【試論・松田プラン】その1 統合政府でみれば国の純負債は100兆円あまりに縮小~松田学の論考~ | 松田学オフィシャルブログ Powered by Ameba

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日本を夢の持てる国へという思いで財務省を飛び出しました。国政にも挑戦、様々な政策論や地域再生の活動をしています。21世紀は日本の世紀。大震災を経ていよいよ世界の課題に答を出す新日本秩序の形成を。新しい国はじめに向けて発信をしたいと思います。


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現在の金融異次元緩和が出口に至って金利が正常化すれば、日本の財政は国債の金利支払いで爆発する。この日本財政の隠された「不都合な真実」こそ、私たちが将来の国民負担を極力回避するために向き合わなければならない、財政問題の要に位置するテーマだと思います。

 

●財政の「出口」はあるのか。

日本では国債は60年かけて返済するルールになっていますので、満期が来た国債のほとんどは、新たに国債(借換債)を発行して財源を調達して返済されます。毎年度の新規国債発行額の大半を占めるのが、この借換債です(2018年度は150兆円の国債発行額のうち103兆円)。ですから、今後、いまのゼロ%に近い異常な低金利で、過去のもう少し高い金利の国債が借り換えられていきますので、当面は、国の金利負担は増えないでしょう。これを前提に、政府は中長期の財政試算を出しています。

しかし、長期金利は34%程度なのが普通です。2018年度末の普通国債(税金で返済する国債)の残高は883兆円、これを約900円として、現在は一般会計予算に9兆円程度の額で計上されている国債利払い費は、単純計算では、金利の1%上昇で9兆円、3%上昇で27兆円も増えることになります。

これではどんな財政再建努力も吹き飛んでしまいます。もちろん、何十兆円規模での増税か社会保障費の削減をすれば財政のつじつまは合うかもしれませんが、それは日本経済に耐えられない負荷を与えるでしょう。肝心の経済成長率が下がれば、政府が2027年度プライマリーバランス達成の前提として想定する「経済再生ケース」自体が実現しません。

もはや、日本の国債残高は、財政再建の3つの手法、つまり、①支出を削る、②増税する、③経済成長で税収を増やす、といった、通常の財政フローの改革手法では、財政の持続可能性の確保には通用しないところまで、日本の財政状態を追い込んだといえます。

必要な対応策は、従来のフロー面での収支改善策の限界を超えています。別途、ストック面での抜本対策(会計的な債務処理)によって、金利負担急増の根っ子に手を打つ対策を考えなければならない状況だと思います。

もはや、ストック面でのバランスシート処理しかない。以下、論じます。

 

●「統合政府」の考え方では財政再建が大きく進展中(国の純債務は130兆円まで縮小)

 バランスシートでストック(資産や負債の蓄積)面から財政状態をみる一つの考え方として、国(政府)と中央銀行(日銀)の財務諸表を連結させた「統合政府」の概念があります。

高橋洋一氏などが主張しており、ご存知の方も多いと思いますが、そもそも政府とは独立であるべき中央銀行を連結するなど暴論だと考える方々が多いようです。しかし、それは政策姿勢の問題であって、客観的な数字の議論とは異なります。

ここで以下、少し順を追って、統合政府でみれば財政の姿はどうなるかを見てみます。

いまや異次元緩和で400兆円をはるかに超えるに至った日本銀行が保有する国債は、統合政府ベースへと連結してしまうと、それは日銀の政府に対する債権であり、同時に、政府の日銀に対する負債です。連結すれば、債権と債務は相殺されてしまいます。つまり、統合政府の外側にあるのが民間だとすれば、政府の民間に対する負債という意味での国債は、日銀が持っている国債の分だけ、消滅していることになります。

(政府)については、国全体を連結した貸借対照表が財務省から公表されています。それによると、20173月末の数字は、国の「資産合計」が672.7兆円、「負債合計」は1,221.6兆円で、資産と負債の差額は▲548.9兆円の債務超過になっています。これはネットでの国の負債であり、1,200兆円にのぼる負債も、資産を差し引けば、この金額まで縮小します。

こうした純負債で国の財政状況を判断することには異論もあります。政府の資産といっても、道路や橋などの実物資産は売却が困難ですし、年金の運用資産は将来の年金支払いに備えるものであるなど、負債を裏付ける見合いの資産といえるものばかりではないという議論です。

この議論はひとまず脇に置きます。ここでは、国の財務諸表でも通常の企業会計原則と同様の手法で資産計上がなされていることを重んじ、ネットベースで負債を捉える立場を採ってみます。諸外国でもネットで財政を見る考え方は一般的なものです。

同じ時点(20173月末)での日銀の保有国債は417.7兆円でした。これは、異次元緩和開始直前の20133月末は125.4兆円でしたから、異次元緩和の4年間で300兆円近く(292.3兆円)も日銀保有国債は増えています。

日銀が金融機関から国債を買えば、その代金は銀行が日銀に持っている口座である日銀当座預金に振り込まれます。20173月末の日銀当座預金の残高は342.8兆円で、同じく異次元緩和開始前の20133月末の58.1兆円から4年間で300兆円近く(284.7兆円)増えています。

この日銀当座預金と銀行券発行残高を足し合わせたものが「マネタリーベース」と言って、日銀が異次元緩和で増やしてきた(市中に供給してきた)とされるおカネです。ただ、銀行券発行残高のほうは、20173月末で99.8兆円と、異次元緩和開始前の20133月末の83.4兆円から、4年間で16.4兆円しか増えていません。日銀が莫大な規模で増やしてきたとされるおカネとは日銀当座預金です。

よく、日銀はお札を刷りまくっていると言われますが、これは間違いです。

ここで、国の負債に話を戻しますと、日銀が国債を保有すれば、統合政府ベースでは、その分、国と日銀との間で債権債務が相殺されますので、国の純負債は、先ほどの548.9兆円から日銀保有国債417.7兆円を差し引いて、なんと、▲131.2兆円まで縮小しています。

日銀保有国債は201712月末までさらに増えて440.7兆円に達していますから、もし、国のバランスシートでみた政府純負債がこの時点でも20173月末と同じ数字だとすれば、昨年末には統合政府ベースでの国の純負債は、▲548.9兆円から440.7兆円を差し引いた▲108.2兆円まで縮小したことになります。

俗に言われる「1,000兆円を超える国の借金」は、統合政府でみれば、なんと、その10分の1100兆円あまりしかないことになります。

安倍政権はアベノミクスの異次元緩和で、民間に対する負債という意味での国債を300兆円も減らし、財政再建を一挙に進めるという快挙を成し遂げていることになります。

国の借金が消える?、何かおかしいのではないか?と思われるかもしれません。確かに、負債が消滅するということは魔法ではないのですから、ありません。何が起こっているのかと言うと、負債が消えているのではなく、負債の性格が変わっているということです。

つまり、政府の借金は、日銀が国債を保有することで、統合政府ベースでは、日銀当座預金という日銀の負債に転換されます。すなわちマネタリーベースに姿を変えます。統合政府ベースの負債の額は全体として一定です。

ここで重要なのは、日銀当座預金というマネタリーベースは、銀行の資産ですが、市中マネーという民間に流れる通貨ではなく、統合政府(日銀)が民間に対して返済しなければならない借金でもなく、政府が支払い義務を負っている負債でもないということです。

よく誤解されていることですが、銀行は日銀当座預金を取り崩して市中にマネーを供給するという仕組みにはなっていません。日銀当座預金の全体の額が増減するのは、①日銀が銀行との間で債券の売買をする、②政府と銀行との間で資金移動が起こる(政府と民間との資金のやり取りは、日銀当座預金口座と政府が日銀に有する政府口座との間で行われます)、③日銀当座預金と銀行券との交換がなされる、の3つの場合に限られます。

ですから、日銀当座預金が全体として減るのは、日銀が保有国債を市中に売り戻すか、日銀保有国債が満期を迎えるときのいずれかしかありません。しかし、日銀が保有国債を売却すれば金利が急上昇してしまいますから、異次元緩和の「出口」でも採りにくい政策でしょう。

実際に起こるのは、日銀保有国債が徐々に満期を迎えていく中で、日銀当座預金がこれに連動して減っていく姿です。つまり、このとき、政府は満期を迎えた国債の償還財源を、借換債の発行で調達しますから、借換債の発行分だけ日銀当座預金から政府口座に資金が移動する形で日銀当座預金が減り、同額の日銀保有国債が満期償還で消え、同額の借換債が市中で増えるということになります。結果として、日銀のバランスシートは同額だけ両建てで縮小し、日銀保有国債は市中の国債へと姿を変えたことになります。

つまり、放置しておけば、満期を迎えるたびに、日銀保有国債も政府当座預金も減り、代わりに、統合政府の外側で民間が保有する国債がその分、増えることになります。

結果として、先に見た財政再建効果は、元に逆戻りしてしまいます。

この財政再建効果を将来にわたって確定させるのが永久国債の活用です。

次回、【試論・松田プラン】その2、では、このオペレーションについて論じます。

 

松田学のビデオレター、第80回は「金利が正常化する未来~財政再建と統合政府の考え方」

チャンネル桜222日放映。

 こちら↓をご覧ください。

 

 

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