チャンネル桜の今回の経済討論に出演して~消費増税反対論よりも、もっと先の議論を~ | 松田学オフィシャルブログ Powered by Ameba

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日本を夢の持てる国へという思いで財務省を飛び出しました。国政にも挑戦、様々な政策論や地域再生の活動をしています。21世紀は日本の世紀。大震災を経ていよいよ世界の課題に答を出す新日本秩序の形成を。新しい国はじめに向けて発信をしたいと思います。

 4月6日に配信されたチャンネル桜の経済討論「日本経済、滅びの道をひた走り?!」にパネラーとして出演、今回もいつもの財務省、消費増税けしからん論で盛り上がるパネラーの面々でした。

 テーマ設定が日本経済ですから、今度のように家計負担増をゼロにする歳出増措置を伴う10%への消費増税でも経済がダメになるという議論が起こるほどに体質が弱化した日本経済そのものをどうするか、少し中長期的な面も含めた本質論に突っ込む議論なのかと思いきや、今回もそうはなりませんでした。

 (注)2019年10月に予定されている消費税率を10%にアップする増税措置については、消費増税による増収分の使途について、前回の2014年の増税時には、その2割だけが新たな歳出増に充てられましたが、今回は、それが2割から7割に増加しています。この部分は、増税による負担増と同額の社会保障給付等の増額となりますから、マクロでみれば経済的に中立です。残り3割(2兆円)が純然たる国民負担増ですが、これはポイント還元などの臨時・特例措置を講じる財政措置2.3兆円によって相殺されて余りある姿になっています。

 

 こうした私の問題提起もかき消され、一人、健全財政が重要と述べる新参パネラーの方に対して他のパネラーたちが集中砲火。いくら私が経済へと水を向けようとしても、その前に経済が良くなる環境条件としての総需要拡大だ…、として、それを妨げる消費増税反対論や財務省批判に議論は終始してしまいました。

 仕方ないので、私は最初に第一部で、最後に第三部で、まとまった発言をした以外は、時々短いコメントを差しはさむ程度で、あまり長くは発言しませんでした。

 動画で私が発言した上記の2か所だけ、最初からの経過時間で示しますと、

    ・第一部…0時間11分02秒~0時間14分58秒

    ・第三部…2時間57分46秒~3時間00分16秒

 今度の消費増税については、リーマン級以上の経済ショックが起こるリスクが増大しており、そうなりそうであるならば、増税を延期するのは当然、ということで議論は終わりでしょう。そうでなければ、もう増税は決まっていることです。もし、これについて意味ある議論をするのであれば、

(1)  増税で赤字国債の発行が減る分以上の建設国債(むしろ未来への投資であればもっと広い分野を対象とする「投資国債」)を継続的に発行して積極財政に転じるべし、とか、

(2)  増税延期の場合は、増税に伴って増やすことになっていた歳出増の措置は停止することなく、そのまま実施し、その財源として予定していた消費税の増収に穴が開いた分は、景気対策として赤字国債を増発すべし、とか、

(3)  その後、税収が足りないことを理由に財政当局が歳出削減に走らないようにする仕組みを考えるべし、

といった議論をすべきでしょう。

大事なのは、そろそろ、異常な低金利で財政を助けている日銀の異次元緩和策の出口以降の財政運営をどうするのか、金利が成長率を上回る状態になったときに国債の利払い費を圧縮するにはどうすべきなのか、消費税率10%でもまだ不足する社会保障財源はどうするのか、国民の医療情報を共有することで医療費の無駄を大幅に削減することになる電子システムを徹底的に導入など、利権にどう切り込むのか、等々といった、これから先の展望を議論すべきです。

 つまり、批判だけではなく、では、どうするのかのソリューションが大事。

 私には答えがあります。

 一つは、この討論でも簡単に触れた財政運営のインフラ構築。投資的支出はバランスシートで運営し、国債発行を弾力化する。財務省が「経理省」の設計になっており、大事なのは、その上に立つはずのマネージメント、つまり政治です。政治主導でメリハリある財政運営ができるためのマネージメントシステムを構築すべきです。

 もう一つは、赤字国債については「統合政府」ベースでバランスシート処理をして消してしまうこと。つまり、政府の通貨発行権を活用して、納税などの手続きをスマートコントラクトで実装した便利な暗号通貨を導入。日銀が大量保有する国債を満期到来時に永久国債に乗り換えていき、民間からの求めに応じて、永久国債をこの政府暗号通貨の発行で償還し、日銀が銀行を通して民間に売却するという「松田プラン」です。国債は政府暗号通貨という貨幣に変換されます。

 以上が財政のソリューションだとすれば、今回の討論会で議論すべきだった日本経済については、やはり、現在、付加価値の最大の源泉になっているのは電子データであり、日本には米国のGAFAや中国のBATISのようなプラットフォーマーが存在しないこと。このままでは何をするにせよ、日本は寺銭を取られるだけの存在に堕す一方です。

 米中冷戦構造のもとで世界経済が2つのブロックに分断され、米中いずれを採り、サプライチェーンを組み替えていくのかの選択を世界各国が迫られていく中で、日本ならではの新たな成長に向けたプラットフォームをどこに見いだすか。

 私は、それはブロックチェーン革命だと提唱していますが、そういう本質論をこそ、識者の皆さんには展開してほしいものです。経済あっての財政と主張する論者たちが、経済よりも財政ばかりを論じているようでは、道は拓かれないでしょう。

 今回のパネラーのお一人、高橋洋一さんが、この討論番組の収録直後にご自身のツイッターで、こんなことをつぶやいていました。

 私を皮肉ったものですが、そもそも積極財政派か財政再建・増税派かどうかなどという分類自体がもはや無意味。上記を読んでいただければお分かりの通りです。

 今回のパネラーを以下、ご紹介します。

・安藤裕 内閣府大臣政務官兼復興大臣政務官・衆議院議員

・石井孝明 ジャーナリスト

・高橋洋一 嘉悦大学教授・「政策工房」会長

・田村秀男 産経新聞特別記者・編集委員兼論説委員

・藤井聡 京都大学大学院教授

・松田学 松田政策研究所代表・元衆議院議員

・三橋貴明 経世論研究所所長

<司会>水島総 日本文化チャンネル桜 代表

 

日本よ、今、闘論!倒論!討論!2019

経済討論「日本経済、滅びの道をひた走り?!」

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