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本日の売り上げから

2012年02月11日 22時56分13秒
Theme: もやし
「もやしは安くなければ売れない」

大量の野菜販売に携わるほとんどの人がそう信じているはずです。

参考になるかどうかわかりませんが、これは本日(11日)地元深谷の産直店「とんとん市場」におけるもやしの売り上げデータです。

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「大豆もやし」
数量:17
売単価:88
金額:1496

「深谷もやし」
数量:33
売単価:100
金額:3300


「発芽大豆」
数量:8
売単価:140
金額:1120

合計数量:58
合計金額:5916

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「とんとん市場」は人気ある産直店ですがそれほど大きな店舗でもありません。もやし売り場のフェイスも50cmほどでそれほど広くはありません。そして何よりももやし一つの単価が安く無いです。

「大豆もやし」は深谷産の大豆を使った大豆もやし。150gで88円。アメリカ産大豆を使った一般的なものは250gで50円前後です。

「深谷もやし」とは私どものブラックマッペもやしを優しく手で洗って、手で水を切り、手で袋につめたもの。500gで100円で販売してます。地元での一般的なブラックマッペの店頭小売価格が200gで35円ほどですから割高ではあります。

この店ではこういった単価が高くてもよく売れます。一方、私が納めている地元スーパーでは昨年近所に「もやしを常時18円で売る量販店」が出来てしまったために、対抗して毎日19円で売るようになってしまいました。じゃあ値を下げただけ売れるようになったのかと聞かれれば、

「値下げ前も値下げ後ももやしの販売量は変わらない」

ことが判明してしまいました。「とんとん市場」はこのスーパーから半径1km以内ですが、100円のもやしが変わらずに売れています。私が店に行くと「いつも買っているわよ!」と、時々声をかけられます。その経験から

「もやしが安くなくては売れない」

というのは今や単なる迷信ではないかと思うのです。その迷信を信じ込んでいる販売人が多すぎて、もやし業界が苦しんでいる気がします。

いいものをつくっていれば、いずれはわかってくれるよ

2012年01月29日 20時59分03秒
Theme: もやし屋として
「いいものをつくっていれば、いずれはわかってくれるよ」

…この10年間、飯塚商店の“ありのまま”のもやしが、時代のニーズにそぐわないとして市場から嫌われ続け、取引先が次々と去っていく中、思わず愚痴をこぼしてしまう私に対して、もやし屋を引退した母がよく励ましとしてかけてくれた言葉がこれでした。

 そしてここ2年間、私は私の信じるもやしのあれこれをありとあらゆる手段を講じて発信してきました。

自らがもやし売り場に立ち、もやしを説明しながら時には調理もして試食販売し、

HPやブログを立ち上げもやしのこともやし業界の現状を伝え、

もやしを知ってもらうために絵本を作成し、

本当のもやしの味を知ってもらうために都内や地元で「もやしカフェ」を開催し、

本当のもやしを知ってもらう最良の手段として「もやし栽培キット」を企画・開発・販売し…

…その甲斐あってか、新聞、雑誌、テレビなどで私ども飯塚商店のもやしは大きく紹介されるようになり、その鮮烈なもやしの味は沢山の食のプロを驚かせてきました。

…しかし…

それほど大きく知られ、味の評価も受けていながら現実には安くて日持ちするもやしが作れない私ども飯塚商店のもやしの売り上げは一向に伸びず、経営は苦しいままです。母の言葉、

「いいものをつくっていれば、いずれはわかってくれるよ」 

は、両親がそれを信じて頑張っていた頃と違い、現在ではその価値観は通用しなくなったと痛切に感じています。なぜなら

『生産者の信じる「いいもの」と販売者、消費者が求める「いいもの」が大きく乖離している』

からだと思うのです。

 生産者の信じる食、生産者の言葉が通用しない社会になり、昔ではありえないような食の事故が頻発しています。いや昔ではありえないような食の生産・提供がそういった事故を起こしているといえます

 しかしそれに対して何も変わらない。そのシステム自体が悪いなどと考えず、さらなる高い安全基準を設け、薬品に頼り、作業員に負担を強いて、今のシステムを維持しようとします。その結果として食の身の丈を知り、身の丈の規模で営む食の提供者は居場所を失っていくのです。

「いいものをつくっていれば、いずれはわかってくれるよ」  

…母の真っ当な食の提供者としての姿勢が虚しく聞こえてしまう、そんな社会に変わってしまったことを私は憂います。そんな社会を築く一端を担ってしまったかつての自分に対して悲しみと怒りがこみ上げるのです。

身の丈のもやし屋

2012年01月06日 21時12分15秒
Theme: もやし屋として
新年あけましておめでとうございます。

今年最初のブログになります。ふと昨年はどんなブログで始まったか読み返してみました。

作り手の怒り

…というわけで穏やかでない出だしでしたね(笑)。

でもあいも変わらず大口の取引先からは“安心・安全”の「加工製品」であるべきとみなされているもやし。私どものように「野菜」の観点から営んでいる小さなもやし屋にとっては苦しい状況であることには変わりありません。

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 飯塚家は元々「食べることが大好き」で、美味しい食事をとる時間が「飯塚家の絆」でありました。そんな私たちでありますから私たちが作って売るもやしも「もやしらしいもやし」であることは当然でありました。私たちが信じる「もやしらしいもやし」が地元を中心とした多くの人に喜ばれて食べてもらえることが幸せでありました。

 それがいつの日か、私たちが信じてきた「もやしらしいもやし」は「そんなのはもやしではない」ともやしを作る人でなく、もやしを沢山売る人たちから否定されるようになりました。もやしを沢山売る人たちにとっての「もやし」とは、

・身が太くて真っ白で

・根っこが短く豆がなくて

・一週間たっても色が変わらない

…そんなもやしのことでした。私たちがずっと作りつづけてきた「豆の養分と水だけで、もやし本来の成長力を活かした」やり方ではとてもそういうもやしは作れませんでした。とても一週間過ぎても色の変わらないもやしなど作れないし、そういうもやしはありえないと思いました。父と私は「そういうのこそもやしじゃない」と沢山売る人に反発し、変わらず自分たちのもやしを作ってきましたが、この25年足らずで売る人だけじゃなく、使う人、食べる人までが「こういうのはもやしじゃない」と言い出して、私たちが作るもやしを非難しだしました。味は変わらないのに。何も大きな間違いもしていないのに。もやしを作らないで、もやしをよく知らないでもやしを沢山売る人たちが創作した大きな物語によって、もやしを巡るすべてが塗り替えられた…そんな四半世紀であったと思います。

食べ物の価値とはいったいどこにあるでしょうか。

見た目?日持ち?

 よく枕詞のように誰もが「安心・安全」といいますが、もやしに関してはいたってシンプルであります。近くにいる信頼できる生産者の新鮮なもやし、それに尽きます。成長の早いもやしの「安心・安全」は時間の経過と移動距離の長さと共に失われていきます。私は「もやしとはそういうものだ」と考え、それ以上どうこうしようなどとはまるで考えてません。また行き過ぎた安心・安全を追い求めるともやし本来の旨みが失われていきます。旨みが感じられないもやしはもやしではない。もやし屋としてそんなのは人様に食べさせてはいけない。そんなのを食べさせて金を取ってはいけない。食を愛する作り手であるゆえに、父も私もその立ち居地でもやし屋を続けてきました。いつのまにかこの立ち居地が逆風に向かうことになっても、もやし屋としての存続が危ぶまれるほどになっても、食を愛する作り手という矜持が深谷のもやし屋、飯塚商店にはあるのです。

 ここ数年では、逆に多くの食を愛する人が飯塚商店を訪れては、私たちの信じる「もやし」に触れ、食べて、まるで目からうろこが落ちたように感動していきます。

「なんでこんなに美味しいんだ?」

「もやしってこんなに味があったのか?」

 多くの人が驚いてそう感嘆するのを聞いて、今までの流れはなんだったのだろうかと思います。晩年失意のまま病に倒れ、もやしから離れ、一昨年他界した創業者である父英夫。現役時代も強い信念のもと沢山売る力を持った人、つまり量販店のバイヤー相手に一歩も引かず、

「好きにしやがれ。いつだってやめたって構わない。俺は好きなようにやればいいだけだ」

と啖呵をきったことを思い出します。負けん気の強い父でしたので多分に強がりであったでしょうが、父の言った「好きなようにやる」は「もやし屋の身の丈に戻る」であったと当時の父の年齢に近づきつつある私はそう感じるのです。

 深谷のもやし屋、飯塚商店は量販店の規模拡大に途中まで追従しつつ収益を上げてきましたが、「食を愛する作り手」であることが裏目に出て、量販店が創り出した物語を否定し、そして取引の激減、没落の一途を辿りました。父の意志を引き継いだ私は、最終的に父が目指したもやし屋としての場所、「もやし屋の身の丈」に還ることを望みます。まだまだ生産者の信じる正義が通用しない社会、どこまで進めるかはわかりませんが、

「身の丈のもやし屋」

に還ることを今年の目標にしていきます。どうか皆様よろしくお願いします。



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