円安による輸入原材料の値上がり、電気料金の値上がる中、それでもなお低価格販売の呪縛に囚われているもやし業界は厳しい状況にあります。

そんな中、さきほど取引先量販店のバイヤーから電話がありました。

「Sさん(同じ県内のもやし会社)がずいぶん良い価格を持ってきました。これを機会に飯塚さんやNさん(栃木のもやし会社)のも含めて『もやし価格の見直しをはかりたい』。新しい見積もりを出してください」

…といった内容でした。このスーパーでは緑豆太もやしを常時19円、競争の激しい店舗では9円で販売しています。今回はおそらくは緑豆に比べ比較的高く取引されているブラックマッペもやしの価格の見直しでしょう。

埼玉を中心に関東圏に80店舗近くある郊外型量販店であるこのスーパー、ブラックマッペにしても日量1~2トンは見込めそうです。生産量をこれ以上落としたくない中~大規模もやし生産会社にとっては、なんとしても獲得したい、もしくは確保しておきたい販路でありましょう。ですからバイヤーから上記のような提案を持ちかけられれば、もやしを取り巻く現状がどうあれ、もやし会社は

『間違いなく値下げ』

をします。これでとうとうブラックマッペも熾烈な低価格競争に突入かもしれません。

私もある程度の出荷量を保証してくれる条件ならば、創業時より取引のある本社も近いスーパーですから多少の値下げには応じた価格を提示しますが、飯塚商店のような零細もやし屋が一日に何十トンも生産する規模の大きいもやし屋さんには価格の面で敵うはずはありませんから、この話が来た時点で半分諦めています(笑)。この店にたくさん売りたいもやし屋さんはどんどん下げちゃってください、という気持です

これまでも同じような手法で、どんどんもやしの末端価格は下げられてきたのでしょう。30年前までは物価の上昇に合わせて小袋38~48円で売られていたもやし。それが9円とか19円が当たり前になること、実は消費者が望んだものではありません。売る側に都合よく利用されているだけの結果でしかないのです。安くしたからといってその分だけお客さんは沢山食べはしないのです。

この手法でブラックマッペが叩かれれば、次はなにがくるでしょうか。大豆もやしでしょうか。案外注目されているカット野菜あたりが狙われる気もします。

私のブログは各方面に読まれていると聞いてます。このスーパー関係者も読むかもしれませんが、まあ無理をせず一番安いもやしを扱ってください、と言うだけです。