人たちが利益を得るための世界的な規格・基準。食文化とか個人の信念はすべて切り捨てられる規格・基準。価格は下がるかもしれないけど生産側に大きな負担を強いる規格・基準」

 

とそんなようなことを言いました。今にして思えば、1988年以降のもやしの「緑豆太もやし」化は、食品スーパー、量販店に向けたもやしにおける「グローバル化」であったと思うのです。

 

 規模にもよりますが数千万から億単位に上る設備投資を経て、ようやく生まれる大量の緑豆太もやし。人件費は下がり、もやし生産におけるコストは下がったことでしょう。ところが

 

『食品スーパーの過当競争に加え、もやしの過剰供給、さらにもやしの差別化がなくなった』

 

ために、もやしの小売価格は下がり続け、とうとう現在、もやしの店頭価格は200gで17~19円は当たり前になってしまいました。理解ある小売りは29~36円ほどで売ってますが、考えてみてください、その価格は30年前と変わっていません。原料、包材、電気、、、あらゆるものが上がっているというのに。その結果としてこの10年ほど、もやし生産者はバタバタと廃業(倒産)しています。

 

 もやし生産者にとって、これまでのグローバル化推進のなれの果てがこれじゃあ、何か大きな変化を期待するのは当然なのです。