彦根に別れを告げ、信州は茅野へと向かっています。

この記事は、特急列車しなのにて執筆中です。

茅野市は、八ヶ岳や蓼科高原などの豊かな自然に囲まれた土地で、平昌オリンピック金メダリストの小平奈緒選手の出身地でもあります。

ということで、今回は小平選手にまつわるお話をさせていただきます。


僕は、自分もスポーツをしていたこともあって、スポーツを観ることが好きです。
以前の記事で、甲子園の感動について語ったこともありますが、オリンピックにも熱中しがちです。

一つのことに一生懸命打ち込んできた選手たちは、単純に美しい。
自分を信じて競技に集中している真剣な顔も、目指していたものを掴んだ喜びの顔も、残念な結果に悔やむ顔も、どれも本当に美しいです。

一つのことを追求することや、人前で堂々と全力を尽くすことって、なかなかできることじゃありません。
だから、そういう姿を、しかも高いレベルで表現しているアスリートに触れると、人は感動するのかなぁって思います。


『スポーツを通して心身を向上させ、さらには文化・国籍などさまざまな差異を超え、友情、連帯感、フェアプレーの精神をもって理解し合うことで、平和でよりよい世界の実現に貢献する』

これは、近代オリンピックの創始者クーベルタンさんが提唱したオリンピックのあるべき姿で、オリンピズムと呼ばれるものです。
オリンピックを平和の祭典と言うことがありますが、僕は、スポーツにはオリンピズムを具現化するだけの力があると思います。

それを強く感じさせてくれたのが、小平奈緒選手です。

今年の2月に開催された平昌オリンピックは、いわゆるオリンピックの政治利用がメディアなどで指摘され、雑音の多い大会でした。
そのため、僕もどこかモヤモヤした気持ちを燻らせながら、オリンピックを観戦していました。

そんな時、僕の目に飛び込んできたのが、小平選手の勇姿です。
金メダルの最有力候補と言われ、大きなプレッシャーがかかる中、最高のスケートを見せ、見事に金メダルを獲得しました。

テレビの前で、僕は大喜び。
大きな歓声あげると共に満面の笑みです。
だけど、次の瞬間、涙が止まらなくなりました。

試合後に、小平選手と韓国の李相花選手が歩み寄り、抱き合ってお互いを称え合っている姿がテレビに映し出されたからです。

李選手は、スピードスケート女子500mでオリンピック3連覇を狙っていた小平選手の最大のライバルです。
当然のことながら、母国で開催されるオリンピックでの3連覇達成にかける想いは、計り知れないほど強かったことでしょう。

念願が成就した矢先に、李選手への敬意を持てる小平選手も素敵。
悔しさを越えて、勝者を称えた李選手も素敵。

まさに、先述のオリンピズムを小平選手と李選手は体現しました。

実力と人間性、そして、ライバルだからこそ深めることができた絆によって、見事に雑音をかき消してくれた二人はヒーローです。

スポーツって、こうじゃなくっちゃ。



文化の違いや利害関係から、コミュニティ同士がいがみ合うことがあります。
だけど、その中にいる人同士は仲良くできたりするものです。
思想を憎んで人を憎まずと言いますが、小平選手と李選手の美しい姿を見ると、いがみ合うことなんて馬鹿らしく感じます。

社会は理だけで動いているわけではありません。
愛によって、人は理を越えることができるものだと僕は信じています。
西郷さんの好きな敬天愛人は、僕たちが社会を築く上で本当に大切なことだなぁって思います。

今日、茅野市で子どもの健やかな成長を支援する事業について勉強させていただいた中でも、社会が子どもを愛することの大切さを改めて学ぶことができました。
愛の実体をつかむことはとても難しいです。
だけど、愛がどんなものなのか分かった時、きっと様々な社会問題が解決していく気がします。


信州にて、愛について思案しながら、今回の記事を結びます。