【第3回】消費増税では説明できないデフレとは、そもそも何なのか
前回は、97年の消費税率の引上げがデフレをもたらした原因ではないことを論じました。
前回第2回の記事は、こちら↓をご覧ください。
http://ameblo.jp/matsuda-manabu/entry-11242202033.html
今回は、では、日本で続いてきたデフレとはそもそも何なのかを簡単に述べてみたいと思います。
物価が下落し、経済も不況になることを私たちは「デフレ」と言っていますが、そもそもデフレとは、おカネの価値が継続的に上がることであり、それによって「資本主義」が崩壊することです。おカネの価値が上がると何が起こるのか。
第一に、誰もが価値の上がっているおカネを使おうとしなくなることです。おカネが支出されないのですから、経済は当然、不況になります。
第二に、借金の実質的な価値が上がることです。その結果、企業などでは、借金を抱え続けることが重圧になっていきます。そこで、皆が借金を減らそうとします。そうなると、企業などは、借金をして投資するということをしなくなります。借金をして投資をするということは、資本主義の本質です。デフレは資本主義を機能不全にしてしまいます。
日本でデフレが続く原因は色々とありますが、最も大きいのは超高齢化社会です。現役世代に比べて、おカネをあまり使わない高齢世代の人口比率が日本ではどんどん高まっているのですから、国全体の総需要は減っていきます。その結果、日本全体の供給能力に比べ、総需要が不足する状態になります。その不足分のギャップを「デフレ・ギャップ」と言います。その大きさは、最近の数字で日本は年間で15兆円程度と言われています。
つまり、デフレというのは長期的で構造的な要因によるもので、その解決策は、高齢世代がその大半を所有する巨額の日本の金融資産をマネーの循環へと引き出していくこと、簡単にいえば、高齢者がもっとおカネを使う世代になることに求められるものです。
20世紀を代表する経済学者のケインズの学説の本質は、「流動性選好」を説いたことにありました。将来に対する不確実性が大きいときに、人々には「貨幣に対する無限の愛情」が生まれ、おカネを支出せず保有しようと行動するという指摘です。つまり、人々を覆う不確実性が大きい状態では、おカネの価値が上がり、デフレが起こります。
日本の現状に即していえば、おカネは金融資産と置き換えられますから、莫大な金融資産の積み上がりで世界最大の純資産国となっている日本の現状は、デフレ状態の裏返しともいえます。
実は、消費税を引き上げないできたことが、むしろ、デフレを強める原因になっている面もあります。次回はこの点に触れてみたいと思います。(続く)
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【ニッポン興国論】第1回 消費税率引上げは国民にとって負担増なのか↓
http://ameblo.jp/matsuda-manabu/entry-11237001318.html