読点の打ち方 | matsui michiakiのブログ

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横浜市立大学名誉教授
専門は19世紀フランス社会経済史です

 読点の打ち方
 
句読点は文章符号の一種である。句読点を打つことによって言葉の切れ目を明示することができる。句点は文の終わりを表わす。読点には、意味の切れ続きに応じて語や句を区切り視覚的なまとまりをつくる働きがある。句読点のない文章は読みにくかったり、意味が曖昧になったりする。
 つまり、句読点は、書き手が言いたいことを正しく伝えるために役立つだけでなく、読み手にとっては文章の誤読や難読を避ける働きをもつのである。もし人が句読点のまったくない文章に接したとしたら、読みにくくて逐一ひっかかりを覚え、内容を汲みとるどころではなくなるだろう。
 句点を打つのは容易で、ほとんどの人は正しく使うが、読点の使い方には現実的に各人各様のやり方がおこなわれており、誤った使い方のためにかえって文の流れが悪くなる例が少なくない。たとえば、大学一年生が400字から成る文章を書くとして、読点をまちがわないで打つ者はほとんどいないほどである。書き手自身は意味あることを書いたつもりでも、読み手にとっては何のことかさっぱりわからないことがある。
 専門研究者においても、これほどひどくはないにしても、読点の打ち方がぞんざいであるため、読みにくい文章となっている場合が少なくない。新聞や雑誌の記者の場合は、新入社とともに徹底的に指導されるため、まちがいはない。よって、これらがひとつのモデルとなりうる
 そこで、ここでは読点の打ち方に絞って例を挙げて説明したい。
 
(1) 文の主語を示す語句のあと
   (例) この話は、昔からこの地方に語りつがれてきたものである。
           ただし、主語の後にすぐ述語が来る場合は不要。  例) 彼は学生です。
 
(2) 文を中止するところや、並置の関係にある語句の間。
  (例) サル、タヌキ、ウサギのぬいぐるみ。      
   (例) 赤い、美しい花が咲いた。
  (例) 日が沈み、月が昇る。              
   (例) 私は家に帰り、夕食をすませた。
 
(3) 感動詞や接続詞のあとなど、他の成分と独立の関係にある語句のあと。
  (例) さあ、出かけよう。              
   (例) しかし、結果は意外だった。
 
(4) 限定を加えたり、条件や理由を挙げたりする語句のあと。
  (例) 彼は気が弱いので、彼女に何も言えなかった。
  (例) 金と暇があれば、旅行に行く。
 
(5) 助詞を省略したところ。
  (例) 私、知っていました。 [註]「それを」が省かれている 
  (例) 何が好きなのか、言ってごらん。
 
(6) 文頭の副詞や副詞的な語句のあと。
  (例) 昨夜、やっと原稿を書きあげました。      
  (例) もし時間があれば、伺います。
 
(7) 語句を隔てて修飾するとき、その修飾語のあと。
  (例) この、針のように細いものは何ですか。     
  (例) 大きな、町の中央を流れる川が見える。
 
(8) 提示した語のあと。
  (例) 愛、これこそ私の求めていたものだ。
 
(9) 誤解を避けるために必要なところ。
  (例) ここで、はきものを脱いでください。     
 (例) 慌てて、逃げた男を追った。  
 
10) 文を倒置したとき、倒置部分の前。
  (例) だれだ、私のパンを食べたのは。
 
11 )二つの文から成る文の場合、主部の前。
  (例) 彼は無実だ、と人々は信じている。
 
12) 息の切れ目や、読みの間(ま)の部分。
  (例) ジャン、ケン、ポン             
  (例) りりりり、リーン、とベルが鳴った。