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日本を夢の持てる国へという思いで財務省を飛び出しました。国政にも挑戦、様々な政策論や地域再生の活動をしています。21世紀は日本の世紀。大震災を経ていよいよ世界の課題に答を出す新日本秩序の形成を。新しい国はじめに向けて発信をしたいと思います。


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信任を受けた安倍政権の使命は何なのか。~真の国民選択はその先にある~松田まなぶの論考

 

●有権者による今回の政策選択

 自民グループ、希望グループ、立憲民主グループの3極の中で、国民が今回の総選挙で選んだのは自民グループ、野党体制はますます求心力を欠き、安倍一強体制は強化されました。そのもとで、今回、自民党が政権公約で有権者と交わした約束を踏まえれば、これから[第1図]のような政策が実施されていくことを国民は選択したことになります。

[第1図]

・まず消費税については、2019年10月に10%へと予定通り引き上げられ、2%アップ分で得られる税収増5.6兆円のうち、その使途の変更によって歳出増に積み上げた1.7兆円を財源に用いて、2兆円の政策パッケージが打たれることになります。それは「全世代型社会保障(教育・子育て)」による「人づくり革命」であり、その根本にあるのは、日本の国力衰退の原因である人口減への対策です。

その中で、教育無償化については原則、3歳~5歳の全ての子どもと、低所得世帯の0~2歳児について、幼稚園や保育園費用を対象に講じられます。

・消費税の使途変更による歳出増、すなわち、本来は、消費増税によって従来の社会保障支出の財源が国債から消費税に置き換わることによって減るはずだった新規国債発行の減額分が1.7兆円程度、減ることになります。結果として、毎年度の財政健全化のベースラインがその分、悪化しますから、2020年度プライマリーバランス達成は、目標年次を先送りすることになります。

そして、金利の上昇を抑止することで財政の爆発を回避してきた日銀の金融政策、異次元の金融緩和が続けられることになります。

こうして、経済政策はアベノミクスが継続され、その第3の矢は、今後3年間の「生産性革命・集中投資期間」がポイントになります。狙いは、なかなかインフレ目標が達成されていない中で、その根っこある賃金上昇の鈍さを克服すべく、生産性を上昇させて、これを賃上げにつなげる好循環の実現にあります。

しばらく、安倍政権の重点は、「働き方改革」に置かれるでしょう。残業時間上限規制、同一労働同一賃金、そして脱時間給制度が公約でも謳われていました。単に働きやすい環境を作るだけではなく、成果に応じた賃金となってこそ生産性の上昇につながります。来年の通常国会の焦点になるでしょう。

法案としては、IR(カジノ)実施法案の取り扱いも焦点です。

・通商政策は、日米FTAを迫る米国に対して、日本は二国間よりも多国間でのルール形成を前面に出し、日EUのEPAの大枠合意に続き、早速、11月にTPP11が大筋合意され、いよいよ日本はメガ自由貿易圏の要の位置へと進んでいきます。これを受けて、農業などの国内対策も急ぐことになります。

・国際秩序面では、中国の「一帯一路」構想を意識して、日米による「インド太平洋戦略」がトランプとの間で打ち出され、これを日本が提唱する「質の高いインフラパートナーシップ」が支えていくことになります。

・総選挙で争点でもあった原発については、これをベースロード電源と位置づけ、2030年において電源における原発の比率を、現状の2%から20~22%へと引き上げることが正当化された形になります。これに必要なのは全国42基の原発のうち30基を再稼働することであり、この比率を維持するためには原発の新設(リプレース)もいずれ必要になりますが、有権者はこれに同意したことになります。

・改憲については、9条に自衛隊を明記する形での発議になるかどうかを重要な論点として、国民世論の動きを見極めることになるでしょう。国家安全保障については、北朝鮮に対する圧力路線と米国全面支持路線が国民に支持されました。自民党は総選挙で北朝鮮問題に対して「国民を守り抜く」を前面に打ち出していました。

 

●長期政権となった安倍政権の使命とは。

 今回選挙の余勢をかって来年9月の総裁選で3選となれば、2019年11月をもって安倍政権は、戦前の桂太郎を上回る憲政史上最長の首相在任期間を達成することになります。

 今回の選挙の国家的意義は、安倍政権がもう、次の選挙をそれほど意識せずに、総理として本来、やりたいことができる状態になったということにあるのではないでしょうか。もちろん、2019年に参院選はありますが、政権選択の総選挙を挟むことなく、残りの4年の任期に政権として本当の勝負をかけられます。

 安倍総理が本来やりたいことができる。次はないからこそ覚悟を決められる。長期安定政権だからこそできることに注力してほしいものです。それは、先送りされてきた戦後日本の課題の解決に、決着をつけることだと思います。

安倍総理は「新しい国づくり」という言葉をよく使ってきました。私が衆議院議員だったときには、国会審議の場で安倍総理に、その中身は何なのかという趣旨の質問を何度もしたものです。ただ、私は、次の日本の在り方の選択の前に、やるべきこと、当たり前のことを片付けるということを遂行することに、今回得られた政治的な資産を活用してほしいと思っています。

 2006~07年の第一次安倍政権の頃の安倍総理は「戦後レジームからの決別」を掲げていましたが、これを含め、本当にやってもらいたいものとして以下、4点挙げてみます。

 第一に、変えられる憲法の実現です。そのために、改憲を発議して国民投票によって初めて憲法を自分たち国民が決めるという体験を日本国民がすることそれ自体が重要です。

 第二に、国家として一人前になる、自立するということです。その上で、北朝鮮問題は一つの試金石です。[第2図]は北朝鮮問題について想定される4つのシナリオですが、理想は言うまでもなく、④「国際社会の取り決めにより、北朝鮮の核・ミサイル開発をコントロールしていく」。しかし、これが果たして現実的かという問題があります。

[第2図]

 他方で最悪のシナリオは、①「北朝鮮を核保有国として認める」ですが、特に懸念されているのは、もし北がICBMを開発すれば、本土が核攻撃されるリスクのある米国による「核の傘」、つまり、日本が核攻撃されたら米国が北朝鮮を核攻撃してくれるという「拡大抑止論」が崩壊することです。

 米国は否定していますし、米軍の本社機能の相当部分が日本に置かれているという日本の米国にとっての特殊な位置づけにも鑑みれば、日本にとって米国による「拡大抑止論」が無効になることはないともいえますが、米国のそのコミットメントには多大な負担が米国自身にかかっています。同盟国である日本として、その負担を減らすべく、どうサポートするかが重要です。おんぶにだっこでは、日米同盟は十分には機能しません。

 世界の核不拡散体制が崩壊するという意味でも最悪のシナリオである①に比べれば、②の「米国が軍事行動を展開」のほうが、まだベターかもしれません。今回の北朝鮮問題は、有事は現実にあるものだということを日本国民に確認させたといえます。

日本は日米同盟の実効性を担保すべく防衛力強化と、必要な場合には集団的自衛権の限定的行使に踏み切る。そして、世界の平和のために安全保障面でも大国としての責任を果たせる国になる。そうであってこそ、自立した国です。

 第三に、すでに行き詰まった「戦後システム」を様々な面で持続可能な全体システムへと再設計していくために、これまで先送りされてきた諸課題を解決することです。戦後システムの例を挙げればキリがありませんが、例えば、大企業を中心とするガチガチの「組織本位制」による経済社会の硬直性などがそうでしょう。

 第四に、財政問題の解決に本格的な道筋をつけることです。自らの課題も解決できない国から卒業しなければなりません。

財政だけでなく、何事も改革には痛みが伴います。だからこそ長期安定政権が必要です。かつてドイツでは、シュレーダー政権のもとで「働かざる者、食うべからず」の労働市場改革がなされ、次の総選挙で大敗してメルケル政権に代わりましたが、この改革が次のドイツ経済の持続的な成長と財政再建につながりました。それぐらいの覚悟が問われます。

 

●消費増税分の使途変更と財政再建

 ここで財政に焦点を当ててみますと、今回総選挙で急に安倍政権が打ち出した消費増税分の使途変更の背景には、次の2つがあったとされています。

 第一に、今まで掲げられてきた2020年度の財政健全化目標の実現は実際には難しく、かと言って、それを諦めたと正直に認めてしまうと、目標達成ができないほどにアベノミクスは失敗だったのではないか、うまく景気浮揚が出来なかったから目標を諦めることになったのか、との批判を浴びてしまうため、何か良い口実を探していたということです。

 第二に、これまで消費増税によって予定されていた社会保障の充実のうち、子ども子育て支援の7,000億円は、5%から8%まで増税する際に得た財源ですでに使い込んでしまっていたため、今回選挙を控え、何のための増税なのかと、特に若い世代から批判されかねないという事情があったということです。

 2%の増税分は「全世代型」で良い事があるという大義名分をもって、2020年度のプライマリーバランス目標を、いったん白紙に戻す形になったわけです。

 では、この目標達成年次を、今後、政権はどの年次に設定するのでしょうか。[第3図]は、毎年1月と7月に内閣府が改定試算値を出してロールオーバーしている「中長期の経済財政に関する試算」の数字です。そもそも、経済成長率が名目で4%近くと限りなく理想に近く、限りなく非現実的に近い?楽観的な「経済再生シナリオ」のもとで、しかも、2019年に予定通り消費税率を10%に引き上げたとしても、2020年度のプライマリーバランスは▲8.2兆円もの赤字で、目標達成のためには、これだけの金額での社会保障費の削減などが必要でした。目標のプライマリーバランスの達成は2025年度という姿です。

[第3図]

 来年1月には、今回の消費増税分の使途変更で悪化した財政状態を踏まえてロールオーバーがなされますが、プライマリーバランスの達成は、団塊の世代が全員、後期高齢者入りして財政が爆発する時期に入る2025年度よりも先に設定するというのでしょうか?そういうわけにはいかないでしょうから、その時期に入る2025年度までになんとか達成する姿をどう描くのか、注目されます。

 

●本当の国民選択とは?

 いずれにせよ、消費税に関する本当の国民選択は、2019年の10%の引上げをどうするかという点にはありませんでした。むしろ、10%への引上げで、真の国民選択をする前提がようやく始動したといったほうがいいでしょう。10%への引き上げは選択の対象ではありません。これは必要最低限のMustであって、選択肢はその先にあります。

[第4図]

 [第4図]をご覧ください。重要な国民選択の制約条件として、日本は他の先進国と比べて少子化・高齢化の程度がきつく、加えて、これまで消費増税を先送りしてきたことによって累増した政府債務の処理の問題もありますので、「低福祉・低負担」か「中福祉・中負担」かという選択ができなくなっているということがあります。

 日本のほうがデンマークよりも高齢世代の人口比率は高いですが、デンマークは租税負担率が7割近くにのぼり、消費税率(付加価値税率)は軽減税率無しの25%です。これは「高福祉・高負担」を選択している国ですが、日本の場合は、中福祉を選択すれば高負担、低福祉を選択しても中負担になってしまうという現実があります。

 このもとに、日本はどんな社会システムを選択するのか。

 大陸欧州型ならば頑張っても消費税率25%以上、米国のような自己責任型でも15%程度、民間による共助(例えば、資産を持てる高齢者が資産を活用して持たざる高齢者を底上げする世代内相互扶助)を入れるなどの努力により日本型の福祉を目指して、なんとか20%程度までに消費税率を抑えるのか。どんな社会を設計するかが問われます。

 私は消費税率を引き上げるべきだ、と言っているのではありません。もはや、そうしたゾルレン(当為)の問題ではなく、ザイン(事実)の問題として消費税率は10%よりもさらに先において、相当程度引き上げざるを得ない。課題としてのゾルレンの議論は、それをどこまで引き上げなくても済むような社会システムを構築するかにある。そこにこそ、これから日本の国民に問われる真の選択肢があるということを指摘しているわけです。

 「新しい国づくり」はまず、最低限の課題解決からです。労働市場改革なども色々と言われていますが、税制も医療も農業も…、まだ先送りされてきた改革をようやく実行しようという段階です。ここが今後の安倍政権のフェーズです。

 その次のステップ、つまり、本物の国民選択はポスト安倍政権のフェイズにあるのではないでしょうか。「戦後レジームからの決別から戦後システムの次なる全体システムの構築へ」。

 それは、今の政権与党とは異なる未来設計を選択肢として示し、対立軸を描く別の政党が担うのか、そのための政界再編が国政上の課題なのか、あるいは、ポスト安倍の自民党が担うのか。いずれにしても、これからの政治に問われるのは、どのような軸を国民選択の選択肢として打ち立てるかです。

 ここでは、消費税率を巡って、その必要性を論じましたが、政治の対立軸といえば、長年にわたり、保守vsリベラル革新ということで日本の政治は動いてきました。しかし、そもそも保守とは何なのか、リベラル革新とは何なのかは、その定義もかなり曖昧です。

 今後、議論を進めてまいりたいと思います。

 

松田まなぶのビデオレター、第73回は「信任を受けた安倍政権が今後進める政策とは?」

チャンネル桜11月7日放映。

 

 

 

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