労働組合法セミナー 2016年8月5日東京~組合民主主義の巻~ | 労働法のポッケ~弁護士松崎基憲のゆるっと解説

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さてさて、さる2016年8月5日は、私が講師となって、労働組合法セミナーを開催しました。

今年4月に開催したセミナーとほぼ同じ内容です。

参加していただいたのは、労働組合の役員のかたです。



今回のポッケでは、前回と同様、組合民主主義についてのグループワークの内容をアップしたいと思います



組合民主主義


組合民主主義とは「平等な権利を有する組合員の利益と意見を多数決原則によって公正に調整して労働組合を運営すること」と表現できます。


労働組合は、組合民主主義を遵守して内部運営をしなければいけません。

労働組合の活動は、労働協約などを通して組合員の権利・利益に重大な影響を及ぼすので、組合員を平等に扱った民主的な運営が求められるのです。



今回のセミナーでも、この組合民主主義についてセミナーに参加した労働組合の役員さんたちが最も問題に感じていることや、ご自身の組織でこれから取り組むべきことを話し合っていただきました。




組合民主主義に関する問題の種類


セミナーの参加組合が感じる問題の種類として、最も多かったのは「代議員選出」でした。


15グループあるうち、9グループが「代議員選出」について問題を感じていました。


代議員に立候補してくれる組合員がなかなか出てこないため、組合役員のかたは、説得に苦慮しているようです。


次に多かったのが「組合員の平等」と「組合員の組合運営への参加」です。15グループのうち、7グループが、これらのことについて問題を感じていました。




そのほか、「組合内の男女平等」「役員選挙」を問題と感じたグループも多かったようです。




問題の具体的内容と取り組むべきこと


それでは、セミナー参加組合が具体的にどのような問題を感じているのか、グループごとに見ていきましょう。
※以下では、グループワークの記録に基づいて記載しているので、やや意味が分かりづらい箇所があります。



(問題の具体的内容)
・あるだけの組合だった
・○○年続いている組合、民主主義としては?

(取組べきこと。取組の成功事例など)
・支部を結成し、支部長を中心に組織をまとめる
・SVが見ている店舗数と、同じ店舗数を見る支部長(ブロック長)をつくる



組合執行部は男性が多く女性の意見を取り入れられない。相談がしづらい

女性組合員を執行部に入ってもらい問題点をあげてもらう



・直接無記名投票で選べていない
・全員(全組合員)に投票してもらうのが難しい

地道に、各部署で説明を行って、投票の必要性、重要性を訴えていく



・代議員選出が投票ではなく選任で決まる
・役員選挙が一括信任投票である

個別
別投票で可否を問う



代議員選挙、役員選挙
・選挙で選べていない(規約にあるけど)
・実際に選挙になると、定員に合わせてしまう
・組合員組合民主主義について理解が深まっていない(全員の理解がないと成り立たない)組合員の平等・そもそもあり得ないのではないか?→様々な人がいる中で
・全員が参加できるものが限られている
・制度の中で、異動の祭に、子供がいるかの条件が、不平等感を出している



本部と支部の関係性
・本部定期大会で決まったことを支部にスライドする
・特に意見が出ない(組合員の参加姿勢)
・代議員、役員の選挙で立候補者がいない

・組合との距離感を近くする
・マンガを置く。カフェを利用できる。



・立候補者はおらず、お願いして、代議員に来てもらう
・制度改正時に、ある組合員には不利益事項がある
・立候補者は推薦を受ける
・地理的に参加できない組合員がいる

・海外の方には組合費を返金している
・オルグで話を聞いている
・海外出向中の組合員にはどう関われるかわからない



・時給社員のパートナー委員会設置→イベント交流会を実施、組合活動に参加。関心を持ってもらう大きなきっかけになった
・年1回一か所で開催していたイベントを3か所で実施→初めて参加してくれた組合員が増えた



・代議員の選出→組合員による直接無記名投票ではない
・製造、  交代制で昼、夜であり、組合活動への参加が・平等ではない→レクだけでなく割引券

組合員の平等に参加
・人によって組合員への参加に不平等がある(平等に参加することができない、時間等の理由によって)
成功事例
・各事業所で、組合活動(仕事をうまく回すため懇親会など)に参加費を出す(全組合員対象)。全員に平等に使ってもらう


・組合活動(福利厚生など)の参画ができる人とできない人が出てきてしまう。多店舗展開、交代制勤務で時間の調整が難しい
・組合員一人一人にまでどういった考えで組織を運営しているのか?活動を決めているのかが浸透していってない

・活動に参画できない人達に対して組合役員等が意見を聞いてできることを(どのような活動なら参画できるのか?利用できるのか?)執行部内で、十分な協議が必要である



執行部の独走
・専従と非専従との温度差
・専従は民主的に行おうとするも非専従は専従が勝手にやっていると感じている男女の参加率に差がある。女性の方の参加率

・非専従の教育・組合員の組合運営への参画意識改善



・専従が男性が多い(組合専従内で男性に負担)
・機会均等について(全国に支部があるが中央に偏りがち)
・同一人物が長期間役員を務める

・(男性が多い問題について)委員長が男性ばかり。トップの意識の持ち方?役職を考慮して決定する
・(機会均等の問題について)イベント時の経済的負担を減らすなど
・(長期在職について)若いうちから組合活動に参加を促す。若手組合員グループのメンバーを2年ごとに半分入れ替えする



・組合員の減少
・正規と非正規のカベ
・同労組内における現場と企画、開発、本社の労働時間の考え方

・置かれた状況が違う中で、どう互いの思いを実現するか

・互いの状況を、理解する。まずこれが最優先
・組合の役割
・パイプ役(人、機関誌)となる



・組合役員の体制(構成)と運営の実態
・専従の役員一人、または、全員非専従だと、やっぱり主役が固定される(おんぶにダッコ)
・女性役員の活用

・役員(非専従、または、専従以外)主体でのオルグ運営(委員長はいかない)

役員の成長、能力UP(勉強せざるを得ない)



・全国展開している組合で、人員不足で職場集会もままならず、声が届いていない状況
・組合が社員しか認めておらず、パート組織化に課題。社員の声でしか組合運営できていないので‥労使関係もよくなく、課題山積

・各種取組を通じて参画率UPを目指す
・労使の関係改善が最優先。使用者の支配介入で不当労働行為の可能性大




以上、全15グループの議論の結果でした!



今回も様々な意見が出ました。
今までと比べると、組合内での男女不平等に問題を感じたグループが多かったように思います。

今後の活動の参考にしていただければと思います!