【試論・松田プラン】その2 永久国債の活用で財政再建効果を確定~松田学の論考~ | 松田学オフィシャルブログ Powered by Ameba

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日本を夢の持てる国へという思いで財務省を飛び出しました。国政にも挑戦、様々な政策論や地域再生の活動をしています。21世紀は日本の世紀。大震災を経ていよいよ世界の課題に答を出す新日本秩序の形成を。新しい国はじめに向けて発信をしたいと思います。


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 前号、【試論・松田プラン】その1、では、国(政府)と日銀を連結させた「統合政府」ベースでみれば、「1,000兆円を超える」と言われる国の借金も、アベノミクス異次元金融緩和の成果で、100兆円あまりの純負債にまで縮小していることを述べました。

つまり、日銀保有国債は、統合政府の中では政府と日銀との間で債権債務が相殺されてしまうので、日銀の負債である日銀当座預金(マネタリーベースの一つ)に変換されます。これは民間に対して返済義務を負う借金ではありませんから、国債は日銀が保有する分だけ、政府が民間に対して負う債務という意味では消滅しています。

ただ、そのままでは、いずれ日銀保有国債が満期を迎えるたびに、日銀保有国債が減少し、市中(統合政府の外側の民間)が保有する国債が同額分、増えますから、この財政再建効果は消えていきます。(詳しくは、前号、その1、をご覧ください。)

 今回、その2、では、永久国債を活用することにより、上記の財政再建効果を確定させるオペレーションについて述べみたいと思います。ここからが「松田プラン」です。


 

●永久国債オペレーション

せっかくの国債消滅と財政再建効果を恒久的に確定させるのが、永久国債オペレーションです。すなわち、政府と日銀が協定(アコード)を結んで、日銀保有国債が満期を迎えるたびに、これを永久国債に乗り換える、つまり、日銀保有国債の償還は永久国債の日銀引受けをもって行うこととし、この永久国債を日銀は永久保有するということです。

永久国債は元本返済が不要な国債です。昔、英国でコンソル公債という永久国債を発行し、民間が保有してきた事例があります。ここで言う永久国債は市中で流通することを予定していませんが、国は元本の返済をする必要がありません。

よく、無利子永久国債を日銀が引き受けるべきだという議論(元英国FSA長官のアデア・ターナー氏の提言など)がありますが、無利子ですと単なる紙切れになってしまいますから、日銀が持つ資産としての資産性の問題がありますので、変動金利でも何でも、金利はつける形をとるべきだと思います。

ただ、この金利は、永久国債という資産の裏側の負債側では、日銀当座預金という基本的に金利ゼロの負債が対応していますから、永久国債から日銀に入る金利収入はそのまま、日銀の利益になります。ですから、これをそのまま国庫納付することについても政府と日銀が協定を結んでおけば、国側では、永久国債の金利負担も消えます。

つまり、元本も金利も国の負担はなくなり、国債の消滅が確定します。

例えば、異次元緩和以降、これまでの間に増加した保有国債300兆円分だけでも、このオペレーションの対象としていけば、2018年度末時点での普通国債発行残高の3分の1以上の国債が消滅することになります。

もう少し異次元緩和を続けて、3年後ぐらいに異次元緩和による日銀保有国債の増加分が450兆円ぐらいになっていれば、その分を対象にこのオペを実施することで、普通国債の半分程度が消滅することになります。

 

●懸念?反論?

 永久国債を用いるなど、劇薬だ、副作用が大きすぎると、直感的な懸念を抱かれるかもしれません。考えられる懸念や反論としては、ハイパーインフレにならないか、財政規律を損わないか、巨額の日銀当座預金を抱え続ける銀行の収益に金利面で影響を与えないか、拡大した日銀のバランスシートは永久に縮小しないのか(出口はないのか)、といったものが考えられます。

このオペを実施するなら、市場が過剰に反応しないよう、きちんとした説明が必要です。ただ、よく考えてみれば、想定される反論に対しては十分な反論ができそうです。

 その詳細は稿を改めてじっくりと論じますので、ここでは以下、簡単に、考えられる懸念に対する反論に触れておきます。

 第一に、これは多くの人々が指摘することだと思いますが、永久国債を日銀が永久に保有することで、日銀が現在のように巨額に膨れ上がったバランスシートの規模、すなわち、巨額のマネタリーベース(日銀当座預金)を維持し続けることになりますから、これはハイパーインフレにつながるのではないかという懸念です。

しかし、これには十分な反論が可能です。インフレ率や景気など実体経済に影響するのは、実際に経済に流通する市中マネー(マネーストック)です。私たちが手にする市中マネーとは、銀行券と銀行預金(普通預金や定期預金など)ですが、これは日銀が生み出したり供給したりしているものではありません。

この点に大きな誤解があります。市中マネーは民間の銀行の信用創造によって生み出されるものです。前号、その1、で述べたとおり、銀行が日銀当座預金を取り崩して市中におカネを供給するという仕組みにはなっていません。銀行が貸付をするときに、貸し付けたい先の預金口座に電子的におカネを振り込むことで生まれるのが市中マネーです。

では、異次元緩和政策は何をしているのかというと、日銀が国債を買いまくることで、①金利を低水準に抑え込むことによる金融緩和効果を狙う、②基本的に金利がつかない(一部はマイナス金利)の日銀当座預金を銀行が資産として多額に抱え込むと、銀行の収益が圧迫されるので、銀行はより金利の高い市中への資金運用を増やす(ポートフォリオ・リバランス)という効果を狙う、ということをしているわけです。

日銀はおカネそのものを供給しているのではなく、銀行がおカネを供給する環境を作っているだけです。日銀が供給しているおカネは、前述のように、単なる帳簿上の残高に過ぎないともいえる日銀当座預金であって、これは経済に回っていくおカネではありません。

よく、マネタリーベースに信用乗数を掛け合わせた金額まで市中マネーが増えていくという貨幣乗数論が言われますが、現在の金融経済状態には当てはまりません。経済構造も変化しています。いまや銀行の信用創造に規模に影響を与えているのは、日銀当座預金の量や預金準備率(銀行預金の一定割合を日銀当座預金に積むことを義務付けている制度)などではなく、自己資本規制のほうです。

第二に、永久国債オペは「パンドラの箱」のようなもので、財政規律を一挙に損うという懸念が挙げられます。これと比較されるのが国債の日銀引受けですが、それが禁じ手なのは、新規の財政支出の財源に充てる国債を引き受けるからであって、永久国債オペのようなストック処理のための国債引受とは次元が異なると考えています。こちらは、過去の債務の会計的な処理にとどまるものです。

また、そもそも財政法で発行が禁じられているはずの赤字国債(将来に資産を残さず、ツケだけを残す国債)の存在自体が罪であり、これを減らすこと自体が財政規律ではないでしょうか。永久国債オペは、財政規律の本旨にかなうものであり、将来世代に対して私たちの世代ができる罪滅ぼしでもあります。

さらに言えば、永久国債オペはストックの世界でのオペレーションであって、財政フローの議論は別です。毎年度必要な歳出の財源は、毎年度入ってくる歳入で賄わなければ、その後の財政の持続可能性は確保されません。ですから、このオペレーションは社会保障に必要な消費税率の引上げを否定しているものではありません。(ただ、将来の利払費を軽減できるので、将来の増税幅を小さくできるということにはなります。)

 では、消費税率を引き上げるとして、それが経済に与えるマイナス効果はどうするのか。実は、永久国債オペは、この問題にも答えを出すものです。日本が世界で唯一、国債の60年償還ルールという「減債制度」を営んでいる国であるからこそ、できることがあり、これに関して私は、マイナンバー制度を活用した「社会保障バウチャー」を構想しています。稿を改めて論じます。

第三に、これこそむしろ議論を要する課題ですが、銀行経営に与える影響です。

基本的に金利ゼロの巨額の日銀当座預金を抱えたままでは銀行の収益が圧迫される、これをどうするかという問題です。将来、金利上昇局面で日銀当座預金の金利を上げてしまうと、日銀は永久国債からの金利収入で利払いをしなければならなくなりますから、永久国債からの金利収入をそのまま国庫納付するというわけにはいかなくなります。ならば、日銀保有の永久国債について国は一定の金利負担を負うことになり、国債が完全に消滅したことにならなくなってしまいます。

この問題については、日銀当座預金に金利を付けなくても解決できる道があります。これも稿を改めます。

以上のほか、日銀が巨額のバランスシートを永久に維持し続けるのか、その出口はないのか、という議論もあるでしょう。私には、出口の想定があります。これは、現在の仮想通貨ではありませんが、通貨制度の大きなパラダイムシフトと密接に関係します。これも稿を改めます。

永久国債オペを軸とする「松田プラン」について、これからも何度かにわけて順次、発信していきます。

 

松田学のビデオレター、第80回は「金利が正常化する未来~財政再建と統合政府の考え方」

チャンネル桜222日放映。

 こちら↓をご覧ください。

 

 

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