SCとCSと武器輸出…安保は憲法に規定する公共の福祉、「平和主義」も再定義を:長島昭久衆議院議員 | 松田学オフィシャルブログ Powered by Ameba

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日本を夢の持てる国へという思いで財務省を飛び出しました。国政にも挑戦、様々な政策論や地域再生の活動をしています。21世紀は日本の世紀。大震災を経ていよいよ世界の課題に答を出す新日本秩序の形成を。新しい国はじめに向けて発信をしたいと思います。

 このところ、ますます保守政党と言えなくなっている自民党にも、保守の志高き国会議員たちがいることは言うまでもありません。皆さん、自公連立の中で苦労しているようですが…。今回は、久しぶりの現職政治家との対談シリーズということで、私が長年、親しくお付き合いいただいている自民党の長島昭久・衆議院議員との対談を配信しました。

 かつての安保法制や一昨年末の安保三文書に続く日本の安全保障で残された課題が、➀(SC)セキュリティクリアランス、➁防衛装備品の輸出、③(CS)サイバーセキュリティ法制の3つである。

過日、長島議員はこうした観点から予算委員会で質疑に立ち、対談ではこれらがテーマとなりましたが、共通しているのは、憲法で保障された様々な人権も、これも憲法に定められているように、国家安全保障という「公共の福祉」による制約を受けるという点です。海外では当たり前ですが、このことへの理解を日本でも浸透させねばなりません。

 外国人の土地取引規制が公明党からの横槍で「骨抜き」になったと同じ事態が心配されたのが、ようやく今通常国会に提出される➀のセキュリティクリアランスですが、多くの国民の理解を得ながら、これからも完成度を高めていくということのようです。

 ➁の防衛装備品は、戦後も武器輸出は限定的にやっていたのであり、そこに戻るだけのこと。安倍氏が唱えた「積極的平和」主義を待つまでもなく、現下の国際情勢で本当に平和を維持したいなら、公明党や左翼が言う「平和主義」の内容を根本的に変えなければ、ウソになるでしょう。

 ③のサイバーセキュリティは、相手のサーバーをサーチすることが違憲ではない旨の内閣法制局長官答弁を引き出したのは、長島議員の大きな功績だと思います。これを前提に法整備が進むことを期待しています。

 トランプ氏の再選が日本の自立のチャンスであると肯定的に捉える長島氏は、参政党とも同じ立場。ただ、改憲を緊急事態条項からとおっしゃる点は、ちょっと違いますが…。

日本の安全保障に関して、当面の現実的な政策論としてよくまとまった内容の対談になりました。

 

◆『長島昭久先生に訊く!予算委員会質問の真意は?そしてトランプ復活に日本はどう備えるべきか?』ゲスト:衆議院議員 長島昭久氏

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●セキュリティクリアランス…

外国人の土地取引規制の際も、反対する人たちは所有権の問題、営業の自由とか、憲法上の権利とかを主張。それらももちろん大事だが、規制によって守られる法益がある。防衛施設周辺の土地に意図的に投資された場合の日本の安全、生活を守るという公共の福祉のもとに、人権が無制限に認められるわけではないことは憲法にも書いてある。そことの調整を図る立法をしたが、反対する人たちの声も踏まえざるを得ないということで、骨抜きという意見も出るのだろう。

完璧なものはいきなりは難しい。まずは作って、そこから見直しするしかない。セキュリティクリアランスもそうだ。企業活動と安全保障は不可分。機密情報にアクセスする人たちを限定してバックグランドをチェックする。のべつまくなしにというわけにはいかないので、憲法上の人権はあるが、ここも安全保障。

特定秘密はトップシークレット、そこまではいかないが、ある程度、秘密の保持は資格のある人たちに限定。日本だけの問題ではない。国際的な共同開発も、これがなければ、相手国から、ここから先は協働できないとなってしまう。ビジネス上の不利益もある。

ようやく諸外国と並んだ。G7の他の国は全て、セキュリティクリアランスの制度がある。希望者だけをチェックするものであり、一般人に対するチェックではない。

 

●防衛装備品の共同開発・輸出…

日本で初めて、完全な自主開発でも米国依存でもない、戦闘機を共同で。エンジン、レーダー、ステルス性の3つ。相手に見つけられない状況で攻撃。その能力を備えた次世代戦闘機。英国とイタリアと。

協働で研究して開発して生産して終わりではなく、必ず売らねばならない。販路を広げることで開発コストも下がる。それぞれの国が限られた予算を持ち寄って、販売の部分で。

本件もようやく与党内合意に。公明党は平和の党、殺傷兵器は輸出しないということで、佐藤栄作政権のときは一定範囲で輸出できる上での三原則だったが、三木内閣で全面的にダメになったもの。佐藤政権のとき、武器の供与はしていた。そこに戻ろうとするもの。

ウクライナ戦争ではっきりしたのは、世界警察がないということ。侵略する国とされる国があり、された場合は抑止力、それで国際秩序が保たれる。日本だけでなく、侵略を受ける国とも共有。ただ、戦闘機なので、公明党は面食らうかもしれないが、今述べた理屈。

殺傷兵器は売らないと言っても、他国は売る。日本一国平和主義なら世界は安定というのが過去の考え方。日本が殻に閉じこもって国際社会が平和になるのではなく、積極的平和主義のもとに第三国への移転を考えようということ。「平和主義」の再定義が必要。

公明党の決断で一歩進む。公明の背後の人たち、6~7割の民意の理解が必要。紛争当事国や制裁受けている国らなどには売らない。目的をはっきりさせた上で。

 

●サイバーセキュリティ法制…

日本はこの分野でマイナーリーグだとされる。抜けている、と。サイバー攻撃は、一つは機能破壊。重要インフラへの攻撃、それらがダウンされて…米軍も自衛隊も機能しなくなる。最近はハイブリッド戦争で、戦争の前触れかも知れない。発信元を突き止めて、能動的サイバーセキュリティ。相手の方に行って…。

もう一つは情報操作。人々の不安を掻き立て、政府への信頼を落とす。

防御のためでもサイバー攻撃は武力行使ではないかという議論があるが、物理的な破壊を伴わない。攻撃した相手を無力化するもの。反撃可能であり、自衛権の範囲だ。問題は元を突き止めること。国家主体か非国家主体かを見極めるためのパトロールだ。

憲法21条(検閲の禁止、通信の秘密などについて規定)とか、通信の秘密に触れるとか、これも確かに大事だし、手紙を開けてはいけないのはそうだが、攻撃を受ける道筋、アトリビューション、発信元を突き止めるために、公共の福祉の制約を受ける。

予算委員会の質問では、内閣法制局長官からOKの答弁引き出した。検閲は絶対にダメ、しかし、通信の秘密は公共の福祉に制約されるとの答弁。これに基づいて法整備へ。

 

●「もしトラ」から「ほぼトラ」へ

1月にワシントンに行ったら、帰りはもう「ほぼトラ」。なぜバイデン政権が厳しいか。3つのI(アイ)。➀インフレ。一時は9%、今は3%に抑えたが、物価水準でみれば、8ドルで買えたのが10ドル、14ドル、庶民からしたら苦しいままだ。

もう一つは、➁イリーガルイミグレーション、不法移民。南のボーダーだけでなく、収容しきれず各州に。トランプが壁を作ったのにバイデンが開けた。

三つめが③イスラエル。イスラエルのハマスへの反撃が過剰。ホロコーストの生き残りの方まで、ネタニヤフに怒っている。やり過ぎだと。バイデン政権不支持に。若手のZ世代と、ユダヤ人の中でも。

米国はこれだけの経済。成長率も上げ、株価を上げ、インフレも押さえ、失業率も歴史的に低いが、庶民からの不満。トランプは裁判で叩かれるほど岩盤支持層から支持。

 

●トランプ再選で日本はどう対応?…

そんなに心配ない。貿易交渉も外交交渉も、トランプは最初にかます。その上でネゴに入る。あの交渉術のパターンを習得すれば、反発ではなく、いったん聞いた上で、こういうこともあるよと、きちっとしたロジックで言う。安倍さんそうだった。

日本が自分たちの足で立とうという気概が日本にも出てくる。頼るな、それぞれの国ファーストでやれと。そうできるようになるのは悪くはない。NATOに関する発言も、まともに受けてははいけないレトリックだった。あれで欧州は自主防衛の路線に。日本が自主防衛に向かうきっかけになると思う。連邦議会との関係を強化しようと思う。対米依存から脱却する良いチャンス。

トランプだと、日本が中国から侵略されても見捨てる?ただ、クアッドなどをトランプは安倍さんと一緒にやった。事実を見れば、変なことはしていない。日本はむしろ、自立のチャンスだ。自分で技術開発して市場を開拓して。トランプになっても、今までやってきた積み重ねでなんとでもなる。

安保三文書も絶賛されている。これでトランプは満足だと、ハガティ前駐日大使が言っていた。真の自立が問われる日本。そのフェーズに入った。

憲法改正は、憲法審査会が未だに動いていない。立民と共産の反対で…。自公、維新と、国民民主で多数決でいいから発議する。国民に問う。国民の半数がyesと言わないと変えられない。国民にまだ語りかけていない。今年中の発議、まずは緊急事態条項に絞り、風穴を開ける。戦後レジームからの脱却は加速される。