来る5月5日(月)、午前10時より
花園ショッピングセンターHA-Z」(深谷市荒川850-1)の正面入り口で特別イベント、

「もやしの収穫詰め放題」

を開催します。もう何度も言ってますが、こんなことができるのは深谷のもやし屋しかいません。

先日市内のイベント「金大星蔵びらき」で行った収穫体験の写真を例に流れを説明します。

1.まず受付で料金(おひとり様100円予定)を支払っていただき、袋を受け取ってもやし収穫を始めます。


2.暗室(今回は仮説テント)の中に設置されているもやしを袋一杯に詰め込みます。


3.外に出て、詰め込んだもやしを私に渡してください。一度洗ってざるに移して水を切ります。


4.水を切った新鮮なもやしをもう一度袋に詰めなおしてお持ち帰りしてください。
(お客様にも手伝っていただくことあります 笑)

これ以上ない、新鮮なもやしです。どうぞお早目に召し上がってください。

久しぶりのブログとなりました。

 深谷のもやし屋、飯塚商店は今年に入ってからも相変わらず厳しい状況が続いていますが、同時にあちこちで射してくる希望の光によって何とか持ちこたえている、そんな状況です。

「FOODEX」というイベントはご存知でしょうか。毎年3月の第一週に幕張メッセで開催される、国内最大規模の国際食品・飲料展です。見るだけでも楽しいので私もよく訪れ、全国の素晴らしい食品に触れるにつけ

「ウチのもやしもここに並べたいなぁ」

と以前から願っていました。

そしてその願いはひょんなことから叶いました。今年の2月から私どものもやしを扱って抱くことになりました、東京大田市場に構える八百屋さん「I.G.S.(株)インターナショナル・グリーンサービス」様がこのFOODEXに出展、私どもの「深谷もやし」「発芽大豆」「借金なし大豆もやし」の三つをブースに並べてくれました。


私も嬉しくなって、IGSの皆様と一緒に試食のお手伝いをしました。



まさか憧れのFOODEXで飯塚商店のもやしを食べてもらえるなんて、、、です。

来場者はみな「食のプロ」ばかりです。試食をされたほとんどの方が、私のもやしに対して驚いていたことが印象に残っています。

全国的なメディアに登場したり、日本一のデパ地下で扱ってもらったり、と零細もやし農家にとって5年前では考えられないことがしばしば起きています。今回のFOODEXもその一つです。それは偶然、幸運というよりも、

「これまでのひとつひとつ積み重ねの賜物」

であると、私は捉えています。希望の光は自分で近づくものなのかもしれません。

みなさま今年もよろしくお願いします。

 もやし組合(工業組合もやし生産者協会)に非加盟の私ですが、それでも時々同業者、関係者より現在の国内のもやし業界事情を聞きます。正直あまり良い知らせはありません。主要原料である中国産緑豆の高騰が常態化し、そこに円安が追い打ちをかけます。電気代も皆様がよく知る理由で昨年上がりました。そして肝心のもやしの卸値ですが、皆様がよく使う200gの小袋で10~15円、業務用で1kgあたり60~90円ほどが現在の相場でしょうか。まったく高コストが売値に転嫁できていない状況です。

そのような価格帯ですと当然

「安い分、量を売って売上高を維持」

せざるを得ないわけで、そこでもやし屋同士の熾烈なシェアの奪い合いが始まります。既存で一袋15円で仕入れているスーパーのもやし売り場をとりたければ当然それ以下の価格を提示しなければなりません。仮に12円と持ちかければ、それならばお宅にしましょう、とスーパーのバイヤーは決して言いません。じゃどうするか?

「今度は現在取引しているもやし屋にその価格を提示して相見積もりを取らせる」

わけです。最近はスーパーも複数のもやし屋さんと取引しているので、3社での競合をはかることもあるでしょう。今もやし売り場にあるあの「19円(それ以下)」はそういう価格なのです。

 私の好きな特撮ドラマ、ウルトラセブンの主人公モロボシ・ダン風に言わせてもらえばまさに


「血を吐きながら続ける悲しきマラソン」

から吐き出された価格です。農薬も肥料も使わない正しき生鮮食品、もやしが買いやすい価格であるのは良い事であると思いますが、19円というのはあまりに異常です。20年前の半値ですから。もやしは青果売り場でもおおきなフェイスをとり山積みにされています。お客さんは、その19円もやしをポンポンと買い物かごに放り込みます。私たちはお客様なくては成り立ちませんが、今の私は正直申しますと、何も考えずに安さだけを求めて買っていくお客さんにも怒りと悲しみを覚えます。
「もう少しもやしを作る人のことを考えてくれ」と叫びたくなります。

 残念ながらこのような状況下でも、どのもやし屋さんも「なんとかしよう」「この状況を打開しよう」と打って出ていません。耳にするのはもやし屋という商売を捨てる、もしくは潰れるという話ばかりです。現在大半のもやしメーカーを延命させている唯一の希望が「カット野菜」事業ですが、それもさらなる大資本の参入、そして価格競争の道具に使われ、もやしと同じ運命をたどるでしょう。TPPの結果次第では海外の企業によるカット野菜の参入もあるでしょうから。


 未来、もやしがその在るべき価値とともに復活することはあるのでしょうか。

 もう一度もやしの価値を見直し、私たち業界が生活者にその無限の可能性の理解を促し、適正価格を含めた、日本のもやしは日本国民とともにあるという意識を共有していく、そんな指針を打ち出すしかない気がします。


 これは埼玉県産在来大豆「借金なし」をもやしにしたものです。一本一本手収穫しています。現在、新宿伊勢丹様、丸正飯塚様で購入できます。今月より八王子の自然派くらぶ生協様のアイテムに加わります。


 これは東京都檜原村の貴重な東京在来大豆「鑾野(すずの)大豆」のもやしです。今月檜原村の学校給食の導入が決まっています。


 深谷の「雷文」という居酒屋が「借金なし大豆もやし」をさっくりと揚げてくれました。サクサクふわふわな食感が気持ちよく、最高のおつまみであり、子供のスナックになります。こんなもやし料理もあるのか、と驚きました。




三國シェフの下で修行を積んだ方が開発した、ブラックマッペもやしをつかったデザートです。
もやしがこれほどデザートに向いているとは思いませんでした。足利市のレストラン、パティサリー「ル・クール」でいただけます。



同じく「ル・クール」ではアペリティフ(食前酒)にブラックマッペもやしの酵素ジュースを白ワインで割ったカクテルが供されました。誰も知らないまったく新しい美味しさです。

 多くの人がもやしの価値を理解することで、もやし生産者の考えを超えた、新たなもやしの可能性が次々と生まれます。私は、

もやしの未来はもはやここにしかない

と断言します。

2013年…それは

創業以来飯塚商店を支えた母を失くし、

妻が追突事故で負傷しばらく仕事が出来なくなり、

工場長が持病の手術のため長期離脱し、

それらに伴い自分も2度過労で倒れ

低価格競争により30年来の取引先を失い、

会社経営は変わらず厳しい状況にあるなかで

…それでも沢山の人に支えられて、新たにもやしの価値を認められ

都内デパート、スーパーに新規で納入が為され、

在来大豆もやしが少しづつ市場に定着してきている、

そんな実績も含めてどうにか越せそうな、そんな年でした。

精神的にも肉体的にも非常に消耗した年でした。

そして来年に向けて蒔かれた希望の種…


・新規販路開拓

・画期的もやし新商品の開発

・風土飲食研究会の発展

・お子たまランチ(在るべき子供食開発)

・飲食事業の取り組み

…これらも多くの人の理解と協力あっ少しずつ芽吹きつつあります。

・・・・・・・・・

 今でも「あの時の舵取り」は正しかったのかどうか、と自問自答するときがあります。

80年代に緑豆太もやしを否定した時

90年代にもやし屋の設備産業化を否定し

「もやしの根を除去する」根取り機械の導入を拒絶し逆に
もやしの根にさらなる価値を見出したとき


5年前、自ら売り場に立ちもやしをとことん伝えようと決めたとき

4年前、このブログを立ち上げるきっかけになった
「きちんとした生産者を守りたい」
もやしをまぼろしにしてはいけない」と決意したとき

3年前、県産在来大豆をもやしにしたとき

今年、低価格を押し付ける取引先を拒絶したとき

…反対に舵を切っていれば、会社を大きくして沢山人を高給で雇えたかもしれません。妻にもっと楽にさせられたかもしれません。子供の教育にもお金をかけられたかもしれません。家族でもっと旅行に行けたかもしれません。今でも大好きなスキーやテニス、マラソンも続けれたかもしれません。
しかしどうにも納得の行かない仕事で成り立っている幸せ、それは幸せと言えるのでしょうか。その幸せの中では自分が荒れてしまうか、他人を見下す人間になるか、人を欺くことに何のためらいのない、そんな人間になったかもしれません。


 …逆に、あの時の舵取りで今私がいるのは、お金も時間も奪われましたが、誰に臆することもなく堂々と仕事を語り、沢山の新しい人と繋がり、沢山の人に信頼され、共に理想を形にできる、そんな世界です。
命を削ってまでも生きる価値のある世界です。
苦しい中、侮辱され我慢して成り立っているよりも、よほど可能性と将来性が見える世界です。


 もやしのことしか知らない世間知らずのもやし屋です。経営が下手であちらこちらで迷惑をかけています。申し訳ありません。
それでもそんなもやし屋を支えてくれる皆様には心から感謝しています。


今年一年、ありがとうございました。

 久しぶりの投稿となりました。今年も残りわずかです。

 アベノミクス効果により始まった円安は、ほとんどの原料を海外からの輸入に頼るもやし業界にとって向かい風となっています。もともと中国からの原料価格が高止まりしているところに円安の追い打ちです。いまだ原材料高が価格に転嫁できないもやしにとってさらに厳しい状況となりました。ですから今年も中堅どころのもやし屋さんが倒産した、とか“●●さんちは今危なそうだ…”なんて情報、噂を業界関係者からよく聞くようになりました。もっとも私ども深谷のもやし屋も危ないもやし屋のひとつでありますが。

 そのような過酷な状況下で、飯塚商店も価格で取引先を失いながらも、その一方で私は新規の、価格に左右されない部分での新しい販路も開拓しています。もちろんまだまだ小さい市場であり、いきなり会社が黒字に転化にはなりませんが、このように増え続ける新規の取引は、それなりの実績として評価されています。

   ここのところ取引先との商談で

え。もやししかやっていないんですか?

と驚かれることがあります。ああ、そうか、とその時は思います。

現在、

「もやし業界で、もやしだけを生産、販売して成り立っている会社は
ほとんど無い」

はずです。この原材料高で量販店への卸価格が緑豆太もやし200g12~15円(店頭価格19円)が当たり前の状況では“もやしだけじゃ食っていけない”のは当然です。じゃあもやし屋は何を売っているんだとなれば、それは『カット野菜』であるわけです。もともと安いもやしを混ぜることができるので、昔からもやし屋はカット野菜(もやし炒めセット、野菜炒めセット)を手がける傾向にありました。 

こちらのニュースにもありますように、カット野菜の消費は伸びてきています。そして19円のもやしと違って『カット野菜』はまだそこそこの価格が付けられます。

 なので現在、大手も含め、『カット野菜』の製造販売を手がけなければもやし会社はやっていけないのが実情でしょう。もともとは副業扱いであったはずが、時代の流れで今は多くのもやし会社はカット野菜の製造販売がメイン事業になっているといっても過言ではないでしょう。
そうなるとさすがに「もやし屋」というより

「カット野菜屋」

と言ったほうが正しいでしょう。今、もやしだけを作って成り立っているもやし屋さんはどれほどいるのでしょうか。表題の『消えた「もやし屋」』
はここからきているわけです。

 さて時代のニーズと合致して注目されているカット野菜ですが、ひとつ大きな不安もあります。それは

もやしと同じ道を辿るのではないか

ということです。リーマンショック以降、国全体、市井レベルまでに不況感が強く漂ったあたりから安さの象徴であるもやしが注目されメディアに取り上げられ、もやし特集の雑誌もたくさん発行されました。そしてそのやや後からです、量販店からの値下げ圧力が強くなったのは。そして一部の企業が安売りもやしで乗り込み、一気に価格が崩れだしたのはほんの4~5年前のこと、もやし関係者にとっては記憶に新しいでしょう。

同じ現象がカット野菜でも起きないとは限りません

 カット野菜は価格がとれる代わり、現在では店側が求める衛生基準(菌数)を充たすため設備投資と管理が必要となります。サラダのような生食用を大量につくるには莫大な設備投資を要します。さらには、もやしならば機械化により人の削減は可能ですが、様々な商品構成に対応しなければならないカット野菜では沢山の人手が必要となります。そして原材料、つまり野菜ですが、安定価格で仕入れるのは至難であり、頼りの外国産野菜も円安がマイナスとなっています。自社農場の野菜を謳っている会社もありますが、もちろんそれにもコストはかかりますし、とてもそれだけでは賄いきれるものではありません。

 つまりカット野菜がもし価格競争に入ると、即致命的なダメージを受けること必至です。カット野菜で成り立つもやし業界のためそうならないことを祈るばかりですが、スーパーもコンビニにシェアを奪われて必死です。もやしと同じく、カット野菜製造者も生き残りをかけてシェアを大量に奪うため格安のカット野菜商品で勝負に出てくる可能性もあります。先日もやしの値下げを要求したバイヤーの言葉が脳裏に浮かびます。

「もやしもこのくらい安くなるんだな。今までが儲けさせすぎた」