松田まなぶのビデオレター、第30回「消費税判断の材料として、社会保障に関わる歳入と歳出」。 | 松田学オフィシャルブログ Powered by Ameba

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日本を夢の持てる国へという思いで財務省を飛び出しました。国政にも挑戦、様々な政策論や地域再生の活動をしています。21世紀は日本の世紀。大震災を経ていよいよ世界の課題に答を出す新日本秩序の形成を。新しい国はじめに向けて発信をしたいと思います。

来年4月に消費税率10%への引上げが予定されていますが、安倍政権は景気の状況などに鑑みて、この増税を先送りして衆参同日選挙に打って出るのではないか?こんな噂が駆け巡っています。
では、そもそも消費税とは何に使われているのか、景気にマイナスと言っても、消費増税はどういう意味で国民負担増なのか、意外と知られていません。
それは国の財政が国民にとってわかりにくいからです。

私は自民党ファイナリストとして「一億総納得の財政と福祉の再構築」を掲げています。今回は財政運営の改革提案にも踏み込んでみました。

 松田まなぶのビデオレター、第30回は「消費税判断の材料として、社会保障に関わる歳入と歳出」。チャンネル桜、3月8日放映。
こちらをクリックすると、今回の松田まなぶの動画を見ることができます。


 もし、2014年末の解散の際と同様、消費増税の先送りを国政選挙の大義名分とするとしても、その是非を国民が判断するためには、そもそも消費税の「負担」とは何なのか、もう少し判断材料が必要だと思います。
 まず、消費増税が何のために必要なのかということですが、法律で、消費税収の全額が年金、医療、介護、少子化対策の「社会保障四経費」に全額充てられていることが、意外と知られていません。
 社会保障を一つの社会システムと捉えると、それは保険システムです。本来、社会保障給付は基本的に保険料で賄われるのが筋ですが、社会の高齢化で、とてもそれでは足りず、国や地方が公費で補填しています。


 この公費部分に消費税収が充てられるのですが、それではとても足りず、将来世代に赤字国債としてツケ回しされている部分が圧倒的に大きい状況です。
 公費負担を国についてみたのが、次の図です。
 これは私が現職の衆議院議員のときに色々な委員会で主張して財務省が作成、公表した計数表です。
 上の表が、2014年度当初予算の国の一般会計から、消費税収のうち国に入る金額がすべて充てられる社会保障費の費目と財源構成を抜き出したものです。税率を8%に引き上げても、消費税収よりも赤字国債の額がずっと多い状況です。


 私たちがもっと認識すべきなのは、社会保障給付に充てられる消費税とは、要するに、国民から国民へのおカネの移転であるということです。
 国民の誰かが負担した消費税が、国民の誰かの社会保障給付に回っているわけで、公務員の税金とか補助金に使われているわけではありません。国は、国民から国民へのおカネの移転を仲介しているだけです。
 国民を、主として社会保障給付を受ける高齢世代(A)と、社会保険料を負担している現役世代(B)と、それでも足りない分について赤字国債の償還のための税負担をすることになる将来世代(C)に分類すれば、消費増税によって国民全体の負担が増えることになりません。(A)や(B)の負担は増えても、その分、(C)の負担は減るからです。
 消費税率を何%にするかという問題は、私は財政再建の問題とは切り離して考えるべきだと思います。
 なぜなら、それは、社会保障という社会システムを運営していく上で、世代間の負担のあり方をどのように調整するのかというのが本質だからです。



 つまり、この社会保障システムを財源的に成り立たせるための選択肢として、世代の間の負担配分の調整をするのが消費増税です。
 もし、社会保障給付を抑制するという選択肢を採るなら、それは高齢世代にもっと負担してもらおう、つまり、年金削減、医療・介護の自己負担増ということになります。あるいは、少子化対策の抑制ということを選択することもあり得るかもしれません。
 もし、社会保険料のアップという選択肢を採るなら、それは、現役世代、若者世代がさら打撃を与えることでしょう。

 どちらもイヤであれば、消費税収を増やすという選択肢が出てきます。
 経済成長で消費税収が増加して十分に医療費の伸び(GDP伸び率より高い)などを賄えるなら、増税は不要でしょう。
 しかし、それでは不十分であれば、そして、子どもや孫たちの(あるいは私たちの老後時点での)税負担を増やすという選択肢を採りたくないのであれば、消費税率引上げという選択肢が出てくるわけです。
 それによって、将来世代(+私たちの将来)の税負担増が軽減されます。
 それは、高齢世代にも現役世代にも広く薄く負担の増加になりますが、現役世代にとっては社会保険料アップよりはマシかもしれません。

 しかし、今の景気にはマイナスです。
 本来、国民から国民へのおカネの移転が消費税ですから、その増税で社会保障給付が増えるのであれば、全体としてチャラですので、マクロでみれば、景気には反しないはずです。
 景気を悪くするのは、赤字国債で将来世代に依存していた分を、今の世代で負担するよう是正する部分です。かつて5%だった消費税率を10%まで引き上げると、10兆円あまり、この新たな負担が生じることになります。

 消費税率の引上げを先送りすればするほど、この世代間負担を是正する部分が、増税時点での経済へのマイナスとして大きくなってしまいます。
 これまで日本は長年にわたり、増税先送りを続けてきましたので、消費増税で景気が悪くなるという現象は、過去に積み重ねた先送りのツケともいえるものです。


 
 私は、こうした受益と負担との関係を明確にして、国民が自ら判断、選択できるような透明な財政の仕組みを提案しています。
 それは、国の一般会計を、「投資勘定」、「経常勘定」、「社会保障勘定」の3つに区分して示すことです。
 この提案については、機会を改めて解説したいと思います。