笹子トンネル天井板崩落事故 2(2012年12月5日のブログ記事です)
【複製】中央道笹子トンネル天井板崩落事故は老朽化やボルト劣化ではない人災だった
笹子のみ打音検査せず 中日本高速道路を家宅捜索 山梨県警
昨日のブログ「笹子トンネル天井落下のボルト脱落は予測されるのに落下防止策がされていなかった」
http://ameblo.jp/matsui0816/entry-11420158161.html
におきまして「老朽化とかボルトの劣化いう理由は納得いきませんね」という事を申し上げていましたが
やはりそうだったのかという記事がだされています。
笹子のみ打音検査せず 中日本高速道路を家宅捜索 山梨県警
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/121205/dst12120501120000-n1.htm
2012.12.5
山梨県の中央自動車道笹(ささ)子(ご)トンネル天井板崩落事故で、中日本高速道路は4日、管理する同じ構造の3つのトンネルのうち、本体の天井部にあるつり金具のボルト部分の打音検査をしていなかったのは、笹子だけだったことを明らかにした。
県警は同日、業務上過失致死傷容疑で同社本社など6カ所を家宅捜索、工事関係書類など約550点を押収した。
事故ではトンネル最上部の天井と天井板をつなぐつり金具を固定するボルトが脱落。同社によると、笹子以外は、天井板から天井までの高さが約2メートルだが、笹子は5メートルで打音検査はできなかった。同社は「検査は目視が基本」としている。
県警は、同社が笹子以外では打音検査をしていることから、検査の必要性を認識しつつも構造を理由に目視だけにとどめていた可能性があるとしてボルトの状況や検査の経緯を調べる。
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転載は以上ですが
昨日のブログ「笹子トンネル天井落下のボルト脱落は予測されるのに落下防止策がされていなかった」
http://ameblo.jp/matsui0816/entry-11420158161.html
で、振動が多い中。ボルトをコンクリに埋め込まないで接着剤で固定する、というのはスポット抜けやすいやり方だからです
(接着剤で持たせていますが接着剤の効果が保たれる期間はコンクリと同じだとは思われません)
図は記事「ボルト老朽化、脱落 前兆見逃し ずさん点検」より
http://sankei.jp.msn.com/affairs/photos/121204/dst12120407060001-p2.htm
どんな接着剤が使われていたか分からないのですが、普通どうしても接着剤は化学製品ですのでコンクリートととの接着面が水分などが入り、凍結や膨張などで一旦剥離状態ができます,ともうくっつく事はありません、ですからコンクリートとボルトを一体化する接着面が弱くなりますのでスポット抜けやすいわけです
またこの取り付け方法では点検でも下から見ただけでは、抜けている状態や緩んで来ている状態が下図で示します様に分かりにくいわけです
(注!接着剤は一度離れると再び自然に接着することはありません)
つまり、下からでは5mの高さもあり,同じ様に下がって来ていたら抜けてきた状態は打音検査でもしないと分かりにくいのです。
(図では離れた状態を誇張していますが、接着材で持っている場合ほんの少しでも離れたら元には戻りません、ですから補助がいるわけです)
いずれにしましても。接着剤で止めるという内容ですから、老朽化とかボルトの劣化いう理由は納得いきませんね、それはこのトンネルよりもずっと以前に作られているトンネルでは起こっていないからで、当時のその個所を受け持った工事の施工にも問題があったかもしれません、
つまり接着剤で1トンと言われる重い連結された天井を吊っている様な施行方法ですから接着剤の挿入時に充分に埃などの撤去や掃除がされていたかという事があるからです、
勿論地質的に破砕帯などによる地下水の影響も考慮に入れないといけませんが、やはり基本的には点検の時にこの箇所は充分に注意されていなかったのではないかと思われるわけです。
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と書かせて頂いてます様が、何とこの笹子トンネルだけ打音検査をやっていなかった、というのは一枚が1トンもある様な天井板をずらりと並べて、相当な重量があるそれらを、垂直で落ちる位置でわずか13センチほど掘った穴に接着剤で付けて、それだけで吊るしている工法で落下防止策も講じていなかったわけで、下から見てボルトのズレが分かりにくいやり方だけに打音検査は必要であったわけですから、経年劣化を考慮すればなおさら、メンテナンスのマニュアルの問題点が浮かび上がってくるわけで、車の損害だけでなく亡くなった方も出ておられるわけですので、これは人災と言わざるを得ないわけです
どうか安心して高速道路が走れますように、多くの構造物が高度成長時代より作られていますから、国も維持管理事業(メンテナンス事業)の更なる確立と単なる補修点検でない、人命と国の財産を守る事業として,その位置図けと人材育成・産業としての構築に真剣に取り組んで頂きたいと願わずにはいられません
ブログ読者bunkataisi さん http://ameblo.jp/bunkataisi/ の 工事経験者コメントです
その通りだと思います。
若い頃、自動車関連企業でプレス機械の導入・据付・保全関係の仕事をしていました。
30~40年前、ケミカルアンカーがその頃もてはやされていた事を思い出しました。
笹子トンネルで天井板の吊り下げにケミカルアンカーが使われていたとは、正直、驚きました。
大型車の走行時には車体重量と走行スピードによる振動と、風圧により天井板から吊り下げボルトを通じてアンカー部分には繰り返しのストレスが作用している訳です。
ボルトが抜けたらすぐに落下する様な構造自体で、その下をいつも自動車が走行している訳ですから、きめ細かな管理がされていなければなりません。
神戸のトンネルではフェールセーフのワイヤーが取り付けられてる様ですが、これが有るべき姿で、正しい設計思想だと思います。
トンネルの設計時に天井板の工法を採用した設計者、点検要領を決めた者、その後トンネルの維持管理を任された者、これだけ多くの者がかかわっても軌道修正がされず大きな災害を起してしまいました。
点検をしていたのはそれなりに訓練を受けていたグループでしょうから、吊り下げボルトのハンマーテストが義務付けがされていない事に疑問を持たなかったのかと不思議に思います。
仕事に誇りを感じている作業員の中には天井ボルトの劣化を心配していた者も有ったと思います。
「笹子トンネルの天井板崩落事故」は正しい声が反映されず打ち消されてしまう様な組織が生んだ”人災”だと思います。
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転載は以上ですがブログ読者bunkataisi さん http://ameblo.jp/bunkataisi/ 有益なコメント有難うございました
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