資本主義とは異なる論理のニューパラダイム「協働型コモンズ社会」と暗号通貨~松田学の論考~ | 松田学オフィシャルブログ Powered by Ameba

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日本を夢の持てる国へという思いで財務省を飛び出しました。国政にも挑戦、様々な政策論や地域再生の活動をしています。21世紀は日本の世紀。大震災を経ていよいよ世界の課題に答を出す新日本秩序の形成を。新しい国はじめに向けて発信をしたいと思います。


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 リーマンショック後、グローバル資本主義の行き詰まりが強く人々の間に意識されるようになりました。格差の拡大、中間層の崩壊、さらには健全な民主主義の崩壊も、金融主導の強欲資本主義が原因だ…。私は資本主義そのものを否定するつもりはありませんが、世界の人々が、これに代わる新しい社会のパラダイムを求めるようになるなかで、これを実現するのが「ブロックチェーン革命」という言葉にも表されている最近の急速な情報技術の進歩だと考えています。

 資本主義社会と併存するかたちで形成される「協働型コモンズ」社会。その社会は、市場競争で利潤をあげることだけが価値ではなく、人々のそれぞれの生き甲斐をみんながサポートする社会。市場では価値として成り立たなかったような営みでも、ここでは経済的な裏付けが与えられ、多様な価値が花開くことでしょう。

 特定の権力機構に従属することなく、価値観を共有する人々とともに、自分らしい人生を謳歌しながら生きていける社会。正直者や頑張る者が評価され、報われる社会…。

 情報技術の急速な進展は、人々が想像できないほど、人類社会の姿を変えていくと考えられます。いずれ、ひとりひとりが中央銀行になることも技術的には不可能ではなくなる。

 この半年で暗号通貨を巡る本を3冊、上梓しましたが、この協働型コモンズを提起したのが1冊目と2冊目の本。3冊目の「いま知っておきたい『みらいのお金』の話」では、この社会を支える暗号通貨について分かりやすく解説しました。

以下、協働型コモンズがなぜ暗号通貨で実現するのかを中心に論考を述べてみます。

 

●AI革命が待つ未来

情報技術の革新の中核にAI(人工知能)が置かれています。このAIに人格を与えるべきだという考え方まで出てきています。法律上、人格には自然人と法人があります。AIの場合は「AI人」(アイジン=愛人)なのか?愛人はもちろん冗談です。

AIに人格を与えて権利と義務を与え、義務として納税をさせれば、人間は遊んで暮らしていくことができます。AIは奴隷のようなものです。しかし、奴隷に権利を与えれば反乱するし、AI人(=愛人)だって刃向かうかもしれません。愛人が刃向かえばややこしいことになりそうです…。AIに人格を与えることには無理があるようです。

では、AIとは法律上、何なのか。やはり固定資産だと考えるべきでしょう。固定資産だとすれば、それは自然人や法人の所有物。AIが納税するのではなく、AIを所有し、活用して大儲けする自然人や法人が所得税や法人税や固定資産税などの形で納税することになります。

 AIが生産性を向上させるスピードは指数関数的な驚異的なものになるでしょう。そうなると、AIを持てる者と持たざる者との間の格差が拡大して、技術革新では必ず起こってきたことですが、大量の失業者が出てくることが懸念されるわけです。

 産業革命の頃のイギリスでは織物工業地帯で機械打ち壊し運動が起こりました。機械化で失業することを恐れた手工業者や労働者が起こしたもので、ラッダイド運動と呼ばれています。トランプが大統領に当選した背景として中間層の所得低迷や失業が言われていますが、その背景はトランプが言うような外国製品との競争よりも、最近の技術革新だと指摘されています。

 もちろん、技術革新は旧来の仕事を奪う一方で、新しい仕事も生み出します。日本でも、かつて電話交換手の大量失業が言われましたが、他の仕事に吸収されました。しかし、こと人工知能となると、人間の本質部分である頭脳そのものを代替するものですから、かつての技術革新とは比較にならない省人化が起こって、産業社会全体として、いまの雇用を到底維持できなくなるのではないかと予想されます。

 人口の相当部分が産業社会からあふれ出してしまった場合、AIだけが生産性をどんどん高めていくことでいったい何が起こるのか。

 1920年代のアメリカでのフォード生産方式では、自動車の大量生産に多くの人を雇い、彼らに賃金を支払うことで自社の自動車を買ってくれる購買者の層をも同時に生み出していました。それによって、需要と供給が両方とも良循環で拡大していき、20世紀を特徴づける大衆消費社会が生まれました。

 人格がないAIですと、AIには購買力がなく消費もしません。そのため、一方的に生産だけが拡大していくことになります。これに見合う需要の増大が起こらず、経済は大幅な供給超過。これではハイパーインフレとは逆のハイパーデフレ?が起こりかねません。AI革命で訪れる未来社会の大きな課題は、いかに国民の総需要を生み出すか、そのために購買力のある社会層をどのように確保していくかだということになります。この点が将来の大きな課題になります。ならば、AI革命で産業社会に居場所を得られなくなった方々におカネを配ればよいのか。

 政府が国民に一律に定額のおカネを支給する政策は「ベーシックインカム」という言い方で知られています。国民に対する最低所得保障です。確かに、AIを所有・活用して大儲けしたAI富裕層から重税をとって配るというのも一つの方法でしょう。ただ、こうしたベーシックインカムの財源をもっぱら税金に頼ることにも限界があります。AI富裕層から、産業社会からあぶれた社会層へと、彼らがAIで上がった生産性に見合う分だけ購買力をつける程度までに所得分配を行うとすれば、これは相当規模の分配になるでしょう。

 AI富裕層に対する税率は相当高くなると思います。いまでも世界は、法人税の引き下げ競争の状態になっています。所得分配だけでは難しいでしょう。

 ならば、この際、「ヘリコプターマネー」でおカネを配ってしまってはどうか。お札を刷って配る、日銀が各人の預金口座に電子的におカネを振り込む。

 近年、スイスでベーシックインカムが国民投票に付され、否決されましたが、理由は、財政が悪化する、国民が怠惰になる、外国人が流入するということだったとのこと。税金であれヘリコプターマネーであれ、これではますます働かない人々を作ってしまいます。

 何もしなくてもおカネが回ってくる、あとはぶらぶらと遊んで暮らせばよい。国民の大半がそのような状態になっとき、果たしてそれは幸せな社会なのでしょうか。

 確かに、人間はおカネのために働くだけの存在ではありません。しかし、おカネのためでなくても、何らかの生き甲斐や価値のために活動する、それに向けた目的があって、張りのある毎日を過ごす、そのことを通じて人々とつながり、共鳴し合う。そうであってこそ、人間は生まれてきた意味があるというものです。

 産業社会の外側の社会層の方々におカネが渡るようにするにも、それをベーシックインカムとかヘリコプターマネーのように政府などからの一律の支給で渡すだけなら、あまりに能がありません。どうせなら、こうした各人の活動に応じておカネを手にすることができるような仕組みを考えるべきではないでしょうか。

 

●資本主義社会と協働型コモンズ

 格差が拡大して、貧困層が日々の不安の中で、おこぼれをもらうような政策がはたして人々に幸せをもたらす社会なのでしょうか。人類社会は大きく2つのシステムに分かれ、両方が並立する社会になると考えています。一つは資本主義経済の社会です。そして、もう一つが協働型コモンズの社会です。両者はそれぞれ、異なる論理で営まれる社会です。

 資本主義社会では競争が必然です。一方の協働型コモンズは、その名前のとおり、協働が大事な社会なのです。資本主義は利潤が重要で、協働型は社会的価値が重要になります。

 現在の資本主義社会では、おカネは利潤のあるところに生まれます。それは資本主義経済の仕組みがそうなっているからです。多くの方々がおカネは日銀(中央銀行)が供給していると考えていると思いますが、それは必ずしも正しくありません。最近の日本の異次元の金融緩和もそうですが、日銀は日銀当座預金という帳簿上のおカネを増やすことはできても、それは私たちが手にできる市中マネーではありません。

 おカネを生み出しているのは市中の銀行です。まさに銀行だけができる信用創造によっておカネが生まれます。銀行は利子をつけておカネを返すことができる先に対しておカネを貸し付けることが基本的な業務です。それは、貸付先の預金口座に電子的におカネを振り込む形で行われています。それによって預金通貨という形でおカネが生まれるのです。

 

 日銀が供給したおカネとか預金者の預金を原資として貸し付けに回しているのではありません。銀行がおカネを貸す相手は、金利をつけて返してくれる相手だけです。儲けるところにしかおカネは生まれないのです。これが資本主義社会のおカネです。そうして生まれたおカネから税金など、利潤を生まない用途へとおカネが回っていくことて社会が成り立っています。基本は、儲け無きところにおカネ無し、まさに資本主義の論理です。

 しかし、社会には利潤の論理とは異質の様々な価値があります。例えば、助け合いだとか、社会貢献だとか、芸術だとか、いろいろなクリエイティブな活動等々です。マーケットではペイしないが、わかっている人はサポートしてくれるような価値です。

 

 そのような価値は、これまで、埋もれてしまっていたものが多かったと思います。なぜなら、資本主義の利潤原理、おカネ儲けの論理の世界ではそれが経済的な価値として評価されず、その価値を生み出す活動自体に経済的な裏付けが与えられなかったものが極めて多いからです。

 暗号通貨により、それが認められ、発展できる社会になると考えています。ある人が自らが生み出す価値を表現し、それに賛同する人がおカネを出す。どんな価値でもかまいません。地域の発展と多くの人の健康のために地元の野菜を育てたい、そのために将来の野菜を担保としてトークンを出す、でもいいのです。その価値を評価し、支援しようとする人がいればいいのです。自分の歌でも構いません。それに共鳴する人は世界にはたくさんいるかもしれません。その方々が「いいね」をすることで暗号通貨が生まれます。

 この社会は、一人一人の価値が認められる社会です。インターネットを通じて広い社会とつながれば、その価値を認める人も多く現れてきます。思わぬ国の人が、あなたの活動の価値を認めるかもしれません。

これまでの人類社会では、政府であれ企業であれ銀行であれ、何事も中央集権組織が介在することで人々の社会活動、経済活動が成り立ってきました。これからは、中央集権組織が介在せず、一個人と一個人がP2P(peer to peer)で直接つながり合うブロックチェーンが社会に広く実装されていくことで、21世紀は分散型社会パラダイムの時代に移行すると言われています。

 個々人がつながる社会だからこそ、その一人一人の価値が際立ってくることになります。幅広い世界とアクセスができるようになれば、一人一人の価値を理解し評価する人も増えて、その人との間で発行されるおカネだけで生活できる人も出てくるでしょう。

 ここに無数の小さな自立的経済圏が誕生し、超高齢化で資本主義社会からリタイアしてから膨大な「余生」の時間を与えられる人々にも、生き甲斐ある活動のチャンスが与えられることになります。

 この社会を支える暗号通貨は、暗号通貨のなかでもユーティリティトークンと呼ばれるですが、では、そうした「みらいのお金」とはどのようなものなのか、機会を改めて論じていきたいと思います。

 

松田学のビデオレター、第107回は「競争から協働へ~Society 5.0社会の通貨と労働問題」

チャンネル桜2019年3月5日放映。こちらをご覧ください。↓

 

 

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