【ニッポン興国論】第4回 超高齢化社会では消費税にはプラスの経済効果がある。 | 松田学オフィシャルブログ Powered by Ameba

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日本を夢の持てる国へという思いで財務省を飛び出しました。国政にも挑戦、様々な政策論や地域再生の活動をしています。21世紀は日本の世紀。大震災を経ていよいよ世界の課題に答を出す新日本秩序の形成を。新しい国はじめに向けて発信をしたいと思います。

【第4回】超高齢化社会では消費税にはプラスの経済効果がある。


前回は、日本で続くデフレの最大の原因が社会の急速な高齢化にあること、また、将来不安が大きいときには人々はおカネを保有して使おうとしなくなることがデフレをもたらすことを論じました。

前回第3回の記事は、こちら↓をご覧ください。

http://ameblo.jp/matsuda-manabu/entry-11248255278.html


今回は、超高齢化社会の日本では、これまで消費税を十分に引き上げてこなかったことが、むしろ、デフレを強める原因になってきた面もあることに触れてみたいと思います。

 

 デフレの原因の一つに「不確実性」ということがありますが、経済停滞が続いてきた日本では、将来の生活不安は多くの国民に広がってきた「不確実性」です。特に、世界最長寿国の日本の場合、現役からリタイアした人々にとっては、自分が何歳まで生きるか分からないということも、大きな不確実性です。それに備えるために、おカネを使わずに貯蓄を少しでも温存しようとすることになります。

これからますます人口構成が高齢世代に偏っていく日本では、高齢者への社会保障を現役世代が支えられるかどうかという不確実性も加わっています。

結局、超高齢化社会で高まる不確実性を緩和できるような将来展望を描き、人々がもっと安心しておカネを使える社会にすることが、デフレ克服の王道だといえます。そうであれば、消費税率引上げも、それが社会保障の安心確保につながる道筋が明確に描かれるような増税であれば、デフレを緩和する方向に働くことになります。

ただ、政府が提案している今の「社会保障と税の一体改革」の案が、その上で十分かどうかは別問題です。これだけ消費税率を上げれば、その分、これだけ社会保障が充実するという説明がなかなか困難だからです。なぜなら、現状の社会保障を維持するだけでも、毎年、多額の財源不足を将来にツケ回してきたわけですから、まずは、そのギャップの穴埋めに増税分の相当部分を充てざるを得ないからです。

それは、消費税率引上げを先延ばししてきた結果でもあります。

 

 社会の高齢化とともに、年金、高齢者医療、介護などの社会保障給付は毎年、数兆円単位で膨らんでいます。その相当部分が現役世代の保険料負担で賄われていますが、それでは不足するので、国が財政負担をしています。消費税はその財源です。

ここで考えるべきなのは、人口構成の高齢化は、選挙の票に占める高齢世代の比率を高め、彼らの政治的影響力を強めるということです。

社会保障支出の削減が政治的に困難になる中で、税制体系において消費税(高齢者もおカネを使う際に負担する)のウェイトが低い(高齢世代の社会保障を現役世代の負担に頼る度合いが強い)ままでは、おカネを使う現役世代からおカネを使わない高齢世代への所得の移転が増えます。社会保険料がいつの間にか増えている。そんな形で、現役世代の生活もずいぶんと圧迫されてきたのではないでしょうか。

こういった現象も、デフレを加速することになりますが、これは一種の民主主義の欠陥なのかもしれません。特に将来世代の利益を民主主義の意思決定の中にどう反映するかは、政治の大きな課題でしょう。


以上のように考えると、消費税率の引上げには、デフレを緩和する面もあるといえます。

次回は、デフレ克服の上で果たすべき政府の役割について考えてみたいと思います。(続く)


バックナンバー

【ニッポン興国論】第1回 消費税率引上げは国民にとって負担増なのか↓

 http://ameblo.jp/matsuda-manabu/entry-11237001318.html

【ニッポン興国論】第2回 消費税を上げたらデフレが加速するというのは本当か↓

 http://ameblo.jp/matsuda-manabu/entry-11242202033.html