令和二年を迎えて~問われる日本の選択…世界の新潮流と「日本新秩序」-その1-新年ご挨拶&論考前編 | 松田学オフィシャルブログ Powered by Ameba

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日本を夢の持てる国へという思いで財務省を飛び出しました。国政にも挑戦、様々な政策論や地域再生の活動をしています。21世紀は日本の世紀。大震災を経ていよいよ世界の課題に答を出す新日本秩序の形成を。新しい国はじめに向けて発信をしたいと思います。

あけましておめでとうございます。

令和の世の中になって2年目となる本年は、新しい時代がいよいよ本格的にスタートする年になると思います。

今年の干支は「庚子」。「庚」には、一つの波が終わり、改まるという意味があり、「子」は次の波が始まることを意味すると言われます。しかも、その波は長期に続く波であり、意識して自ら作り出す波でなければならないとされています。

干支も示すように、私は、今年2020年はズバリ、世界が大きく変わり始める年になると考えています。日本は、平成の30年を支配した世界の潮流が逆転、あるいは転換しつつあるなかで、令和時代を迎えました。では、どうやって日本は自ら新しい道を切り拓いていくのか。

新年を迎え、私の思うところを動画でお届けいたします。ご視聴いただければ幸いです↓

 

おかげさまで、松田政策研究所は、昨年、動画チャンネルによる発信活動を通じて大きな飛躍を遂げることができました。

本年は旧年に増して、新しい政治の軸の形成を視野に置く私の活動の3本柱、①啓発活動(政策の形成と実現)、②発信活動(動画チャンネル始め各種媒体)、③ネクストジャパン創りに向けた事業活動(ブロックチェーン革命など最先端ITやバサルトファイバーなど)を強化してまいる所存です。

本年もご指導、ご鞭撻を賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。

令和2年元旦

松田政策研究所代表 未来社会プロデューサー 元衆議院議員

松田 学

 

【新年を迎えて:松田学の論考…令和二年を迎えて~問われる日本の選択…世界の新潮流と「日本新秩序」-その1-前編】

 

 日本が令和の新時代を迎えた昨年に続く今年は、令和時代の「新しい国づくり」の中身がいよいよ問われる年になるでしょう。では、令和時代に日本はどんな国をめざすのか、令和2年を迎え、以下、素描を試みてみたいと思います。

 

●世界の潮流の大転換とブロックチェーン革命

 まず、令和の前の平成時代の30年をふり返ってみると、それはマルタ会談やベルリンの壁が崩壊して東西冷戦が終結した1989年から始まり、世界的に、①グローバリゼーション、②インターネット革命、③金融主導の3つの潮流に特徴づけられる30年でした。

90年代には米国が世界の資金循環センターとして君臨し、2000年代に入ると、今度はオープン、グローバルの枠組みのもとで中国が著しく台頭。先進国では格差が拡大し、中間層が崩壊、移民問題も相まって強まるポピュリズムを前に、民主主義の危機まで叫ばれるに至りました。

そして、①は世界の米中分断ブロック化へ、②はブロックチェーン革命へ、③は電子データ主導へと、逆転あるいは転換する中で、日本は令和時代を迎えることとなりました。

かつて、世界の戦略分野は石油や食料、あるいは金融でしたが、今や経済の最大の付加価値の源泉は電子データとなっています。

これを支配するのが米国勢のGAFAと中国BAT(バイデュ、アリババ、テンセント)といったプラットフォーマーたちであり、前者が自由経済と個人情報保護、後者が国家主導でのデータ管理というパラダイムの根本的な違いから、世界には、主権国家vsプラットフォーマーvs中国勢という三つ巴の対立構造が生じています。

この中で、プラットフォーマーが存在しない日本は、このままでは、何をするにしても寺銭を取られるのみの存在になりかねません。その日本が国際社会の中で経済面で一定のポジションを得る道を考えるとすれば、それは、未だ黎明期にあるがゆえにチャンスと捉えるべきブロックチェーン技術ではないかと思います。

ブロックチェーン技術の社会の各分野の課題解決への実装に先手を打つことで、それぞれの分野の特性に合った技術やシステムのイノベーションを起こし、そこから世界の課題解決プラットフォームを次々と構築していく。それが日本の採るべき道だと考えます。

この点では、「課題先進国」といわれて久しい日本には、質の高い産業や情報の蓄積、工学力や現場力、個々の日本人が広く具有する創意工夫の力といった強みもあります。ブロックチェーンの論理を応用することで、新たな社会モデルで世界の範となる日本らしい「自立」と「合意」と「和」の仕組みを創出する国になることが十分に考えられるのです。

 

●いまこそ政府暗号通貨「松田プラン」を

ブロックチェーンの社会実装で実現するのが、利便性の高い「トークンエコノミー」です。これは経済活性化や地方創生のみならず、国家システムをも変革する新しい潮流となるでしょう。

今年は中国がデジタル人民元の発行を始める年になるかもしれません。これがいずれ、米ドル基軸通貨を脅かす可能性が十分にあります。その利便性に惹かれて日本人もデジタル人民元をペイペイの如く使用することとなれば、我々の個人情報は中国政府が管理するビッグデータのもとに置かれることになりかねません。

他方で、今年はリブラの動きが既存の通貨システムにも大きな変革を迫る年になるでしょう。暗号通貨の間で世界の覇権争いが生じることが考えられます。

筆者は、政府暗号通貨の発行を含む「松田プラン」を提唱してきましたが、上記を踏まえれば、その実施をそろそろ真剣に検討すべき局面になったと考えます。

これはアベノミクスのもと、国債発行残高の半分にまで至った日銀保有の国債を、政府発行の法定暗号通貨によって償還し、これを民間の求めに応じて流通させる案です。

これで、これまで累増してきた赤字国債が、情報技術を内装した利便性の高いお金に変換されることになります。

社会の高齢化で先進国最悪となった日本の財政は、もはや経済成長や歳出削減や増税といった、従来のフローの対策では再建不可能です。フローの対策では財政再建の答にならないところまで政府債務が拡大した日本では、ストック面での対策しかないでしょう。そのために、赤字国債をバランスシート処理してしまうことが考えられます。

政府と日銀とを連結させた「統合政府」の視点からみてみると、7年にわたり続いてきたアベノミクス(異次元の金融緩和)のおかげで、国債(政府が民間に対して返済しなければならない債務)の発行残高の約半分(19/3末で470兆円)が日銀が保有しています。これは、民間に返済する必要のない日銀当座預金(13/3末で残高が約400兆円)という帳簿上の負債に変換されています。この状態を活用するのが「松田プラン」です。

デジタル人民元が現実味を帯びているこんにち、日本としては、政府暗号通貨で日銀保有国債を償還し、これを民間に流通する法定通貨としていくわけです。

この政府暗号通貨は、ブロックチェーン技術が実現した「価値の移転と手続きの一体化」で実現する利便性の高いトークンであり、ここに内装されるスマートコントラクトによって、政府や公共部門と国民との関係(お金のやりとりや手続き、契約など)を、それぞれのニーズに応じて制度横断的にワンストップで行えるようにするものです。

ブロックチェーンは現在の仮想通貨の技術基盤として知られていますが、そもそもその本領は、社会のさまざまな仕組みへの実装において発揮されるものです。その特性は、①第一に、よく言われるようなデータを改ざんできないよう管理することだけでなく、②第二に、契約や手続きなどのスマートコントラクトの実装(ここに技術革新の中核がある)、③第三に、ユーザーがトークン(一種の暗号通貨)でアクセスするという「三位一体」で、従来は考えられなかった利便性や価値を社会に創造することです。

これまではシステム毎に、それぞれの論理に従って管理されていたデータが、今度は、データが特定の論理と結びついてシステム透過的に、その論理に応じて各システムを動かしていくことになります。主役は、縦割りの社会の各種の仕組みから、電子データへと移ります。まさに、ユーザーオリエンティドな「トークンエコノミー」が各種の社会システムで実現します。

「松田プラン」は政府債務の貨幣化を健全なかたちで実現できるマジックですが、これは最先端の情報技術が財政に新局面を切り拓くものといえます。

 

●「みらいのお金」と「協働型コモンズ」

こうして自国通貨を守りつつ財政を健全化し、持続可能な社会を創ると同時に、民間主導で従来の競争型資本主義とはひと味異なる「協働型コモンズ」を創出するのも、日本が採るべき道だと考えます。そのカギとなるのが、これも筆者が提唱する「みらいのお金」です。

これはユーティリティトークンと呼ばれる新しい暗号通貨です。各人が実現したい価値をそれに共鳴する人々が支え合う社会の建設は、日本人の国民性にも合う営みだと思います。市場経済では実現しないような価値や人々の生き甲斐を、これに共鳴する人々の「いいね」が実現することになります。

今後、AI革命や社会の超高齢化で、産業社会での居場所を失う大きな人口の塊が出現するでしょう。これは、その受け皿となるもう一つの社会の創造です。

 

以上、前編では、令和二年から始まる大きな変化を展望する上で、主として経済面から、「ブロックチェーン」革命を軸に、日本の新しい道について考察してみました。次回、後編では、外交や安全保障に加え、人類社会に訪れる大きな波を展望し、これからの国際社会における日本のあり方について論じることとします。