松田まなぶのビデオレター、第11回は「財務省的財政再建、国民負担増と超低金利政策の謎」 | 松田学オフィシャルブログ Powered by Ameba

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日本を夢の持てる国へという思いで財務省を飛び出しました。国政にも挑戦、様々な政策論や地域再生の活動をしています。21世紀は日本の世紀。大震災を経ていよいよ世界の課題に答を出す新日本秩序の形成を。新しい国はじめに向けて発信をしたいと思います。

 どうも財務省の言っていることを聞いていると、私たちを待っているのは莫大な国民負担増しかないことになる。財政再建はgloomyで憂鬱な議論でもあります。しかし、ここで委縮してしまっては、夢がありません。国民が将来を悲観的に想定してしまえば、経済成長は実現しません。突破口は何かを考えるのが政治の役割。ただ、現実はきちんと見ておく必要があります。「不都合な真実」を正視する勇気なくして、真に明るい未来は開かれないと思います。そこで、今回は、財政再建に向けて財務省がどのような土俵を設定しているのかを議論してみました。本当にgloomyな土俵しか選択肢はないのかを考えるためです。

 第11回「財務省的財政再建、国民負担増と超低金利政策の謎」チャンネル桜、6月16日放映。
こちら↓をクリックすると、今回の松田まなぶの動画を見ることができます。

 安倍政権は2020年度に国と地方のプライマリーバランスを達成することを財政再建の目標として掲げています。しかし、それは、2017年4月に消費税率を8%から10%に引き上げたとしても、さらに9.4兆円もの国民負担増が追加で必要であることを意味します。アベノミクスが成功して、考えられる最高の経済成長を実現しても、自然体では16.4兆円と見込まれるプライマリー赤字は7兆円しか縮小せず、残りは増税か歳出削減しかないからです。消費税率引上げを10%で打ち止めにするなら、社会保障費を9.4兆円削るしかなく、そのほとんどは年金の削減、医療や介護の自己負担増という、これも国民負担増ということになります。増税も社会保障給付の削減も、国民負担増という点では同じです。
 では、6月末に予定されている財政再建計画の策定で、安倍政権は具体的で説得力のある国民負担増の姿を果たして描くことができるのか…。これが財務省的財政再建の論理が設定した土俵といえます。
 ただ、この試算に対しては、実際よりも低い税収弾性値を前提にしていないか、物価上昇が名目GDP成長率のアップにつながる度合いを低く見過ぎていないか、など、さまざまな反論がなされています。これに加えて、松田まなぶが指摘したのは、金利です。
 財政再建で大事なのはプライマリーバランスそのものよりも、政府債務残高の対GDP比率が安定するかどうかです。政府の試算でも、経済再生ケースでは、この比率が推計期間の最後の2023年度まで、安定的に低下している姿になっています。プライマリーバランスが達成されていなくても、金利が成長率よりも低い状態さえ続けられれば、財政再建は達成できるということになります。何も、プライマリーバランスを金科玉条とする必要はないのかもしれません。もう少し考えてみる必要がありそうです。
 次の問題は、この状態がどこまで持続可能かですが、次回はこの点にも踏み込んでみたいと思います。