松田まなぶのビデオレター、社会保障の財源確保に必要なのは「納得」でおカネが回る仕組み | 松田学オフィシャルブログ Powered by Ameba

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日本を夢の持てる国へという思いで財務省を飛び出しました。国政にも挑戦、様々な政策論や地域再生の活動をしています。21世紀は日本の世紀。大震災を経ていよいよ世界の課題に答を出す新日本秩序の形成を。新しい国はじめに向けて発信をしたいと思います。

松田まなぶのビデオレター、社会保障の財源確保に必要なのは「納得」でおカネが回る仕組み

 安倍政権が掲げる「一億総活躍社会」は「チャレンジ」を基本としていますが、そのために必要なのは、国民が「納得」して前に進める環境だと思います。

私は自民党ファイナリストの公開討論会で、50年後の日本を考えたときの最大の問題は何かとの問いに対して「未来へのストーリーが見えない不確実性」を挙げました。
 人口減少も、納得できる未来が見えないから子ども産みたくても産まないことで起こっています。企業が投資をしないのも、納得できるマーケットの広がりが日本経済では見えにくいからです。国民が消費をしないのも、将来不安が大きいからです。

日本の問題は、おカネが積んであるのに回らないことにあります。
納得をもって期待できる未来が見えない。「不確実性」が大きいと、人はおカネを使わない、「貨幣への無限の愛情」が起こることが不況の原因になると、ケインズも言いました。
 対外純資産世界ダントツ一位、日銀に巨額の当座預金が「ブタ積み」の状況は、日本が自ら持てる潜在力を十分に発揮し切れていないことを象徴するもの。潜在力を活かして日本の課題解決を進めるために必要なのも、国民の「納得」だと考えます。

 松田まなぶのビデオレター、第36回は「納得の負担、金融資産を社会保障に転用するには」チャンネル桜、5月10日放映。
ぜひ、こちらの動画をご覧ください。


財政についていえば、税収が全額、社会保障給付に回る消費税は、国民から国民へのおカネの移転です。
その流れの大半を将来世代に依存している姿が国民には必ずしも明確には示されていません。
世代間の受益と負担の公平の問題をどう考えるか。
そのことを国民が判断できるよう、財政を「見える化」する仕組みを構築する必要性を、私は国会の場でも主張してきました。

これが、将来世代にツケだけを残す赤字国債の問題だとすれば、将来世代に資産を残すための国の借金(例えば建設国債)であれば、それが将来世代が納得するようなインフラなどの資産を生み出すものであれば許されるでしょう。だから、投資的な支出についてはバランスシートで、これも資産価値と負債との関係を「見える化」する。

このように考えれば、メリハリの効いた財政運営が国民の納得のもとに実現することになります。

ただ、もっと大きな課題は、超高齢化が進む日本で将来の消費増税は不可避だとしても、増税幅を極力小さくするにはどうすべきかを考えることです。
日本なら、それができます。
金融資産ストックを社会保障に活かす道を考えられるだけの蓄積があるからです。

その事例として、私が医療について提案してきたのが「三層構造の医療財源システム」です。

下図をご覧ください。
保険料や消費税といった「負担」で賄われる公的国民皆保険制度を基盤に、ビジネスクラス理論が示すような「医療消費」の部分、そして「公」(パブリック)な価値への資金拠出の部分を乗せていく。「コストからバリューへ」で、資産保有者が喜んでおカネを回すようなバリューを医療システムに組み立てる。


詳しくは動画をご覧ください。
二階部分は金持ち優遇だといわれるかもしれませんが、基金制度をつくり、お金持に快適な医療を提供して得られた収入の一部は基金に組み込んで中低所得者の医療財源に回す仕組みと組み合わせればよいと思います。

三階部分については、日本人は寄付をしない国民だといわれるかもしれませんが、「ふるさと納税」が流行っているように、日本人は必ずしも寄付をしない国民ではありません。
寄付でなくても、死ぬまで健康の面倒を見てくれる会員制のような形にして、そうしたサービスを配当見合いとするようなエクイティー型の資金拠出の仕組みを考えてもよいと思います。

持てる人が自ら「納得」して喜んでおカネを出すことで、持たざる人を含めた全体が底上げされるようなシステム設計を、さまざまな社会システムに導入することが、政治にも問われるこれからの日本の課題だと思います。