動画ろんだん@松田政策研究所⑬~(特集)5人の識者が総括する2019年のニッポン~ | 松田学オフィシャルブログ Powered by Ameba

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日本を夢の持てる国へという思いで財務省を飛び出しました。国政にも挑戦、様々な政策論や地域再生の活動をしています。21世紀は日本の世紀。大震災を経ていよいよ世界の課題に答を出す新日本秩序の形成を。新しい国はじめに向けて発信をしたいと思います。

 令和時代が始まった今年の2019年は、どんな年だったのか、来年からの課題は何なのか。松田政策研究所では年末の「2019年を振り返る」シリーズとして、科学者としての立場から工学博士として著名な武田邦彦先生、国際情報戦に国益の観点から取り組む山岡鉄秀さん、いまも政財界のご意見番としてご活躍の江口克彦・元参議院議員、国際情勢とメディア問題に切り込んでおられる批評家の西村幸祐氏、そして、日本人以上に日本の愛国者であるケント・ギルバートさんの5人の識者と、松田学が対談を行い、順次発信いたしました。以下、ご紹介しますので、ぜひ、動画をご覧ください。

 

●武田邦彦(工学博士)「2019年を科学的に振り返る!過去30年とこれからの30年」

科学者の目からみても、やはり、30年ごとに世界は大きく変わるようです。いつも目からウロコの発言で著名な工学博士の武田邦彦先生は、これからの30年は自由の時代に入る、中国は自然とダメになる…、世界一、平均能力の高い日本は抜群…としています。

1960年頃から始まった30年は大量生産の時代。それが終わった次の30年に入ってから、日本は大失敗した。もともと貧乏だった日本は金持ちになったら、もういい、となった。モノは十分にあるが、モノを便利に使うアプリケーションで米国は成長する。

1990年代に成功したのは米国(ソフト)と中国(ハード)。日本はソフトもハードもやらなかった。そして、環境など、経済の首を絞めることばかりやるようになった。それはディーゼル車とか環境に傾いていった欧州もそう。こうした道は科学者からみると経済的に間違い。環境を無視した米国と中国が伸びた。

実は、地球環境を汚すところまで生産量がまだ到達していない。米国は気温が下がっているし、日本よりも空がきれいだ。地球の38億年の営みを数百年で使い尽くすという計算にはならない。石油は5,000年分ある…。今年は日本は36度と暑かったが、米国は涼しかった。日本を襲う台風も、ここ百年で規模が小さくなっている。…

日本社会は一つ前にやってきたことを全否定する。戦争が終わって講和条約を結んだ途端に、軍事は嫌だ、になった。1990年にバブル崩壊すると、それまで大量生産を教えていいた大学が「大量生産は悪だ」になった。やっては否定、やっては否定…。これは日本に特徴的。しかし、基礎科学で必要なのは継続性。

今のノーベル賞もちょうどアプリケーションが中心になった90年代に日本が受賞するようになったもの。ベーシックな発見は大体、1950年代に終了した。それ以降の大きな発見は実はない。何十年も前の技術のアプリケーションが続いているだけ。人類は産業革命以来初めて、新発見がない時代を迎えた。AIもITが処理が速くなっただけ。

武田先生によると、2020年から大転換が起こるそうです。次の30年は、その前に人間を制限し過ぎたことから人間を解放する30年に…。温暖化の規制、タバコを吸うな…、ここからの解放。私の著書「みらいのお金」にも、カネは不自由だったのが、これからは自由になると書いてある、なるほどと思ったとのこと。もう一つ、私と意見が一致したのは、超高齢社会は年齢不詳社会にすること。この社会を「みらいのお金」で支える道を日本が拓く…。

一般の常識とは異なる視点に溢れた、大変面白い対談になりました。

 

●山岡鉄秀(情報戦略アナリスト)「”国際情報戦”2019年を振り返る。FACTベースの議論こそ重要!」

日本は昔に比べれば少しはものを言うようになったが、そのときに重要なポイントをミスっている。ファクトベースでの発言を避けようとしている。韓国問題が突き付けた国際情報戦、世論戦について、情報戦略アナリストの山岡鉄秀さんと論じてみました。

どうも、日本は言うべきこと言わずに、言わない方がよいことをわざわざ言ってしまって国益を損ねているようです。その議論を踏まえて、過日、山岡氏とともに、総理大臣官邸に私の長年の知人である内閣官房参与の谷口智彦氏を訪ねました(写真)。

山岡氏が事例に挙げたのが、外務省の外務報道官が旭日旗批判に対して英文で海外に発信した記事。その冒頭でなぜ、「深い悔恨と心からの謝罪」(deep remorse and heartfelt apology)と述べるのか…。かつてのウォールストリートジャーナル誌上での論争でも、日本側は「歴史の否定できない事実(irrefutable facts)に対して正面から向き合って心からの謝罪を表明している。その一例が安倍総理の戦後70年の談話である…。」

韓国の立場は、日韓基本条約での請求権の放棄を認めていないのではない、日本による植民地支配そのものが不法なものだった、だから、日韓合意ではカバーされておらず、個人の請求権は残っており、徴用工判決は妥当だというもの。日本としてひどい残虐なことをしたこと自体を日本政府が繰り返し、否定できない事実と認めていると、この韓国の論理を認めることになってしまう。なぜ、わざわざ敵に塩を送るようなことをするのか…?

中国についても、習近平を国賓として呼ぶと、天皇陛下との謁見が避けられない、天皇陛下が習近平を笑顔で迎えて一緒に写った写真が世界に出回ると、どうなるか…。香港やウイグルで批判されている中国の全体主義と日本の天皇陛下は同類との印象を国際社会に与えてしまう、やはり日本はナチスと組んだファシズムの国なのだ…日本人としては想像もつかない連想ですが、世界で流されている情報戦、プロパガンダの現実をよく考えねばならない…。その場しのぎの外交ではなく、主権国家としての原理原則を踏まえた情報戦略が必要。

なぜ、日本の優秀なはずの官僚はこんなこともできないのか。総理官邸では、安倍総理の英語のライターとして海外発信に大成功されている谷口氏から、日本政府の驚くべき実態が…。安倍総理はわかっていても、なかなかその通りにならないようです。ではどうしたら良いのか…。この点でも、谷口氏とはみのりある意見交換ができました。議論発信だけではなく、国益のために行動する松田政策研究所をめざしてまいります。

 

●江口克彦(元参議院議員)「2019年を振り返る、今年の10大ニュースと日本の政治。”和”の国ニッポンは縄文時代こそ原点!」

2019年の10大出来事を漢字四文字で…。「平成令和」や「日韓険悪」はすぐに出てくるかもしれませんが、「恍惚事故」や「邸高僚低」は意味深です。残りはこの番組をご覧ください。対談相手は、元PHP総研社長で私と次世代の党で政治行動を共にした頃は参議院議員だった江口克彦・一般財団法人東アジア情勢研究会理事長。いまも講演で全国を飛び回る、日本を代表するご意見番のお一人です。この番組では日本の政治を思い切り、叱ってもらいました。

まず、安倍政権の評価は「よくやっているが、口の出し過ぎ」…働き方改革など、政治が企業での労働にまで口出しする、賃上げ要請も然り。それに唯々諾々とする経済界も情けない。政治にはけじめが必要。

では、日本の政治のあり方は?…1万2千年続いた、争いのなかった縄文時代こそが日本の原点。戦いが始まったのは弥生時代から。縄文時代は墓を真ん中に周囲が輪をなして住居が置かれた「輪」の形だった。それが「和」になった。そこでは役割分担はあったが、階級も支配者もなかった。

中国は日本を「倭」と呼んだが、それは背中が曲がった男という意味。これはおかしいということで、「和」に大をつけて「やまと」とした。これは「山あまたある国」という意味。聖徳太子の「和をもって尊しとなす」は日本人がもともと、主体性のある国民であることを意味する。「日出国」から「日没する国」へ、を当時の隋帝国に対して言ったが、今の日本に、米国に対して果たして同じようなことができるか?

日本には「自然発生的な和する民主主義」が生み出されていた。フランス革命の民主主義は、「人工的な対立する民主主義」。そこには対立させなければ民主主義にならないという思い込みがある。自民党は「自然発生的な和する民主主義」。対する野党は「人工的な対立する民主主義」であり、それは日本人のDNAには存在しない。与党が相撲(伝統国技)だとすれば、野党はプロレス、相撲には勝てるわけがない。対立構造にすればするほど野党は損だ。戦後70年、野党は本格的に政権をとったことがない。国民が与党にお灸をすえるときだけ。しかし、自民党一党で政治が良くなるものでない。もう一つ対抗する政党を創るとすれば、それは「相撲部屋」でなければならない。

国会議員としての経験からして、日本で政治家と呼べるのは3割ぐらい。これまで新党が成功してこなかった理由は、哲学や理念がなかったこと。伝統の日本精神を踏まえた政党を創るという立ち位置を明確にしなければならない。国民受けすることを言っても、国民は理解しない。政治家の3つの条件は、①人間観。人間をどう見るか。自分の都合の良いように国民を見ているのではダメ。偉大で尊厳ある存在である人間が偉大さを発揮できるようにするにはどうするかを考えるのが政治。そして、➁日本国民の伝統精神。③国民目標を定める。景気が良くなれば良いとか、どこかの国と仲良くするということではない。

江口氏が関わっていた松下政経塾は「ある意味で松下さんの失敗だった。」松下さんの基本哲学は人間が大事、人間から出発するという考え方。その思いを浸透できなかった。だから、最近では丸山穂高みたいなのも出てきた。いったんやめにすべきだった。人間なき政治家たちに何があるかといえば「私」…。

では、松下政経塾出身の野田佳彦元総理は…?彼は本来は和する民主主義のタイプだった、なのに、自民党で公認されず、相撲部屋に入れなかったため、レスリング部に入ってしまった。彼自身に後悔や後ろめたいところがあったのでは?希望の党を作った前原誠司衆議院議員も悩み切っていたのでは?結局、相撲部屋たる自民党が人材を吸収できていなかった。順番待ちが多すぎた。

やはり、現行憲法についてまともに土俵に乗って議論する政党を創らなければ…。

これから新たな政治勢力を創る上で示唆するところの多い対談になりました。

 

●西村幸祐(批評家)「2019年を振り返る、メディアの劣化といまだに残る『東京の壁』」

日韓関係は今年は最悪ではなく、最高だった。なぜなら、日本政府が初めて韓国に対等に向き合ったから…。香港の最大の危機は来年の台湾総統選挙のあとに来る…。当チャンネルに何度もご出演いただいている批評家の西村幸祐氏との対談です。

この対談での西村氏の指摘で、なるほど、と思ったのは、「東京の壁」の東側にいる反日左翼的メディアとして、朝日、毎日だけでなく、共同通信を挙げたことです。今年はベルリンの壁崩壊後30年でしたが、東西冷戦が未だに残っているのが「東京の壁」。

私は共同通信による誤報が元で、あたかも詐欺事件の中心人物であるかのような、一部メディアによる酷い報道による被害を受けています。事実を捻じ曲げ、国民に誤った情報を与え、真面目な人を傷つけるメディアそれ自体が反社勢力なのではないか。残念ながら、そんな思いを強いられているだけに、西村氏の議論が非常によく頭に入ります。

以下、西村氏のご発言をご紹介します。

…習近平の国賓待遇での来日は安倍総理の最大の失政の一つ。香港は5年前から動きがあった。日本のNSCは何をしていたのか。諜報がまったく機能していないから、国賓待遇などと抜けたことになってしまう。秋元司議員が逮捕されたが、中国が北海道の土地の1割をすでに買っている可能性がある。日本のメディアの劣化は、重要な問題に目を向けず、「桜」などどうでもよいことばかり追及することにも現れている。

米国ではリベラルでなく、左翼がゾンビのように広がっている。民主党の候補はバイデン以外は全部、左翼。前回と違い今回は共和党が一致しているトランプが地滑り的に勝利するだろう。

いま世界で起こっている地殻変動は、第二次世界大戦以来の秩序再編。安倍政権はそれに応えていることを評価すべき。ブレグジットもそう。TPPに英国も台湾も入れるべき。中国に対してきちんとブロックした形をとるべし。これはITにとって特に重要。蔡英文政権でそれが可能になる。台湾は公務員にラインを使わせていない国だ。

日本は「テレポリティクス」という最悪の政治になっている。メディアのレベルが低く、メディアと政治のレベルは正比例する。自分たちがいかに劣化し、嘲笑されているかを今のメディアの人たちはわからないでいる。来年は「東京の壁」を崩す年に…。新著「朝日新聞への論理的弔辞」を出版する。

反日左翼は、今までの論理が安倍政権のもとで通用しなくなっているため、悪あがきしている。トリエンナーレもそう。昔の赤旗のようなことを書いても世の中が受け容れなくなってきた。だから、国民の潜在意識に働きかけるような、目に見えにくいプロパガンダを巧みに展開している。レベルは下がっても、悪だくみの知恵だけは残っている。一種の国民洗脳だ。

朝日、毎日、共同通信は、貿易管理措置を輸出「規制」と、韓国と同じ表現をしている。他社は、「管理の強化」という日本政府と同じ言い方。共同通信は朝日より悪辣だ。名前を隠して地方紙に配信して全国的に洗脳をしている。規制、規制…と何回も言うと、日本は規制をしたと、意識の幅が限定されてくる。「神は細部に宿る」。メディアのみならず、司法もちょっとおかしい…。メディアが盛り上がるような判断を司法もしていないか…。

「東京の壁」が崩れないと、日本は崩壊の危機に…。結局は、ひとり一人の国民がメディア報道に振り回されず、自立思考で正しい判断を心がけていくしかないのかもしれません。

 

●ケント・ギルバート(カリフォルニア州弁護士)「2019年を振り返る、どうなる日本を取巻く国際関係!憲法9条は憲法違反!?」

ケント・ギルバートさんといえば、日本人以上に日本の愛国者。今年は日本が自分の国益を強く主張し始めた年になった。今までは韓国に対して受け身、今度はこちらのほうから状況を創る。河野大臣の発言、ちょっと待ってください、無礼ではないですか!…なごやかに爽快に、日本の国益を発信していだたきました。

日本の周辺にはおかしな国ばかり。韓国とは話し合いしかないはずだが、話し「合う」がない。一方的にお互いに話しているだけ。約束を守らない国との話し合いは意味なし。ならば、突き放すしかない。こちらから関係改善を求めにいかなくてもよい。観光客も来なくてよい。Gsomia破棄宣言も、日本に対する上から目線発言を日本から無視された腹いせ。中学生以下、まるで小学生!!

香港デモについては、習近平は頭が悪い。それ以外に説明しようがない。これも約束を破っている。中国はよくウソをつく。50年間民主主義を残すと言っていたはず。デモ隊に譲歩すれば香港デモは収束していた。その習が国賓として来る?何考えてるの…?中国は沖縄本島も取ろうとしている。最近は特にひどい。トランプが貿易戦争やっているときに、トランプはどう思うか?朝鮮半島の非核化を阻止しているのも中国。地域全体の安定に反している中国。話し合うなら、日本の立場をちゃんと言うべき。

日本人にはトランプはわかりにくいかもしれない。彼の言ったことを直訳して新聞に載せるから。壁を作ると言っても、部分的には作っているが、彼が言っているのは国境の安全保障体制を強化することを「壁」と表現している。貿易赤字も安倍総理が説明すれば、あっそうなの、わかりました。トランプは物分かりが良い。もともと思い込みがあるだけ。

トランプは当選してすぐに安倍総理と会ったが、そのとき、安倍総理が全部、東アジアの説明をした。80%は中国の説明。それでトランプは分かった。唯一信用できるのは日本だと。韓国に対しては呆れかえっている。文と話さない。全く信用していない。安倍総理は極東の超大物だ。

新著では中国共産党や韓国の反日の歴史を細かく書いた。ぜひ読んでほしい。

東京裁判史観もそうだが、日本がとても悪いことをしたと固く信じ込んでいる人が多いのが問題。先入観が多く、間違った情報を流す人が多い。東京外人記者クラブは最悪。ジャパンタイムズはまともになった。日本は戦後70年、模範的な国としてふるまったと評価されている。

戦争に対する贖罪意識を刷り込ませるGHQの洗脳政策には4本柱がある。①東京裁判。裁判で日本が悪かったことを確定。➁教育。日本を誇りある国として教えない。世界中に迷惑をかけた国であると。③憲法第9条。武力で日本を守るのは悪いことだ。いちばん洗脳されているのはインテリ。頭が良いはずなのに…。憲法で生存権を保障しているのに、拉致被害者はどうなのか?他の憲法の規定をダメにしているのが9条。これは憲法違反。

(番組では省略された④は「プレスコード」のこと。)

やはり、日本の国益を主張し続け、世界に発信するしかない。英語で出すだけでなく、日本人には考え方を変えてほしい。今年は天皇陛下が即位して海外からたくさん来日して、日本の印象がさらに良くなった。

安倍総理はイランと交渉しているが、日本は宗教色がない。4,000年前から交渉できていない宗派が複雑な地域に、何系でもない国がいきなり飛び込んでくると、イランは信用する。唯一の仲介役ができる。イランがそれを望んでいる。しかし、安倍総理が国際社会でスゴイ力を持っていることをマスコミは報道しない。日本人よりも外国のほうが日本を良く思っているかもしれない。日本は信頼できる国であるということがまず出てくる。国内メディアはなんとかしなければならない。

…最後は、ケントさんの朝日新聞エピソードの話になりました。

令和元年の今年、私たち日本人の間に高まった自覚を、来年は国際社会での具体的な成果へと、さらに結実させていきたいものです。

 

 2019年を振り返って、私からの議論発信は、次の記事をご覧ください。チャンネル桜のビデオレター「【松田学】2019年の出来事から来年を展望する」を、ここからご覧いただけます↓

https://ameblo.jp/matsuda-manabu/entry-12562805443.html

 

 今年は、松田政策研究所にとっては飛躍の年となりました。始めてまだ1年半の動画チャンネルも登録者数が3万人の大台にとなり、メジャーな発信局の一角に入りつつあります。これも皆さまのご理解や応援の賜物です。ここに改めて感謝の意を表します。

 どうぞ良いお年を迎えください。来年も何卒よろしくお願い申し上げます。