協働型コモンズとみらいのお金<続編>~新しい社会の設計とボンドボンド構想~松田学の論考 | 松田学オフィシャルブログ Powered by Ameba

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日本を夢の持てる国へという思いで財務省を飛び出しました。国政にも挑戦、様々な政策論や地域再生の活動をしています。21世紀は日本の世紀。大震災を経ていよいよ世界の課題に答を出す新日本秩序の形成を。新しい国はじめに向けて発信をしたいと思います。


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 格差の拡大を始め、さまざまな矛盾を抱える資本主義を超える21世紀型の新しい社会の仕組みづくりを先導するのは、日本ではないかと思います。その社会は、西洋文明のもとに経済を発展させた「競争」の論理ではなく、日本人の「和」と「協調」の精神とも親和的なコンセプトである「協働」を旨とする社会です。

これまで中央集権型の設計のもとに利潤を中心に回ってきた資本主義社会と並立する形で、これからは、個々人の人生を各人の自立的な選択で支えていくことになる分散型の協働型コモンズが発展していくことになります。それはどんな社会であり、なぜ暗号通貨がこの社会を支えることになるのかについては、このブログの前回の記事で論じました。こちらをご参照ください。↓

https://ameblo.jp/matsuda-manabu/entry-12449363233.html

 今回は、その補論として、新しい社会の設計思想と、協働型コモンズを支える「みらいのお金」の事例としての「ボンドボンド」構想、すなわち、ポランティアに対して経済的な価値を無から有を生むが如く生み出す仕組みなどについて、私の新著「いま知っておきたい『みらいのお金』の話」に掲載された図などもご紹介しながら論じてみたいと思います。

●新しい社会の設計思想

 資本主義の次なる社会の設計思想について、私は長年、色々な場で議論してきましたが、日本の場合、さまざまな思想的対立軸のいずれかを選択する「あれか、これか」ではなく、「あれも、これも」のアウフヘーベン型ではないかと考えてきました。それは、元来、多神教であり、さまざまな異質の要素を世界から取り入れて独自の価値を仕込んできた日本に特徴的なソリューションだと考えられます。

  そして、国家戦略形成の方法論に基づいて、日本人が熱望をもって追求できる「限りなく理想に近く、かつ現実的なアイデンティティー」を実現するための設計思想は何かを論じて到達した「日本の設計思想」は、下図の3つであるという結論が得られました。すなわち、①「あれもこれも」の複数モデルプラットフォーム型社会システム、②価値規範の軸を産業から地域(コミュニティ)へ、③価値創出共同体としての「公(パブリック)」(民が支える公)の3つです。

 

 

 「戦後システム」のもとで縦割り産業システムが地域コミュニティを駆逐して以降、日本では「公」の価値は専ら「官」が支えるものとなってしまいましたが、元来、日本は、「公」の価値は「民」が支えるという社会的伝統が歴史的に根付いてきた国です。私利よりも、公的な共通善を重視する自立型社会が、かつての日本では機能していました。

これを経済的に裏付ける仕組みとして、私は、「第三の投票」を唱えたことがあります。第一の投票は、官システムにおける選挙です。そこでは多数決の原理が支配し、それによる一律の価値選択から排除された少数意見は救われません。特に、価値観が多様化した成熟社会では、公的価値も多様化しています。

第二の投票は市場での財・サービスの選択です。そこでは利潤原理のもとでマーケットが成り立つ価値にしか、人々は購買活動を通じた「投票」ができません。

第三の投票は、寄付(ドネーション)に代表される自発的な資金拠出で、これが、上記2つの形態での投票では救われなかった価値を実現することになります。

 幸い、日本は第三の投票に回るだけの十分なおカネがある国です。金融資産は個人保有の1,800兆円も含め、全体で3,600兆円。これが国の借金や民間投資に回っても、余りあるおカネが海外に流れ、日本は世界ダントツ一位の対外純資産国であり続けています。

 これは、国内におカネを回すための創意工夫が不足していることを示しており、私たち日本人が汗水たらして蓄積してきた金融資産を、国内の公的価値の実現のためにもっと回すべきことを、私はかねてから提唱してきました。

 

●みらいのおカネとボンドボンド構想

 しかし、資産を持てる一部の人々のおカネだけではなく、より広く一般庶民が自ら良いと思った価値に向けて「いいね」をし合うことで、おカネを活かすことができないものか。それが、前号でも論じたように、「利潤なきところにおカネ無し」の資本主義のおカネとは異なる、協働型コモンズ社会を支える「みらいのおカネ」です。

ここで以下、「みらいのおカネ」に掲載された図をご紹介します。市場では評価されない価値でも、それを評価する人々がいれば、誰もが暗号通貨を発行することができる。そうした人々の輪が拡大していけば、そこには資本主義経済とは別の小さな経済圏が誕生する。本書では、カナちゃんという女の子の「肩たたき」の家庭内通貨を事例に取り上げています。

   ここで、介護に関するポイント制としてのボンドボンド構想をご紹介します。本書では、次の図で描かれています。

 

 協働型コモンズ社会を考える場合に大事なことは、資本主義社会では経済的な価値として評価される対象外だった様々な社会的な価値に、いかにして経済的な裏付けを与えるかです。その一つとしてボランティア活動があげられます。

 今後、日本の財政のなかでも最も大きく経費が膨らんでいくのが介護です。訪問介護の場合を考えてみると、介護士の資格を持っている人が、1日に回れる訪問介護の件数は限られていますが、その実際の仕事の内容のほとんどが、家事のお手伝いや雑用など、介護士の資格がなくてもできるものだと言われています。

 そこにボランティアをつけて、介護士の資格がない人でもできることをしてもらえば、1日あたりに介護士が回れる件数が圧倒的に増えるでしょう。介護がより効率的で効果的なものになり、財政負担の抑制にもなります。

 そこで、そのボランティアの人たちにポイントを与えるわけです。何時間ボランティアをしてくれたら何点と、点数化して記録しておきます。それをきちっと管理をして、永久になくならないようにしておけば、その人が50年ほど経って高齢者になったときに役に立ちます。自分の介護が必要になったとき、ボランティアを手伝って貯めたポイントで、自分を介護してくれるボランティアに支払うことができます。

 このポイントは労働債権を具現化した経済的な価値を有するものになります。登録ボランティアにはポイントに応じて暗号通貨が発行され、ある年齢に達したら、それを使うことができるということを仕組むことができるでしょう。ポイントを活用した金融商品を設計し、市場で流通させることも可能になるかもしれません。

 日本では無償であることがボランティアだと思われていますが、欧米では、ボランティアは必ずしも無償ではなく、「自発的」というのが本来の意味です。このボンドボンド構想では、その場で対価をもらうわけではありませんが、将来の貯金になります。ボランティアの方に励みを与えることにもなるでしょう。それを暗号通貨が支えます。

 ちなみに、英語のボンド(bond)という言葉には、絆(きずな)という意味と、債権という意味の両方があります。

 いままでのマーケットメカニズムではボランティアには経済的価値がありませんでした。そこにきちんと経済的価値が生まれます。無から有が生まれることになります。

 資本主義値とは異なる世界で、協働型コモンズではさまざまな価値を「みらいのお金」が支えるということについて、一つの事例を紹介しました。

 

松田学のビデオレター、第108回は「資本主義の次の社会へ~協働型社会での新しいお金の形」

チャンネル桜2019年3月19日放映。こちらをご覧ください。↓

 

 

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