松田まなぶの報告 台湾訪問記 | 松田学オフィシャルブログ Powered by Ameba

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日本を夢の持てる国へという思いで財務省を飛び出しました。国政にも挑戦、様々な政策論や地域再生の活動をしています。21世紀は日本の世紀。大震災を経ていよいよ世界の課題に答を出す新日本秩序の形成を。新しい国はじめに向けて発信をしたいと思います。

3月30日~31日の今回の台湾訪問について、以下、ご報告いたします。
  
現地では、交流協会台北事務所の皆さまに大変お世話になりながら、以下を訪問いたしました。
  
3月30日午前 順益台湾原住民博物館視察
 同午後 台北慈済病院視察
 同夕刻 国民党の李鴻均・立法委員(台日交流連誼会会長)との懇談
 同夕刻 学生デモ現場視察(立法院周辺)
 同夕刻 民進党の陳瑩・前立法委員、呉釗燮・立法委員(政策委員会執行長:同党の政調会長)との会食

3月31日午前 陳春生・蘇澳区漁会理事長との意見交換
 同昼食 樽井澄夫・交流協会台北事務所代表との会食
 同午後 沙志一・行政院農業委員會漁業署署長との意見交換
 同夕刻 李嘉進・亜東関係協会会長との意見交換
  
 上記について、以下、時間順ではありませんが、それぞれご報告します。
  
○李鴻鈞立法委員との意見交換(3月30日)
 ・国政、経済関係全般について意見交換。うち漁業関係について、松田より、新ルールが成立しても沖縄の漁民の側からは、台湾の漁船がルールを守っていないという不満が聞こえてくる旨申し入れ。
 ・これに対し、李氏より、状況は十分に理解。漁業関係部局に対し、台湾漁船がルールを守るよう対処するように自分からも話をしておく旨返答があった。

○民進党の吳釗燮・ 政策委員会執行長、陳瑩・前立法委員との意見交換(3月30日)
 ・主として、まさに現在行われている学生のデモ状況についてヒアリング。
 ・先方の見解によれば、この問題は、基本的に馬英九総統が民主的手続を無視して両岸関係の強化を強行したことに対する反発であり、政策についての国民に対する説明が不十分であることが第一の大きな問題。そして、この両岸関係における経済関係自由化は、中国の台湾経済に対する支配を強める懸念が大きい。
 民進党はこのデモを主導していると一部で言われているが、そうではなく、デモに参加する学生たちの身の回りで困ったことがないように側面からサポートしている立場である。
 ・その他、政治経済関係中心に意見交換を行った。
⇒ところで、陳瑩・前立法委員は、雰囲気のある美人で、台湾を代表する音楽家です。楽器はチェンバロ。国会の質疑の場で歌を歌ったことで有名です。
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「夕食会の場で。」

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「ビルの写真は、『台北101』で、高さ509.2mの超高層ビル」

○学生デモ現場の視察(3月30日)
 ・当日は報道にもあるように、当局発表11万人(一部報道によれば50万人、実際はその中間程度の人数と推察される)が台湾各地から参加し、最大に盛り上がる場面となった。
 ・当初の予想に反し、学生の座り込み等のデモ活動はマナーを遵守したもので、整然と静かに行われていたことが印象的であった。占拠された立法院の近辺まで訪れたが、いわゆる暴動のような激しい事態はなく、路上において演説や音楽演奏等が行われており、一種の「祭典」の様相ではあった。デモで座り込んでいる台湾の学生にも直接、話を聞いたが、参加学生たちは、極めて真摯に政治的な意思表明をしていた。

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「これらのうち建物の写真はデモで占拠されている立法院」

○蘇澳区漁会との意見交換(3月31日)
(林月英・總幹事)
 ・台湾で最近漁獲高が増えている、あるいは刺身を食べるようになってマグロの需要が増えている、という事実はない。むしろ、台湾人は大型魚を好まない。
   かつては日本にも輸出していたが、最近はそれも減少。漁獲高は増えているわけではなく、漁業資源は公共の資源という認識の下に、沖縄の漁民を排除することはない。
(陳春生・理事長)
 ・沖縄の漁民との長年にわたる友好関係がある。200カイリの規制ができてから、我々の漁業も様々な面で制約が生じた。沖縄の漁民とは漁法が異なるという側面もある。漁民間では極めて友好的な関係で推移している。これからも友好関係を維持発展させてゆきたいと考えている。
 ・資源管理の問題があるので、関係当局で検討しているところである。例えば一種の登記制度を設ける等、検討を行っている。
 今般、1月に日本との間で細かいルールを合意したところ。これを実行に移す際に、完璧にはできないところが多々あると思われる。もちろんお互いルールを守る責任を負っているという認識は有している。
 ただ、日本側が15隻に対し、台湾側が170~180隻と大量であり、また漁船管理の仕方が異なることも事実である。台湾の漁民への指導をどうするか、トラブル発生の際に通報のやり方も含めどう対処するか、日台の関係者の間でこれまでも何度も座談会を実施してきた。台湾の漁民に対しては、日本の4カイリのやり方を何度も説明してきた。トラブルは少ないと信じているが、すべてなくなるとはなかなか保証できない。
 ・松田より、新しいルールができた後も沖縄の漁民は台湾側がルールを守らないことに強い不満を持っている旨指摘。
 ・現在の状況を解説頂き感謝している。台湾側としては、仮にルールを守れない場合には、その漁船は当該水域ではえ縄漁業をできなくする等の措置も検討中である。
 沖縄側に色々な声があるように、台湾の漁民の間にも異なる声があることも指摘しておきたい。八重山北方三角水域のような場所では、日台間がきちんとルールを守るということになっているが、国と国との間では、それぞれ認識が異なる点があることは避けられない。日本側は譲歩したという認識だということであるが、我々は協力の範囲が拡大していると説明している。これは外交上の友好関係を越えた直接交流の中でさらに友好関係を確認したということであり、双方がルールを守らなければならないと認識している。
 ・また、海上の操業というものは時には100%ルール通りというわけにはいかないのが現実である。故意に違法な操業をしているわけではない。結果として日本側に取り締まられるたびに、相当な額の漁民の負担が発生している。
 違法な操業に対して法の制裁を科すのは当然である。しかし、海上では海流、風の流れ等で時に境界線を越えることも起こりうる。当局にはその点を配慮して頂きたい。単なる線引きではなく、バッファーゾーン的な考え方に配意してほしい。
 ・今回の協定は、政治的配慮を排除して漁民の自発的な動きによって漁民の生存権を確保しようとしたもの。この水域で持続可能な資源共有と共存を希望している。
 当方の立場としては、①日本と協力したい(中国とではない)。②資源面での持続可能性を大事に考えたい。この点について台湾の漁民は全く同意している。③この海域で日本との協力の一つのモデルをつくり上げたいと考えている。資源共有をしていこうという使命感があるからこそ、取り決めを守るべく努力していかなければならないというのが我々の立場である。
⇒陳氏は、中国は資源を丸ごと持っていく国だが、資源保存の考え方について我々と日本は考え方を共有しているとしていました。

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「この港湾から沖縄に向かう漁船の8割が出航」

○沙 志一 漁業署長との意見交換(3月31日)
 ・日台双方の共存共栄と持続可能性が我々が考えている基本原則である。マグロについても、回遊性のある資源であるだけに、国家間において、また国際的な漁業関係機関の下で厳正な管理が必要。台湾がこれに参画するうえで、これまでの日本からの支援に感謝する。
 我々はすでにクロマグロ等に関して4つの漁業関連機関(WCPFC、ISC等)に加入した。ISCの議長は台湾が務めている。
 台湾は国際的に取られていない措置も取っている。例えば、クロマグロについて実績のある漁船にのみ許可を与える許可制など。一匹一匹のクロマグロにタグをつけることも行っている。これはCCSPT(みなみまぐろ保存委員会)でしか行われていない措置である。
 台日取り決めを実施するために、位置を把握する装置を装着する義務付けも行っている。反発もあるが、こうした措置をとっている。
 1月にコンセンサスができたところであり、今年始まる漁期の間にどこまで相互信頼関係が構築できるかが重要と認識している。我々としてそのような意思を有していることをこの場で保証したい。
 ・松田より、1月のコンセンサスができた後、台湾側がルールを守らないことに沖縄の漁民から不満が出ている状況を説明。
 ・新しいルールができてから今春初めての漁期を迎えることになり、台湾漁船の過去の行動が頭にあるとは思うが、これから共に操業できる環境を作って参りたい。
 どんなに厳しい規制があってもルール違反は起こりうる。政府としては、監視取締に尽力したい。日本政府の努力にも期待したい。
 ・万一、トラブルが発生した際の後処理の窓口が大事。その際は八重山漁協と大日本水産会の2つが考えられるのではないか。
 ・松田より、北太平洋公海漁業条約について、日本が事務局となっており、台湾が今年中にも加盟すると聞いている。そうなれば、台湾として、より一層責任が高まる旨を指摘。
 ・沙氏より、当初、事務局は日韓で争ってきたもので、台湾としては日本に設置すべきとの立場だった。この条約のプロセスに台湾も参加してきた。このほど国会の承認を得て、加入文書を提出することになる。
 ・遠洋漁業を監視するモニタリング機能を強化し、これによる統計データの処理が今回の取り決めの前提になっている。
 ・台湾船は大型の船で資源をごっそり持っていくイメージがあるかも知れないが、実際の漁獲量は沖縄の方が多い場合もある。漁場に関するもっと良い情報はないのかという問い合わせが当方にあるくらいである。
 いずれにしても、資源保存のために漁獲量全体を縮小させる日台間合意の仕組みが必要と考える。

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○李嘉進・亜東関係協会会長との意見交換(3月31日)
 ・日台間の政治経済関係について一般的な意見交換を行った。
⇒台湾は日本の東日本大震災に際して真っ先に200億円を上回る寄付をした国ですが、この李会長のお母さんは、自分の養老年金を全額寄付したそうです。
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●以上のほか、次の2カ所を視察しました。
〇順益台湾原住民博物館
 空港到着直後にまず訪れたのが、今でも20万人以上いる台湾の原住民に関する博物館です。私たちはここで、台湾は中国とは違う、大陸系ではなく、日本と同じ海洋民族だ、という印象を強く持つことになりました。東はフィジーから西はマダガスカルまで、南洋系の共通の血が流れる人々が、海を越えて太平洋からインド洋に散らばっており、その一部が台湾の原住民です。日本も同じ南洋系の血が流れていると思われます。
 高砂族という名前でも知られていますが、台湾の山間部を中心に独特の文化を営んでいました。首狩り族の展示もありました。民族衣装などをみても、文化水準は相当高かったようです。大陸から中国人が移住してきたのは17世紀からです。
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〇台北慈済病院視察
 台北慈済病院は、世界各地にネットワークを持つNGO形態の病院です。病人は肉体面で非常に苦しんでいるからこそ、精神面では素晴らしい環境を与えねばならないという考え方を、まさに実践しています。ロビーは高級ホテル感覚で、いつもピアノ演奏などがなされ、内庭はプロムナード、バルコニーは公園、まるで天国にいるような感覚です。
 驚いたのは、多数のボランティアが常に集っていることで、2年間の研修を受けてボランティアとして病院で働き、医療だけでなく、患者の精神面を支えていることです。ここでボランティアで働くことは功徳になるということで、大変人気があるそうです。そうした宗教的な裏付けがあり、病院内には宗教画が多数、あります。快適で落ち着いた空間にいるだけで癒しを感じます。案内してくれた方々も皆さま、とても穏やかな表情で、笑顔を絶やさず、徳の高さを感じさせてくれました。
 こうした共助、互助が支える医療の在り方を見て、日本は台湾に先を越されたと感じました。

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