松田まなぶ、安倍政権の「新3本の矢」につき「真3本の矢」を提言、新公共サービス研究会講演 | 松田学オフィシャルブログ Powered by Ameba

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日本を夢の持てる国へという思いで財務省を飛び出しました。国政にも挑戦、様々な政策論や地域再生の活動をしています。21世紀は日本の世紀。大震災を経ていよいよ世界の課題に答を出す新日本秩序の形成を。新しい国はじめに向けて発信をしたいと思います。

 安倍政権の「新しい3本の矢」がいまひとつ、インパクトが弱いと言われているので、松田まなぶは、持続可能な成長を目指す「真の3本の矢」を提言しました。第1に「日本のこれからのストーリー…未来を描く」、第2に「人々のチャレンジを促す社会システムへの転換」、第3に「万般にわたるセーフティーネット」。10月19日に開催された第48回「新公共サービス研究会」(上村多恵子・京南倉庫社長主催)での講演です。本当は防災対策の盲点である「電源セーフティーネット」をピーアールする場でしたが、私としてはやはり、人々を覆う不確実性の問題に政府が向き合うことが経済政策の王道であることを、そろそろ明確に打ち出すべき時期だと考えた次第です。

 安倍政権が打ち出している「新3本の矢」は、東京五輪の2020年に向けて、第1に、「希望を生み出す強い経済」…GDP600兆円を目指す。第2に、「夢を紡ぐ子育て支援」…出生率1.8を目指す。第3に、「安心につながる社会保障」…介護離職ゼロを目指す。
 早速、これは「矢」ではなく「的」だ、大事なのは的を射るための具体的な「矢」の中身だ、それが無い、などと批判されています。
 
 ただ、これら新しい3本の矢に共通するテーマとして、「一億総活躍社会」があります。
 先日、私が幹事役を務めている勉強会に、これを担当する大臣に任命された直後の加藤勝信新大臣を講師としてお迎えしました。
 彼の説明では、基本思想は「チャレンジ」にある、かつて06~07年の第一次安倍政権のときにも「再チャレンジ」を掲げていたように、安倍総理の一貫した理念はこの点にあるということでした。高齢者も女性も身障者も…一億国民の誰もがチャレンジできる社会を創る。


 このこと自体は、私、松田まなぶが財務省という官僚機構からはみ出し始めて、言論NPOを設立した当時にも掲げていた「自らの夢を持ち、その夢に向けて挑戦する人を応援する社会を」と、理念的立場は共通です。
 だからこそ、個々の人々の挑戦や再チャレンジを妨げるようになってしまった「戦後システム」を抜本的に組み替えて、日本の全体システムを時代にふさわしいものに再設計しようというのが、私の政治活動の原点にあります。

 安倍総理はかつて「戦後レジームからの決別」を唱えていましたが、第二次安倍政権になってからは、総理の口からその言葉はあまり聞かれなくなりました。
 もし、今回の平和安全法制をもって、憲法改正への動きが下火になるとすれば、では、安倍総理の基本思想である「戦後レジームからの決別」はどうなったのか、ということになることでしょう。
 
 私は、この言葉は、むしろ、戦後システムの再設計のほうにこそ、重点があると考えています。挑戦者にとって足かせになっている戦後日本社会の様々な仕組み、大企業を中心とする「組織本位制」社会の硬直性とか、完成度は高いものの縦割りでガチガチの官僚主導の制度・政策レジームなどを組み替える。

 まず、そこに手をつけて、日本はこれからどのような「新しい国づくり」を目指すのかの合意を形成していくことこそが、今の政治に問われる喫緊の課題だと思います。
 憲法改正は、その先に出てくるものであり、そこにおいて国民的議論がなされた上での改憲であってこその「自主憲法」ではないでしょうか。


 では、持続可能な成長に向けて国民に夢を与える経済政策とはどのようなものなのでしょうか。
 これまで、「改革」、「改革」…と耳にタコができるほど唱えられてきた言葉に代わる新しい言葉は「設計」だと思います。多くの「改革」論者が想定してきたのは市場競争型の設計思想でしたが、私は今の経済が置かれている状況はそうした新自由主義的な発想で対処できるものではなく、まさにケインズ的状況だろうと思います。

 ケインズ経済学が向き合ったのは「不確実性」でした。不確実性は「リスク」とは異なります。リスクであれば、確率計算ができます。サイコロの目などがそうです。それは市場経済で処理できます。
 これに対し、同じ不確定性でも、確率自体を特定できない、市場メカニズムでは処理できない不確定性、つまり、どのように事態が生じるかを合理的に予測できない漠然たる将来不安のようなものを「不確実性」と呼びます。

 そもそも人間の行動は全て、不確定な未来に向けたリスクテイクです。
 人々が自分が持っているおカネを支出して投資したり消費したりするのもそうです。ケインズは、不確実性が増大すれば、リスクテイクが委縮し、代わりに、貨幣に対する愛着が増大するとして、これを「流動性選好」という言葉で表現しました。つまり、投資や消費よりも貨幣(金融資産)を選択する状態で、これが経済停滞やデフレの原因になります。

 対応策は、政府が民間のリスクをシェアすることです。方策は、①第一に、財政政策…ケインズ政策とされてきた公共投資拡大に代表されるもので、有効需要を政府が拡大する政策です。②第二に、金融政策…中央銀行が金融資産を購入して民間金融市場のリスクシェアリングをするもので、リーマンショック後に先進各国が採った非伝統的金融政策、量的緩和です。

 アベノミクスは、これら2つに加え、第3の矢として成長戦略を掲げてきましたが、どうも、期待された成果が実体経済に及んでいないとされています。恐らく、第3の矢が不確実性の問題に正面から向き合ってないからでしょう。

 そこで松田まなぶは、不確実性に向き合う③第三の道として、「未来へのストーリーの設計」が必要と訴えてきました。社会システムや人生経路への人々の信頼性が確保されることで、国民や企業を覆う不確実性が軽減され、「流動性選好」が低下し、日本が有する3,300兆円もの金融資産が投資や消費へとフロー化する。結局、市場経済の不調の問題は、市場経済の外側にある社会の枠組みの再構築によって対処するしかないようです。それ自体が、日本の「新しい国づくり」です。

 この考え方のもとに、松田まなぶは、前述のような「真の3本の矢」をもって安倍政権の新3本の矢を実効あらしめることを提案しました。

 今回の新公共サービス研究会では、そのうち特に、第3の矢である「万般にわたるセーフティーネット」を取り上げ、7つの課題分野を提示しました。

 そこから今回の本題である「防災と電源」へと議論をつなげましたが、この「電源セーフティーネット」については改めて、講演内容をご報告します。