松田まなぶのビデオレター、第31回は「中国経済の現状と求められる構造改革」。 | 松田学オフィシャルブログ Powered by Ameba

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日本を夢の持てる国へという思いで財務省を飛び出しました。国政にも挑戦、様々な政策論や地域再生の活動をしています。21世紀は日本の世紀。大震災を経ていよいよ世界の課題に答を出す新日本秩序の形成を。新しい国はじめに向けて発信をしたいと思います。

「経世済民」という言葉どおり、経済は政治の根本です。
いま国政に必要なのは、経済を自らの言葉で語れる政治家ではないでしょうか。
自民党ファイナリスト、松田まなぶをよろしくお願い申し上げます。

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 今回のビデオレターでは、年初からの市場の不安定に対して先般のG20ではどのようなメッセージが出されたのか、流出を続ける人民元の問題や中国経済の実態、全人代で出された方針などを論じました。
 松田まなぶのビデオレター、第31回は「中国経済の現状と求められる構造改革」。チャンネル桜、3月22日放映。
こちらをクリックすると、今回の松田まなぶの動画を見ることができます。


●世界経済とG20
企業収益は最高、安倍政権の3年半で経済はそれ以前に比べれば着実によくなっています。
 今年初めからのマーケットの混乱は、日本経済ではなく、世界経済の不安によるもので、中国、原油価格、新興国経済、欧州の銀行問題などが原因でした。
 
 2月26~27日に上海で開かれたG20(財務大臣・中央銀行総裁会議)では、この問題にどう対応するかが注目されましたが、日本にとって、ポイントは次の3でした。
第一に、円高に対して共同声明でどう表現するか。
第二に、中国経済の先行き不安や人民元暴落懸念の中で、通貨切り下げ戦争をどう阻止するか。
第三に、金融政策は手詰まりではなく、まだやることはある、しかし、金融政策に依存するのではなく、財政や構造政策をする。

G20の共同声明は次をご覧ください。


 ここでは、金融政策だけでなく、財政や構造政策など総合的な政策の必要性が打ち出されました。財政出動について期待されたのはドイツと中国でした。メルケルは固いので、結局、リーマンショック後と同様、中国の財政出動に期待がかかっているということになります。

 ただ、中国からは人民元の流出を介入で支え、外貨準備が月当たり1,000億ドルのペースで減少するという事態も見られ、人民元の暴落が世界的な通貨安競争を通じて新興国に打撃を与えることが懸念されています。
 そこで、上図の最後の文言、これは人民元の流出防止策の必要性について、日本が苦労して入れたものです。
 いずれにしても、この声明で市場はいったん、安定しました。

●中国に求める資本流出規制
 日本が人民元の流出規制を求めると言っても、何か大仕掛けの新しい資本流出規制をしろと言っているわけではありません。イリーガルな行為を規制してほしいということに過ぎません。

 第一に、中国の対外投資は認可制ですが、架空の投資物件で認可している事例が多々あります。
 第二に、輸入代金を水増しして申告している場合があります。
 いずれも、過度に人民元が流出することになります。これら「お目こぼし」を規制するだけでだいぶ違ってきます。



●資本流入規制の緩和
 逆に、資本の流入については、中国の金融資本市場の規制緩和が強く求められています。国際標準並みの金融資本市場へと改革を進めることは、人民元がSDR構成通貨入りした以上、中国の国際的な責任として求められるところです。
 日本にとって、ポイントは2つあります。
一つは、RQFII制度(人民元適格域外機関投資家)です。RQFII(Renminbi Qualified Foreign Institutional Investors)とは、中国域外で保有されている人民元を直接、中国の金融・証券市場に投資できる中国域外の機関投資家です。それ以外の投資家は、中国に外貨を持ち込んで人民元と交換しないと投資できません。
RQFIIは中国証券監督管理委員会(CSRC)から認定を受けた、ごく一部の海外金融機関にのみ認可されており、これが日本と米国には全く与えられていません。これが、日米の投資家にとって中国への投資を困難にしています。
もう一つは、東京に人民元オフショア市場を創ることです。そのためには、インフラとして、人民元の決済ができる銀行(クリアリングバンク)が東京に置かれる必要があります。これは中国本土とつながっている銀行ですが、これも、免許を申請しても日本と米国には認可していません。
以上、日米にとっての2つの大きな障壁は、南シナ海問題などで対立する両国と中国との間の政治的要因によるものといえます。

●かたや中国経済はどうか。
 3月5日に全人代(全国人民代表大会)が開かれ、中国のこれからの政策の大きな方針が示されました。
 
 そもそも中国経済の現在の苦境は、熟練労働力の不足にあります。
 消費者ニーズに応えられるようなスキルのある労働力が不足し、そうした労働者を育成する機会も乏しいことから、過剰設備、過剰雇用で悩む鉄鋼や石炭などの伝統的装置産業からの労働力の職業転換が困難になっています。
 それが設備や債務の削減といった構造転換を阻むとともに、賃金上昇とコストアップを招き、新規事業も困難という状態に陥っています。
 これに対してどうするか。
 下図をご覧ください。



 過剰設備の削減について数値目標が出たことは良いことだったと思います。
 成長率目標も少し控えめになりました。
 他方で、積極的な財政政策なども打ち出されています。
 いずれにしても、この全人代でマーケットには安心感が出ました。
 
 ただ、上図では省略していますが、全人代では財政政策につき、何兆元規模での鉄道や道路などのインフラ投資も盛り込んでいます。
 リーマンショック後の4兆元(56兆円)の大型投資が世界経済を救ったのと同じ構図が感じられます。

 前記のG20では「財政」が盛り込まれ、中国は財政出動に動き始めました。
 では日本は…?
 参院選に向けて大型の財政発動、景気対策の議論が活発化しています。