本日(16日)午後12:30~15:00頃まで。

麹町駅5番出口近くにオープンした

サラダ&ジュースバー ナチュラルアート

店頭で試食イベントに立ちます。

$まぼろしの「もやし」求めて・・・


私は「もやしと発芽大豆のプロフェッショナル」かどうかはわかりませんが(笑)、もやしや発芽大豆の生命力を伝えることはできます。

お近くの方は是非お越しください
 4月6日(土)、午後2時ごろより「伊勢丹新宿店本館地下一階食品売り場」において、

『深谷もやしの試食販売』

を実施します。

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 平成11年に最大の取引先であった量販店を突然失い、その余波で取引先が次々と離れ、当時社長であった父は心労が重なり2年続けて脳梗塞を患い引退…絶望的な状況から引き継いだ私がとことん追い詰めれれた形で、地元の産直のもやし売り場に立ち「私が作っているもやしです」とお客様に声をかけてもやしを売ったのが4年前のことです。…以来たくさんの人に支えられ、明後日“日本一のデパ地下”と称される「伊勢丹新宿店食品売り場」に立つまでに至りました。…何とも感慨深い気持になります。

 私自身が深夜に手作業で拵える、この200gのもやし。

1袋158円という、小袋もやしではおそらく国内最高値の小売価格でありましょう。

 同じ200gでも時には毎日1袋9円という価格がつけられる低価格野菜の象徴である現在のもやし、

 こんな状況下でも私どもの深谷もやしに158円という価値をつけていただいた伊勢丹様に感謝をしつつ、また深谷もやしはその価格でも何の不自然さはないもやしであると自負しています。

 このたび「伊勢丹新宿店本館地下一階の食品売り場」で配布されている会報誌、「FOODIE」(食いしん坊)という冊子で「深谷もやし」を紹介していただきました。


 この掲載に伴い4月6日(土)、午後2時ごろより同売り場で作り手である私と妻が

「深谷もやしの試食販売」

実施することになったのです。その場で

「深谷もやしだけの出汁の味噌汁」

を作りますので深谷もやし…いや、本来のもやしが放つ爽やかな香り、味噌に負けない強い味わいを是非知っていただきたいです。

…土曜日はこれまでの様々な思いを込めて伊勢丹新宿店という大きな舞台で深谷もやしを薦めます。皆様のご来店を心よりお待ちしてます。


これは深谷市内のスーパーのもやし売り場です。あえて載せます。



特売価格ではありません。この店舗ではこの価格が通常のようです。

 毎日9円というもやしの小売価格は、いちもやし生産者としてどう考えても不可能です。もしかしたら店舗の競争力を上げるため卸価格と同じか、少し店側が損をして売っているか、それともこのもやし屋さんが売る他の商品(カット野菜、豆腐など)との大量取引と合わせで、つまり抱き合わせで生まれた「9円もやし」なのかもしれません。

しかし消費者はそうは見ないでしょう。ここにつけられた9円が

「茨城から深谷まで運ばれてきた200gの緑豆太もやしの価値」

なのです。

「物価の優等生」

「一食いくらで出来るメニュー」

…テレビ番組でそんな特集が組まれるたびに登場するもやし。

私は良い食べものが求めやすい価格で購入できるのは素晴らしいことと思います。しかし、

『食べもの、作り手に敬意を払わない、食べもの、作り手を軽蔑する風潮・言動』

にはいち生産者として憤りを覚えます。この「9円もやし」はその部類に入ります。

 長年もやしが囚われている低価格の呪縛について、言いたいことは歴史を追って沢山ありますがとてもここでは簡単に書ききれません。ただ今回少しだけ言いたいことを言わせてもらいます。

 まず販売者に対して。「お客は安ければ安いほどありがたがる。安いものを並べればお客は集まる」…今や完全に過当競争となった郊外型量販店のトップは、そう信じているからこそ、あちこちにお店を出しているのでしょう。「毎日もやし9円などとバカにしたような価格で集客を狙う」その考えそのものが、消費者を見下している、と私は感じてしまいます。

 消費者に対して。「適正価格」というものをもう少し考えていただきたいです。もやし9円というのは、たとえば貴方の毎日休まず一生懸命働いた給料、パート代が「月5万円」と評価されているようなものです。そんな明細が来たら貴方は「ふざけるな」と怒りませんか。それと同じです。貴方が会社に文句を言ったとしても、会社は「今の基準ならそのくらいが妥当だ」と突っぱねるでしょう。それが現在もやし業界が置かれている立場です。

 もやしの製造機械、設備を売るメーカーへ。皆様がもやしの付加価値を上げるため苦労して長年の夢でもあった「太もやし製造用の装置」を開発しました。しかしその装置の普及はもやしの価値、価格を上げるどころか「9円もやしの出現」という結果となりました。私は何人もの野菜仕入れ担当から聞きました。「どこでも同じもやしなら安いほうがいい」。つまりこれがもやし市場の共通認識となっています。この状況から今の方針で将来性は感じられますか。もう一度、もやしというものの原点に立ち返り、地域性、多様性、という観点から考え直しませんか。

 最後にもやし屋さんたち。潰れそうな零細もやし屋の私ですが、いい加減「ふざけたもやしの扱い」に対して怒りを示しませんか?昔のもやし業界はもっと気骨に溢れていた気がします。それとも今は企業努力という名目で、もやしをバカにする売り先に尻尾を振り続け、限られたシェア争いを勝ち抜くことを望みますか?仮に国内の小さなもやし屋が潰れ大手数社が国内のシェアを寡占したとしても、一度この低価格が定着したらどんな情勢になっても「適正価格」にはならないと思います。200g9円のもやしが定着したら、業務用もすべてその価格で扱われることになりかねないです。無理難題を押し付けてくる取引先には勇気をもってNOと言いませんか。出荷量が減っても将来的にはいつかはやらなければいけないことだと思いませんか。そのかわり低価格脱却のための独自性を打ち出したらどうでしょうか。多くの消費者に価格以外で理解されるもやしを広めたらいかがでしょうか。


 地元深谷の食の魅力発信のため同じ思いを持つ人たちと立ち上げたのが

風土飲食研究会

です。私が代表を務めています。

 昨年の10月、「深谷市漬物組合」「深谷市銘醸会」深谷市の結婚式会場「ラヴィス・ヴィラ・スイート」そして「風土飲食研究会」の4つの想いが重なり、日本酒、漬物の魅力を結婚式会場のフランス料理で発信しよう、と画期的な取組みが行われました。

それが「漬物・酒BAR」です。

 「漬物・酒BAR」、10月の第一回はほぼ全紙(読売、朝日、毎日、産経、東京、日経、埼玉)に取り上げられるほど注目をされ、予約を断るほどの来客がありました。しかし、どれだけ人を集めるかがその目的ではありません。第一回はあくまでも盛大な打ち上げ花火、それからいかに「日常に繋げるか」が深谷の酒蔵、漬物屋さん、結婚式場にとって重要なのです。
ですから「漬物・酒BAR」は当初から「定期開催」を目指して進められました。

 第二回は2月14日、定員40名のバーホールで開かれました。料理長である小野シェフにとっても身の丈のサイズ。静かな空間でさらに洗練された「漬物フレンチ」が地酒と供され、“心ゆくまで地元の食材を味わう”という当初の目的に適ったスタイルが出来上がりました。

 そして第三回は昨日(3月14日)でした。第一回、二回は同じ料理でしたが、今回はメニューを一新、食材も新しいものを導入した小野シェフの意欲的なものになりました。そこに私ども飯塚商店の「発芽大豆」「借金なし大豆もやし」も食材として選抜されました。

こちらがそのメニューになります。

 これにソフトドリンク、ラヴィスオリジナルカクテル、ビール、そして深谷市の地酒(2~3種)がお好きなだけ飲めて5250円です。地酒は3つの蔵が持ち回りとなっていて、今回は「滝澤酒造」さんの発泡生酒、吟醸酒、純米酒の3つでした。

まずは漬物ビュッフェ…

別テーブルにある厳選された漬物をお好みで選び、ビール、食前酒と楽しみます。

前菜は「フォアグラ、鴨、青み奈良漬のミルフィーユ仕立て、発芽大豆のマリネ添え」

 濃厚なフォアグラ、香ばしい鴨肉の上に重なる同じ薄切りの爽やかな青み奈良漬が絶妙なアクセントを加えます。それぞれの歯ごたえも全く異なるまさに国籍を超えた連携食ともいえましょう。付け合せには私どもの「7種類の埼玉県産発芽大豆“彩7”」が。こちらは茹でてからマリネ液に“漬け”たもの。さすが小野シェフ、きちんと発芽大豆も漬けてきました(笑)。マリネされた発芽大豆は単なる塩茹でに酸味という新たな味を加えた形になり、爽やかに戴くことができました。

続いて「エスカルゴと若採りごぼうの香草バター焼き」



エスカルゴの定番料理ともいえるものですが、そこにごぼうの漬物が加わるだけで馴染みやすくなりました。

魚料理は「真鯛のフリット かつお沢庵とジャガイモのガレット 深谷ねぎからしを使ったサフランソースとともに」

 

 これも食感の違いを楽しむ料理でしょうか。ふっくらとした魚のフリット、ほっこりとしたジャガイモのガレット、それに沢庵のパリッと…「フリット」「ガレット」「パリット」のまさに食感三銃士です(笑)。魚の定番サフランソースにも深谷ねぎからしが加わり味に深みを与えています。

肉料理は「霧島高原豚バラとみょうがの味噌漬け添え」
そして「シェフ特製コンソメ雑炊」

 豚肉の味噌漬けは馴染みある料理ですが、その漬物フレンチ版です。みょうがの風味と歯ごたえが加わり単なる味噌漬け豚から一歩先へ進んでいます。
〆のコンソメ雑炊は運ばれてすぐに弊社の「借金なし大豆もやし」


が使われていることに気づきました。力強い大豆もやしの香りが漂ったからです。

そしてデザート。

…立派な創作フレンチコースであったと思います。

 今回の「漬物・酒BAR」にいらしたのは一般のお客様だけではありませんでした。県内の食品会社の社長様であったり、商店街活性化に携わる方であったり…この取組みから何かを感じようとする各方面で活躍されている方もいらっしゃいました。

 さらに驚いたのは


 小野シェフとお話をしているのは同じ深谷市内の結婚式会場である老舗ホテルグループの取締役、支配人、料理長といった方々です。このたびの「漬物・酒BAR」にお客としていらしてくださいました。この新たな試みがどのように響いたでしょうか。

 一仕事を終え、こちらへ挨拶に来たラヴィス・ヴィラ・スイート小野シェフに私はもやし屋として率直な感想を伝えました。

「雑炊に関して、よくもやしの強い香りを引き出してくれました。良かったです。あとは、特に大豆もやしですが、あの見た目の力強さをそのまま料理に反映できればと思いました。たとえばもやしを切らずにそのままの形で調理し、ナイフとフォークでいただくとか。もうひとつ、根の部分を切ってさっと揚げて魚や肉の料理に載せてもよかったと思います。」

こんな生意気な意見もシェフは聞いてくださいました。

 今回私は妻とゆったりとデート感覚で行きましたが、食後は酒を片手に移動し他のお客様ともよいお話ができました。「漬物・酒BAR」は食への思いを繋げる社交場としても理想の空間であろうと思いました。

…お客様が大方帰られた後、ラヴィスの支配人も交えて簡単な意見交換会となりました。深谷の日本酒、漬物を中心とする地元食材と、深谷に在る優美な空間の幸せな結びつき。これからも互いに交流を深めつつ「漬物・酒BAR」を進めていきたいものです。

…今回私は風土飲食研究会の立場でこの「漬物・酒BAR」の企画協力をしています。そしてその活動は単なる暇つぶしの自己満足でやっていることではありません。

「食べる人、売る人、作る人の共通理解が構築された社会」

になって初めて深谷のもやし屋が生きていけます。私=深谷のもやし屋はその仕組みづくりのためにこうして今できることをやっているわけです。

 ほぼ毎晩、自ら「深谷もやし」を作っています。

 ブラックマッペもやしの風味を極力消さないように
手収穫、手洗浄、手詰め、手包装で作り上げるのが「深谷もやし」です。…一人当たり1時間の生産量は100袋、自動包装機を使えば「1分間に60袋」です。安価実現のために機械による大量生産が必定であるモヤシという生鮮食品においては「深谷もやし」は手間ばかりがかかる異端な作業です。しかしその作業ゆえに割高であっても多くの「深谷もやしファン」を生んでいるのも事実です。

「200gの深谷もやしを…」

 新しい取引先となる担当の方からそのような要望を戴きました。そこは良い食品を大切にするお店です。全国から際立った食べものが集まります。…私は誇りを持って受けました。200gになっても手間は変わらないし、かえって細かくなって手間が増えます、担当の方はそれも了承してくださいました。

 そして「200gの深谷もやし」を普段以上に気を遣って作り始めました。それこそ1本のもやしすら折らないように、もやしを潰さないように、でもだらだらと時間をかけないように…50年前、今は亡き父と、病で倒れ入院をしている母の二人が手作業で必死にもやしを作っていたときのように…

「やさしく、丁寧に、そして速やかに…」

私自身に叩き込み、そして共に作業する妻にそう語りかけて作る「200gの深谷もやし」。

本日(2月4日)午前10時から

伊勢丹新宿店本館地下1階食品フロア

にて販売されます。