【2021年の新春を迎えて】今年を希望の年に転じるために~本格化する人類文明の大転換と日本新秩序 | 松田学オフィシャルブログ Powered by Ameba

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日本を夢の持てる国へという思いで財務省を飛び出しました。国政にも挑戦、様々な政策論や地域再生の活動をしています。21世紀は日本の世紀。大震災を経ていよいよ世界の課題に答を出す新日本秩序の形成を。新しい国はじめに向けて発信をしたいと思います。

あけましておめでとうございます。新春に当たり、メッセージをお届けします。

コロナで始まりコロナで終わった昨年は、何もかもが異常な一年でした。

昨年は、コロナが中国の覇権拡大を助長し、米国大統領選までコロナが決定づけました。そして、米国の民主主義やメディアのあり方までが世界を驚かせることになりました。

コロナの中で世界各国が一種のMMT政策に走り、溢れたマネーが株式時価総額を世界のGDPを初めて上回るまで膨らませる事態になり、まさにバブル状態。日本の国家予算も戦時体制下のごとき水膨れとなりましたが、これらの着地点がどうなるかは、誰も展望できていません。

コロナ対策は安倍前総理の病気を再発させ、新たに菅政権が誕生しましたが、その菅政権もコロナの中で解散を打てず、コロナ「第三波」で支持率も低下しています。

このように、昨年はコロナがすべてを決める一年でした。

今年は、ポストコロナに向けて希望ある一年にしなければならないという決意で臨んでまいりたいと思います。

●人類文明の転換期としての21世紀

21世紀は大きな文明の転換期だと言われます。文明史学においては、文明の中心が東西で800年ごとに入れ替わる800年周期説というものがあります。13世紀以降世界の文明をリードすることになったのは西洋でしたが、それから800年を経た21世紀に、文明は西から東へ、つまり西洋からアジアへと、その中心が回帰していくとされています。

そうした転換期を象徴するかのように、21世紀の最初の年の2001年には9・11、すなわち同時多発テロが米国で起こりました。これは、それまでの軍事的な力による覇権というものがノーを突き付けられた事件だったといえます。2008年にはリーマンショックが起こりましたが、それは、膨張する金融主導の資本主義では人類社会の問題解決にはならず、もう少し別のパラダイムを模索すべきであることを示すものでした。

そして2011年には、3・11、すなわち東日本大震災が日本で起こりました。

その直後に被災地を訪れ、荒涼たる文明の破壊を目にした私の脳裏に浮かんだのは、これは、今までとは異なる新しい人類文明を創らねばならない、その担い手は日本である、日本民族にはそのような歴史的な使命があるのだという神からの啓示ではないかということでした。爾来、私は「日本新秩序」を政治理念として掲げてまいりました。

このように、21世紀に入ってからすでに予兆が出始めていた人類文明の転換を決定づけることになったのが、昨年からの新型コロナではなかったでしょうか。これからは新しい世界秩序を求める時代に入ると思います。

 

●拡大する中国の覇権

しかし、これも文明史学によれば、文明の転換期にはとんでもない覇権国が現れるそうです。昨年はまさに、「見えない戦争」が可視化した一年でもありました。Silent Invasionとも言われますが、これだけ中国が脅威であることを世界が認識するようになった年はなかったのではないでしょうか。大統領選をみても、メディアやSNSでの規制、そして選挙結果も、中国にとって都合の良いものになっていると指摘されています。

ジョージ・オウエルが「1984年」で表わした監視社会を中国が情報技術で進めています。これが単に中国国内だけでなく、世界をユートピアとは逆のディストピアへと向かわせているのではないか、今年は放っておくと、これが拡大することが懸念されています。

私たちは言論の自由、全体主義に対して自由という価値を守っていく使命を自覚しながら事に当たっていかねばならない、そのことを痛感させられています。

特に昨年は、RCEPの合意、習近平によるTPP参加表明など、米国がごたごたし、後退している間に、アジア太平洋の秩序を中国が主宰するものにしていこうとするかのような出来事がありました。デジタル人民元のインパクトへの人々の理解は未だに不十分ですが、既にCIPSという人民元建て決済システムが2015年から稼働し始めており、これがRCEPで拡大し、そこに、昨年に入ってから実証実験にまで急速に踏み込んだデジタル人民元が導入され、さらに人民元建てオンラインバンクも海外で現れる。

こうして色々なものが組み合わさることでできるのが、中国が主宰する国際通貨プラットフォームです。これがいったんできてしまうと、中国が世界一のプラットフォーマーとして「デジタルドル」や「デジタルユーロ」、「デジタル円」まで発行する事態も予想されています。先進各国も急いで中央銀行発行のデジタル通貨の研究を始めていますが、発行したところで、中国のプラットフォーム上で取り扱われることになりかねません。

中国が先行して技術基盤を整備してしまうと、こういう事態も予想されます。デジタル人民元こそ、中国の世界覇権を完成させるものだとも言われます。

 

●ブロックチェーン革命と日本が創る協働型コモンズ

しかし、私たちが考えるべきことは、文明の中心が東側に移行しても、その担い手は中国ではないということです。転換期に現れるそうした国は、いずれ内部崩壊するそうです。そこで問われてくるのが日本の存在です。

日本が遅れていたデジタルトランスフォーメーション(DX)がポストコロナで本格化するとされていますが、多くの人々がコロナ禍のもと、リモート化を経験して感じたのは、逆に、アナログの大切さではないでしょうか。確かに、リモートでも仕事やコミュニケーションはできますが、やはり、人と人との接触、デジタルではないアナログということがないと人間は人間らしく活性化しませんし、私もチェロ弾きとして音楽を営んでおりますが、同じ空気の中で人間どうしが直に肌感覚でコンタクトしていないと、良い文化は生まれないものです。

DX化と同時に、これと対極をなすようにアナログの価値が見直されてくるのが、これからのもう一つの潮流ではないでしょうか。アナログこそは日本の得意分野。そこで様々な価値を創出することも日本新秩序のメニューの一つになってくると思います。

さらにもう一つ、コロナで決定的になったのが格差の問題です。拡大する格差の問題への取り組みは経済政策の次元でも様々なことが考えられますが、日本が古来から営んできた平等や利他の精神、協調や調和という価値が、これまで以上に世界が求めるところとなってくるでしょう。アダム・スミスが明確化したような、競争と利己によって導かれる予定調和という西洋型の概念だけでは、人間は幸せになれないということを、先進各国はより強く意識するようになっています。

コロナ対策で主要国は未曽有の財政金融出動によって、まさにMMT(現代貨幣理論)を実行するに至りましたが、今回のように家計や企業の存続を政府の無償資金で支える姿は、国家介入の最たるものでした。特に米国で台頭しているのは、サンダース現象でも露わになっていた社会主義の潮流です。コロナは、雇用創出を専ら民間が担う新自由主義から国家機能の拡大へと、経済政策の考え方を転換させる契機になったかもしれません。

経済成長の中心軸がITとなった近年では、雇用創出力の弱いIT産業に代わって雇用を生み出していたのはサービス産業でした。しかし、この部門がコロナでやられ、雇用吸収の担い手として国が前面に出てくる可能性があります。

しかし、それ以上に大事なのは、人々が自立しながら協調して多様な価値を創り、ともに支え合う社会の形成だと思います。ここで登場するのが、私がかつて上梓した拙著「いま知っておきたい『みらいのお金』の話」でも描いた協働型コモンズです。

資本主義と併存する形で、もう一つ、「いいね」感覚で生み出されるユーティリティ・トークンという新しいお金が、人々の協働を支え合う。これは情報技術の進歩が可能にしている新たな社会基盤となるものです。若い方々の中には、すでに取り組み始めている人もいます。それが多様な地域づくりやコミュニティづくりを支えていく。

これからキーワードになるのはコミュニティであり、人間どうしのアナログな接触で生み出されるコミュニティをデジタルが支えていく。デジタルとアナログの新しい融合の形を日本が生み出していく、日本はそのような位置づけの国になれるのだと思います。

 

●日本新秩序の舞台としての自由で開かれたインド太平洋

コロナが示したのは、前述のような日本的な価値観を世界が求める時代になったということだと思います。よく戦争賛美と誤解されるのが「大東亜」という言葉です。これは本来は、平等や利他の精神、協調という価値を、日本が世界に対して提唱したものでした。「八紘一宇」とか「八紘為宇」と言われていますが、それは人類がそれぞれ互いに協調して連帯しながら調和を創っていく、白人支配の植民地秩序ではなく、人種差別のない平等な戦後秩序へと導いたのは日本でした。

これを現代に置き換えて考えれば、軍事や経済的な支配力といったハードパワーではなく、ソフトな影響力で、世界中があれをやってみようという形で自然に伝播していくことで形成されるという意味での大東亜であり、八紘一宇的な考え方です。これを世界が求める時代になっていると思います。

昨年は「自由で開かれたインド太平洋」が具体的な進展をみせた年でもありました。これは日米豪印の4か国から成る、主として安全保障を趣旨とする「クアッド」の本格稼働とも軌を一にするものですが、この中身を固めるのが東南アジアであり、これが加わることで形成される繁栄のプラットフォームといえます。

習近平の中国が極端な政策をすればするほど自然にまとまっていくのが海洋同盟です。これは世界的な戦略家であるルトワック氏が松田政策研究所チャンネルでも述べていたことで、GDPを足し合わせると、あの中国よりも巨大な地域がシーパワー連合としてまとまるという事態を招いたのは、中国自身だともいえます。

そして昨年は、このインド太平洋シーパワー連合に欧州も加わることになりました。フランスはジャンヌダルクを英国はクイーンエリザベスを東シナ海にまで派遣して共同訓練をする、ドイツも軍艦を派遣するということになりました。香港やウイグルなどの人権弾圧など、さすがに中国はおかしいと英仏独が気付き始めました。もちろん、これからの繁栄の中心が大西洋から太平洋地域へと移行していく大きな潮流をも踏まえた判断でしょう。

これを「中国包囲網」と言ってはいけないと言われていますが、「自由で開かれた」という意味において、中国とは異なるやり方と価値を生み出していく、そうすることで中国に対しても影響力を発揮していけるような新しい価値づくりのプラットフォームになっていくべきものだと考えられます。

このインド太平洋構想を提唱したのは安倍前総理でしたが、インドのように反米的な国や、米中いずれかの選択を表立って表明できない東南アジアの国々をまとめるということは日本にしかできない役割です。そこに米国が乗ってきた形で形成されつつある構想であり、日本が世界の戦略図の数十年ぶりの変更をもたらしたという意味でも画期的なものといえます。これから世界中が求めるのが日本ならではの営みが生み出す価値だとすれば、このプラットフォームを主導する日本には大きなチャンスが訪れているといえるでしょう。

ただ、その前提は、尖閣諸島のことも含め、中国に対しても、あるいは北朝鮮に対しても、安全保障面では絶対に譲らないという強い姿勢を堅持することです。他方で、価値創造の中核として世界の中で大きな影響力を発揮していく。これは力によってではなく、日本が良いことをやっているという形で自然にみんなが影響を受けることで、日本新秩序が世界新秩序になっていく。

それが21世紀の日本の道であり、今年がそのスタートの年になればと思います。

ルトワック氏はこうも言っていました。日本はランドパワー(中国)の周辺の国々で民生の向上でも文化交流でも、積極的に色々なことをやっていけばよい…と。常に周辺国のことを気にしなければならない宿命にあるランドパワーは、これに多くの勢力を向けることを余儀なくされ、結果として日本の安全保障に貢献するということです。これはいわば、日本が担う価値を周辺で展開していくということでもあり、日本新秩序が世界新秩序になっていく上でも意味ある戦略だと思います。

 

●日本の新しい国づくりへ

これからの日本の道を考える上で欠かせないのがデジタルトランスフォーメーションへの対応であり、その意味で今年新設されるデジタル庁が、果たして未来社会をどこまで先取りしているかが問われます。しかし、残念ながら、これがブロックチェーン革命まで視野に置いているとは聞いておりません。そこまで視野に置かねば、日本が遅れたものを取り戻し、世界を先導する国になるとはいえません。

これまでの30年はインターネット革命の時代、これからの30年はブロックチェーン革命の時代だと言われます。電子データが最大の付加価値の源泉として成長を主導する時代になりました。そこで日本は世界の標準やプラットフォームを各分野でとっていかなければなりません。

そのためにも、今年は、私が唱える「松田プラン」が稼働に向けて、より多くの人々の理解が進む年になってほしいと思います。そうすることで、日本がトークン・エコノミーで世界を先導する国になることを期待するものです。

また、日本の国民性にも適合しているブロックチェーンを様々な社会的課題解決や価値創造へと活用することで、この技術自体に多様なイノベーションを起こしていけるのも、日本が有する潜在力だと思います。こうして、各分野で国際標準をとっていく国になることが、最大の成長戦略になると思います。

他方で、AI革命で産業界に居場所がなくなる個人であれ、リタイア後にもう一つの人生の膨大な時間をどう生きがいをもって過ごすかを考えねばならない高齢世代の人々であれ、各人が自ら価値を追求し、そこに生きがいを見出し、それに共鳴する人々が、ブロックチェーンを基盤として「いいね」の投げ銭感覚で、そうした価値や生きがいを支えていく。こうして、民間の自立的な営みとして、色々な価値を生み出す多様な協働型コモンズがモザイクのように展開していく。日本がそのような新しい国づくりを進めることで、世界が日本を真似てみたい素晴らしい国だと思うような国になる…。

「神風」のおかげで、新型コロナに対していったん集団免疫が達成された日本国民であるからこそ、これを奇貨として一日も早く「コロナ脳」から脱することでコロナ禍を克服し、以上に述べた営みを力強く始めたいものです。

今年がそんな一年になることを祈っています。

 

松田政策研究所では引き続き、リアリズムに基づいた質の高い政策論を展開し、皆様のお役に立つ情報発信をしていきたいと思います。

また、私が携わっている様々な事業活動やプロジェクトを通じて、ここで述べたような国づくりを少しでも進めると同時に、ボードメンバーとして参画している参政党などを通じて民意の形成も図ってまいりたいと考えています。

なお一層のご支援、ご協力を賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。

 

 

松田政策研究所チャンネル「2021年 新年のご挨拶 松田政策研究所代表 松田学