【複製】笹子トンネル天井落下のボルト脱落は予測されるのに落下防止策がされていなかった | はちまんMatsuiコラム

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一級建築士・一級瓦葺き技能士・宅建士・歴史研究 松井秀夫

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笹子トンネル天井板崩落事故 1(2012年12月4日のブログ記事です)

【複製】笹子トンネル天井落下のボルト脱落は予測されるのに落下防止策がされていなかった

【トンネル内崩落】ボルト老朽化、脱落 前兆見逃し ずさん点検

 

笹子トンネルでの天井落下の事故が日曜のサンデーモーニングを見ている時に緊急のアナウンスがあったのですが、原因が高速道路のトンネルを普通に通っていたらトンネルの天井が落ちて来て犠牲者が出たという事ですので、全くこれでは防ぎようがない事故が起こったモノとこの成行きに注目していました

ただ発表された天井裏の取りつけ工法を拝見したときに設計施工をしている者として驚いたわけなのです


この記事にもあります様に「真上に埋め込んだだけの設計でよく怖くないなと驚いた」と話した。」と言う様に、設計や工事をしているモノからすれば、この様な感想をもつ人は多いのではないかと思います


振動が多い中。ボルトをコンクリに埋め込まないで接着剤で固定する、というのはスポット抜けやすいやり方だからです

 

(接着剤で持たせていますが接着剤の効果が保たれる期間はコンクリと同じだとは思われません)
滋賀県近江八幡市から日本国のリフォーム              ブログで言うDay 一級建築士・松井秀夫  

図は記事「ボルト老朽化、脱落 前兆見逃し ずさん点検」より

http://sankei.jp.msn.com/affairs/photos/121204/dst12120407060001-p2.htm


どんな接着剤が使われていたか分からないのですが、普通どうしても接着剤は化学製品ですのでコンクリートととの接着面が水分などが入り、凍結や膨張などで一旦剥離状態ができます,ともうくっつく事はりません、ですからコンクリートとボルトを一体化する接着面が弱くなりますのでスポット抜けやすいわけです

 

またこの取り付け方法では点検でも下から見ただけでは、抜けている状態や緩んで来ている状態が下図で示します様に分かりにくいわけです

 

滋賀県近江八幡市から日本国のリフォーム              ブログで言うDay 一級建築士・松井秀夫

(注!接着剤は一度離れると再び自然に接着することはありません)


つまり、下からでは5mの高さもあり,同じ様に下がって来ていたら抜けてきた状態は打音検査でもしないと分かりにくいのです。

 

(図では離れた状態を誇張していますが、接着材で持っている場合ほんの少しでも離れたら元には戻りません、ですから補助がいるわけです)
 

いずれにしましても。接着剤で止めるという内容ですから、老朽化とかボルトの劣化いう理由は納得いきませんね、それはこのトンネルよりもずっと以前に作られているトンネルでは起こっていないからで、当時のその個所を受け持った工事の施工にも問題があったかもしれません、

 

つまり接着剤で1トンと言われる重い連結された天井を吊っている様な施行方法ですから接着剤の挿入時に充分に埃などの撤去や掃除がされていたかという事もあるからです、

 

勿論地質的に破砕帯などによる地下水の影響も考慮に入れないといけませんが、やはり基本的には点検の時にこの箇所は充分に注意されていなかったのではないかと思われるわけです。

この様なタイプの場合では、図面からも分かります様にスポッと落下が予測されますから阪神高速などでは落下防止ワイヤーがされています、図面がありますので以下のサイトをご覧ください

天井板崩落】阪神高速は落下防止ワイヤあり
http://kenplatz.nikkeibp.co.jp/article/const/news/20121203/594010/  

 

 

神戸長田トンネルの天井板は、吊り材に加えて、フェールセーフ機能として、天井板の落下防止対策のワイヤーが設置されています。

滋賀県近江八幡市から日本国のリフォーム              ブログで言うDay 一級建築士・松井秀夫
中央道笹子トンネル天井板崩落事故を踏まえた緊急点検の実施について
阪神高速道路株式会社より

http://www.hanshin-exp.co.jp/company/topics/2012-1203.html  

 

 

いずれにしましても、重い天井板を支える構造としては予測される危険に対しての予防策にされているところと、そうでないところがあったわけです

(気付いたら補強や追加の防止策をしていたと思います)

 

事故が起こってからでは遅いのですが、なんの罪もない人が突然の天井板の落下で亡くなっておられるのですから、キチンとした原因の究明と防止対策、予防対策が行われる事を願わずにはいられません


 

(転載開始)

ボルト老朽化、脱落 前兆見逃し ずさん点検
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/121204/dst12120407060001-n1.htm

2012.12.4 ]

天井板崩落事故で大破し、運び出されるトラック=3日午前、山梨県甲州市

 笹子トンネルでは、天井板を支えていたつり金具をトンネル最上部に留めるアンカーボルトが抜けていた。中日本高速道路は「老朽化」の可能性を指摘する。なぜボルトは抜け落ちたのか。点検で異変の「前兆」を察知できなかったのか。専門家はボルトの重要性が認識されず、点検方法に問題があったと指摘する。

                ■  ■  ■

 中日本高速の吉川良一専務(63)は3日の記者会見でボルトが抜け落ちた原因について「一つは老朽化。もう一つは何らかの外力が加わった可能性」と説明。「コンクリートや接着剤などボルト周辺が劣化した可能性もある」とした。

 つり金具とトンネル最上部は、金具にボルトを通す形で接続されていた。ボルトは長さ23センチのうち13センチがコンクリート部分に埋め込まれ、埋め込む穴に流し込んだ接着剤が凝固することで固定されているつり金具1本につきボルトは3、4本。ボルトには重さ約1・2トンの天井板を支える重要な役割がある。

 それが抜け落ちた。その結果、天井板がV字形に折れて落下。板は金属板で連結されていたため、隣接する天井板も次々と連鎖的に崩落していった。「(地下)水で腐食したり、車の振動が伝わってボルト自体が劣化することはある」。こう指摘するのは早大理工学術院の浜田政則教授(69)=土木工学=だ。

 トンネル工事では、トンネルの下部から順に型枠にコンクリートを流し込んでアーチ状の形を作る。最上部付近ではコンクリートの強度が落ちることもあるといい、浜田教授は「コンクリートの品質が良くないところに、ボルトを固定してよかったのか」と疑問視する。

中日本高速は9月に実施した点検作業で「異常はなかった」とした。前兆はなぜ見落とされたのか。

 点検を担当していたのは、同社の子会社、中日本ハイウェイ・エンジニアリング東京(東京都新宿区)だ。マニュアルに基づき3種類の点検を行ってきた。日常点検は2週間に1回実施。車で低速走行しながら壁からの水漏れなどを目視で確認している。年に1度の定期点検では作業員が実際に歩いて確認する。

 作業員が天井板の上に乗り、トンネル最上部の状態を確認するのは、5年に1度の詳細点検だけ。しかも、天井に固定されたつり金具とボルトについては、高さが約5メートルあるため、ハンマーでたたいて音で確認する「打音検査」をせず目視で済ませていた。国の通達に基づく指針でも打音検査を義務づけていなかった

 吉川専務は「目視の能力は高い」と言うが、浜田教授は「1、2本ボルトを引き抜いてサンプル検査をしていれば、事故は防げたかもしれない」と指摘する。トンネル開通の昭和52年以降、ボルトを含めたつり金具は交換されず、補修作業が行われた記録もない。

これまでもボルトの腐食や脱落が原因で重大な事故が何度も発生している。東京都大田区のボルトメーカー、丸善機工の斉藤善行(よしゆき)社長(63)は「ボルトは人命にかかわる部分に使われていることが多い。真上に埋め込んだだけの設計でよく怖くないなと驚いた」と話した。

 

転載は以上です

 

続きのブログですご覧ください

中央道笹子トンネル天井板崩落事故は老朽化やボルト劣化ではない人災だった
http://ameblo.jp/matsui0816/entry-11420914827.html

 

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