今日は、約8時間に及ぶ電車での移動です。
こうして長距離移動をしていると、ある人を思い出します。
それは、車寅次郎さんです。
何を隠そう、僕は寅さんファンなのです。
ということで、今回は寅さんについてお話をさせていただきます。
寅さんこと車寅次郎さんは、映画『男はつらいよ』シリーズの主人公です。
架空の人物ではありますが、破天荒だけど憎めないキャラクターが愛され、多くの国民から親しみを込めて愛称で呼ばれています。
映画のストーリーは極めてシンプルで、日本中を旅して商売をする風天の寅さんが各回のマドンナに恋をして、妹のさくらをはじめとする周囲の人々を巻き込んで、多大なる迷惑をかけながら失恋、そしてまた旅に出るというものです。
そして、特筆すべきは、物語の中では最終的に不幸なのは失恋した寅さんだけだということです。
それなのに、何十回失恋しても、寅さんは不幸そうに見えません。
途中、寝込むほどの重篤な恋の病に陥るくせに、失恋すると、カラッとして前を向いて旅に出ます。
他人の前ではいいカッコしいで、身内にはワガママ放題。
普段は饒舌なのに、照れ屋で大事なことはなかなか話せない。
綺麗な女性を見ればすぐ恋に落ち、些細なエピソードをどこまでも前向きにとらえて恋の推進力とする。
勝手に恋に勢い付けば、周囲を巻き込みます。
当然、みんながすごい迷惑します。
そんな迷惑な人なのに、いつも真っ直ぐな寅さんは憎めないから、結局心配になっちゃって、気に留めてしまう。
寅さんは、そこに付け上がる。
おおよそ、誰もが抑制して生きているであろう感情を、全てさらけ出して生きているのが、寅さんなのかもしれません。
あまり良い意味ではなく、誰もできないことをやってのけているということです。
だけど、寅さんがやっている誰もできないことは、悪いことだけではありません。
寅さんは、愛する人の幸せを、本気で自分の幸せにすることができます。
そんな寅さんは、時に損得勘定を抜きにして、恋い慕うマドンナの恋愛成就に一役買ってしまったりします。
自滅的に失恋を迎えても、愛する人が幸せになれたから、寅さんはそれで納得なんです。
寅さんが多くの方から愛されるのは、きっと、寅さんだけが犠牲になって、みんながハッピーになるという絶対の安心感のもと、腹を抱えて笑えるほどの馬鹿な言動や、思わず涙が出てくるほどの人情味あふれるやり取りで、僕たちの心を満たしてくれるからなんだろうと思います。
これは、寅さんが聖人君子ではないからなんだろうという気がします。
どんな時も、慎ましく、他者を優先できる人。
とっても素晴らしい人です。
まさに尊敬の対象です。
寅さんは、真っ直ぐな愛で自分を犠牲にできる。
でも、いつもはデタラメ。
だから、愛される対象なんだと思います。
完璧な人間なんて、まずいません。
だから、完全無欠のヒーローよりも、自分に素直で人間らしい寅さんに、僕は共感してしまいます。
そして、自分のダメなところも、寅さんを見ていると許せてきます。
似て非なるものという言葉がありますが、それとは逆で、寅さんとは全然違うものに見えて、実は本質的に同じメッセージを発しているものがあると思います。
それは、宮沢賢治さんの『雨ニモマケズ』です。
寅さんも雨ニモマケズも、人のことで本気で笑って本気で泣けることに核心があるような気がします。
僕は、小学校6年生の時に、初めて雨ニモマケズを読んで以来、「自分もこういう人になりたい!」と思い続けています。
でも、ハードルが高過ぎます。
それこそ、先程例えに出した尊敬の対象となるような聖人君子的人物像です。
僕には土台無理であるということに気付きつつあります。
寅さんは、もっともっとゆるく、僕を核心に導いてくれている気がします。
きっと、沢山の人がそんな気持ちにさせられたんじゃないのかなぁって思います。
今回は自己完結的な結論になりますが、僕はこれからも、スパルタな雨ニモマケズ先生と甘やかしてくれる寅さん先生の両先生からのご指導で、自分の生き方について学ばせていただこうと思います。
今回の二泊三日の視察では、彦根市と茅野市の方々から多くのことを教えていただきましたし、長い移動時間にはブログの執筆を通して自分と向き合うことができ、本当に充実した時間を持てました。
みなさんに『男はつらいよ』の鑑賞をおすすめし、また、視察で得られたものを大分市に還元することをお誓い申し上げ、今回の記事の結びといたします。
最後に一言・・・大分に元気とまつき!!