米中冷戦で中国は文化大革命?~実は金儲けこそが中国の最大の幸せ~松田学の中国訪問雑感 | 松田学オフィシャルブログ Powered by Ameba

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日本を夢の持てる国へという思いで財務省を飛び出しました。国政にも挑戦、様々な政策論や地域再生の活動をしています。21世紀は日本の世紀。大震災を経ていよいよ世界の課題に答を出す新日本秩序の形成を。新しい国はじめに向けて発信をしたいと思います。

今年は日本が議長国を務めるG20ですが、話題の中心は米中貿易戦争。米中間で関税戦争と技術覇権闘争が激しく展開される中、では中国側はどんな様子なのか。5月末に上海を訪れ、現地の経済界の方々と意見交換をしてきました。米国との摩擦でかなり悩んでいるのが現在の中国。日本はどうするのか、特に、これまで中国との間で築かれてきたサプライチェーンを、米中分断の流れの中で日本企業がどう組み替えるのかが気になるようです。

今回の訪問に先立って松田政策研究所動画チャンネルでは米中冷戦について、経済評論家の渡邉哲也さんや国際政治学者の藤井厳喜さんと対談を行った直後でしたので、彼らが提起した論点を中国の方々にぶつけてみました。

藤井さんは中国の選択肢は2つしかない、白旗をあげて米国に頭を下げるか、社会主義に回帰するか。前者は面子にかけてできないので、中国は後者の道を選び、経済、政治、国民生活全般に対する統制を強めて共産党支配体制の強化を優先するだろうとしています。

渡邉さんは文化大革命の再来になるとも…。

ところが、上海で話をよく聞いてみると、今の中国で再び文革のような動きが起こることはないとのこと。文革の頃、中国は皆が貧しかったが、今は豊かであり、再び貧しい状態に落ち込むことへの警戒心のほうが国民の間には強い。かつては党の言うことを聞いた国民も、今は価値観が多様化した…、と。

確かに、上海は豊かだからということもありますが、現地で触れる中国はもはや先進国、豊かさの中で守りに入り、大きな変革は望まず、一種の成熟社会の様相すら呈している点で日本とも共通項があるかもしれません。

今般の「冷戦」の背景にあるのは、安全保障と最先端技術で世界トップの座を絶対に譲れない米国にとって、中国が情報技術によってこれら分野で米国の脅威となっていること。その最大の要因が、国家主導の技術開発や個人データまで国が扱うことが可能な中国の政体レジームですから、共産党一党支配体制が転換するまで終わらないとされるのが「米中冷戦」です。

情報技術をも駆使して国民一人一人まで監視しているとされる中国、まさにペンス副大統領がやり玉にあげた「オーエル的」な監視社会のもとで、中国国民はさぞや抑圧されていると思いきや…、これによって犯罪や暴動が減り、安心安全な社会になったとして、国民の多くが習政権を評価しているとのこと。

逆にグローバルスタンダードでの改革を望む中国の経済界や知識層は、むしろ米国側に立ち、一部は米国と通じているなど、国内は一枚岩ではないようです。

習近平が権力強化を図るのも、国内の改革のために必要なパワーを獲得するためだとのこと。その意味では、米国に言われたからではなく、習自らが主導する改革となるよう、日米欧陣営として一定の時間的猶予を中国に与える配慮が必要なのかもしれません。

対談をした藤井さんによれば、米中ブロック分断化によって国際経済で形成されつつあるのは中国を排除したサプライチェーンであり、これはトランプには好都合。相互依存関係を破壊することによって、かつての米ソ間のような本格的な冷戦が可能になり、中国の影響力は著しく弱まるからです。

この中で、米中両国とも仲良くやっていこうとの発想から抜けきらない日本の財界は、あまりにノーテンキ。試行錯誤の国である米国は変わるのも早く、客観情勢の変化についていくよう経営者の頭の切り換えが必要だとしています。

確かに、今回とは逆の意味で、1972年のニクソン大統領による突然の中国訪問は日本に大ショックを与えました。

さて、中国人の価値観が多様化したと言っても、やはり中国社会はお金が第一の社会であるようです。

習近平はこうした風潮に対して、金銭よりも「幸せ」が大事だと説き、金銭至上主義を戒めているそうですが、中国人からみると、では具体的な「幸せ」とは何なのかとなれば、分からない、やはりお金だということになってしまうとのこと。

話をよく聞いてみると、彼らにとって大事なのは技術よりも金儲け。その手段としてしか生産現場や技術育成を考えない中国が技術覇権をとるなどと本当に考えているのかと、逆に質問されました。AI(人工知能)の特許で米中が逆転したと言われても、彼らから見れば、その中身はいい加減なものだという認識でした。

この点、生産現場を「道場」とみなして「稽古」を重ね、儲けはその結果だと考える日本国民一人一人の「天才」に、日本再興への期待をつなぎたいものです。

詳しくは、本ブログの下記の記事『現在中国事情~「米中冷戦」下での中国社会の実相と習政権~松田学のレポート』をご参照ください。↓

https://ameblo.jp/matsuda-manabu/entry-12465818187.html

松田政策研究所の動画チャンネルは、おかげさまで昨年秋頃からの短い期間で登録者数1万人を突破しました。これはネット発信局としてはメジャーリーグへの仲間入りか…。10万視聴を超える番組がいくつも出ています。

ちなみに渡邉哲也さんとの対談は視聴数13万超え。藤井厳喜さんとの対談も現時点で9万を超えました。

ぜひ、次の動画をご覧ください

特番『新ココム発動!もはや答えは出ている!米国?中国?』ゲスト:経済評論家 渡邊哲也氏↓↓↓

 

特番『米中二極化への対応を急げ!衆参同時選挙!?』ゲスト:経済評論家 渡邊哲也氏↓↓↓

 

特番『国際情勢最新情報!日本の財界はノーテンキ!?』ゲスト:国際政治学者 藤井厳喜氏↓↓↓

 

…なお、本ブログ上記記事は、松田政策研究所が毎週月曜日に定期的に配信しているメールマガジンのvol.67、2019年6月10日配信に記載の松田学のコラムから引用したものです。メルマガ無料配信のご登録は、こちらまで↓↓↓

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