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日本を夢の持てる国へという思いで財務省を飛び出しました。国政にも挑戦、様々な政策論や地域再生の活動をしています。21世紀は日本の世紀。大震災を経ていよいよ世界の課題に答を出す新日本秩序の形成を。新しい国はじめに向けて発信をしたいと思います。


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各党の公約を採点しても、やはり自民党。大事なのは説明責任。(松田まなぶのビデオレター)


●ブレグジット・ショック
英国のEU離脱は、Britain(英国)とExit(退出する)を組み合わせて「Brexit」(ブレグジット)と呼ばれますが、このことをRegret(後悔する)と組み合わせて「Regrexit」(リグレジット)だという言い方もあります。
やはり、シングルイシューでの国民投票とうのは、危ういところがあります。
だからこそ、どの国でも、こうした直接民主主義でなく、信頼できる代議士を選んで国の命運を熟議で決めてもらう間接民主主義が採られてきました。
日本では今、参院選、各党の政策の違いをよく見極めて、Regretにならないよう、良い選択をしたいものです。
ところが、今回の参院選も、何が争点で、何が各党の本質的な違いなのか、よくわからないという方々が多いようです。

●マニフェスト評価
民主主義のインフラとして「マニフェスト評価」という営みがあります。
有権者が各党のマニフェスト、すなわち政権公約を判断して投票し、マニフェストは、結果として政権を取った政党と有権者との間の契約になり、次の選挙では、その履行状況を有権者が判断して政権の継続か交代が決まる。
これをマニフェストサイクルと言います。
参院選はこうした政権選択ではありませんが、有権者による政権の中間評価といえるでしょう。

英国離脱ではEUとは何かを知らない有権者も離脱に投票したと言われます。
有権者が各党の政策を判断する判断材料を中立的な立場から提供する。
そうしたマニフェスト評価の機能を日本で担っているのが言論NPOです。
私も国会議員になるまでは、言論NPOでこの活動を担っておりました。

●言論NPOによる各党の公約の評価
 言論NPOが各政党の公約を評価する際の評価基準は、100点満点で、形式基準(40点)と実質基準(60点)に分かれます。



形式基準は、マニフェストとしての体をなしているかという視点からの評価で、その政党が掲げる理念、理念実現のための目標、その手段、達成時期、財源などが明確にされているかを判定します。
 私が大事だと思うのは、もう一つの実質基準です。これは、国に問われている本質的な課題を国民に提示し、それに向き合おうとしているのか、その課題の解決策として妥当な政策を掲げているか、実際に政策を実現する責任体制やガバナンスは大丈夫かを判定します。
 以上の基準に基づいて、今回の参院選で掲げられている8つの政党の公約を言論NPOが評価すると、それは図のように厳しいものになりました。100点満点中、どの政党も30点にも届かず、まだ、日本の有権者には公約という形で、政策や政権を選択する判断材料が十分に提供されている状況にはないということなのでしょう。
その中にあって、やはり、与党自民党は最高得点でした。


●経済と財政についての評価の視点
 この中で、今回、与党が参院選の最大のテーマとしている経済政策を中心に、言論NPOの評価を踏まえて、以下、コメントしてみたいと思います。

政権与党の実績評価としては、アベノミクス3年半、有効求人倍率が1.34倍と24年ぶりの高水準で、就業者数は110万人増加、企業収益も過去最高70.8兆円と、ミクロの数字は非常にいい経済指標が出ています。
一方で、マクロ経済の指標については、安倍政権3年間の平均で見てもわずか0.6%の低成長率となっており、また、消費者物価指数の2%目標もゼロからマイナスに逆戻りしています。
円安や株高の効果が隅々にまで浸透せず、未だ継続的な実質賃金の増加に結びついていません。消費増税を先送りせざるを得ないほど、個人消費が弱い状況です。
やはり、将来の不確実性が国民を覆っているということが、日本経済が停滞を続けている最大の原因だといえます。

そこで、言論NPOも、経済については、中長期の視点に立った政策を出しているかどうかを評価の視点としています。



中長期の視点といえば、やはり、将来展望ということで重要なのは、財政の持続可能性ということになります。


日本の医療と介護等の費用は2015年現在で約50兆円規模となっていますが、2025年になると75兆円程度に膨張します。
10年間で25兆円、1年間平均で約2.5兆円、消費税に換算して毎年1%分の国民負担増が必要だという計算になります。
さらに、2025年以降、団塊の世代が全員、後期高齢者世代に入り、財政は社会保障給付の増大で爆発することが予想されています。

●自民、民進、共産各党の経済財政政策について



自民党は上図に掲げた「成長と分配の好循環」を経済政策とともに、財政については、2020年度までにプライマリーバランスの黒字化の目標を堅持し、2020年度後の債務残高GDP比の安定的な引き下げを目指すことを掲げています。

ただ、上図のように、本年1月の内閣府の試算では、2017年4月に予定通り消費税を引き上げても2020年度に6.5兆円のプライマリー赤字が残り、今回の増税延期でここがどうなるのかが論点です。
恐らく、参院選後にこの数字が改訂されるでしょう。どのような形で改訂されるかが注目点です。
基本的に、自民党は財政の問題も経済成長を基本に解決する立場であり、経済が成長していない中での財政再建は不可能ですから、そうした課題設定自体は正しいといえます。
 ただ、有権者へのメッセージとしては経済成長だけで財政健全化が達成できるかのような印象を与える面があるという見方もあります。
これについては、「一億総活躍社会」で生産性上昇率を現状の0.5%程度から2.2%程度へと引き上げ、高齢者と女性の労働参加率を上げて、2020年度に向けて名目で3%台後半の成長率を実現していくという政策体系が示されています。
現実にそれが実現するかどうかというよりも、国民に夢へのチャレンジを訴えていくという政権のスタンス、性格は明確です。

これに対し、民進党は、成長よりも分配や格差是正に軸を置いているようです。
ただ、「働き方革命」や「成長戦略」で掲げられた政策は自民党と大差がなく、包括例に欠け、野党第一党として物足りないというのが言論NPOの判定です。
特に、民進党は、社会保障政策を中心に自民党を上回る規模の財源をつぎ込む必要のある政策が数多く掲げられています。
チルドレン・ファーストというキャッチフレーズで、保育園・幼稚園から大学まで教育の無償化、保育園・幼稚園で働く人の月給を5万円引き上げる、総合合算制度を創設して保育・医療費等の自己負担を軽減するなど、いずれも国民から見れば有り難い政策です。
中低所得者に消費税を払い戻す給付付き税額控除を実施する方針も示されています。
最大の問題は、自民党よりも確保すべき必要財源は大きくなるにも関わらず、財源には触れていないことです。
自民党よりも経済成長に答を求める度合いが低いにのであればなおさら、民進党の政策はトータルでいくら財源が必要で、それをどう捻出するか、ということを国民にはっきりと示さなければならないはずです。
かつて2009年の総選挙で、当時の民主党はマニフェストで16.8兆円のムダ削減で、消費増税などしなくても、バラマキ4K(子ども手当、高校無償化、戸別所得補償、高速道路無料化)の財源は生まれるとして、政権を取りました。
それが大失敗し、結局、消費増税を決断することに追い込まれた苦い経緯から、今回は、意図的に財源を明示しなかったとも考えられます。
今回の民進党の公約も全体的に見ると、耳触りの良い政策を羅列する一方で、その財源は何ら書き込まれていないという点で、以前と変わらないといえるかもしれません。
 
これに対し、共産党の公約は、消費税の10%への引き上げは一切行わないとした上で、大企業や富裕層を中心にした大増税を謳っていることが特徴的です。
為替投機税、富裕税の創設、大企業優遇税制の廃止、法人税率の引き上げ、証券税制の課税強化、高所得層への課税強化、所得税の累進性強化など、トータルで22兆3.000億円の財源を確保するとしています。
また、国民の所得を増やす経済改革で20兆円を超える自然増収が10年後に得られるとも謳っています。
国民に痛みを強いる増税を公約で国民に示した政党は共産党のみであり、他党が財源を明らかにしない公約を提起する中、実現可能性は別として、国民に一定程度の具体策を提示していることは評価できる面はあります。
しかし、その試算の現実性には様々な議論があり、企業や富裕層が海外へ逃避するなどして目論見通りの税収は得られない公算が大というのが、言論NPOの判定です。

●大事なのは「説明責任」
結局、完全なマニフェストを政党に求めるのは難しいと思います。
マニフェストの仕上がり具合の完成度はともかくとして、私たち有権者が判断すべきなのは、各党のよって立つ立場、それを責任をもって実行できる能力、結果について説明責任を負う政党としての信頼性だと思います。
この人たちなら、この人なら、情勢の変化に応じてまともな国会論議をし、たとえ公約とは違う結論であっても、その説明責任を果たしてくれる人たちだ。それが大事ではないでしょうか。
そもそも責任という言葉には2つあります。
一つは、Responsibility。これは、よくない結果が出たら辞めるというニュアンスの言葉です。
もう一つは、アカウンタビリティー(Accountability)、つまり、「説明責任」と言われているものです。
これは、約束とは違う結果に対しては、それを是正する責任をも負うという意味での責任です。
いまの日本には政権の安定が重要です。先送りされてきた課題に対して国民に痛みを求めても課題解決型の政治を実現する。
その際。アベノミクスも、現状では成果が不十分なら、正すべきは正して、成長の「必要条件」を「必要十分条件」に近づけていく。
「道半ば」であるからこそ、安定政権のもとで所期のアベノミクスの目標を実現し、「説明責任」を果たしていく。
これが、自民党が今回、有権者に対して堂々と示している基本姿勢なのだろうと思います。

松田まなぶのビデオレター、第40回は「投票前の予備知識、各党のマニフェストを採点してみると?」チャンネル桜、7月5日放映
こちらの動画をご覧ください。

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今度の経済対策の柱、財政投融資で機動的な財政政策へ。郵政民営化と財投への誤解を解く。松田まなぶビデオレタ-

●アベノミクスは国政選挙の争点なのか
 一昨年の総選挙同様、今回の参院選でもアベノミクスの是非が問われていますが、そうしたテーマ設定は、それ自体が争点にはなりにくいものです。
 なぜなら、アベノミクスの3本の矢は、経済成長の必要条件、つまり、経済が成長するに必要な環境条件の一部を整えるものとして最低限必要なものであるという意味で、それ自体は正しいからです。
 大事なのは、その上に立ってさらに何を組み立てていくかです。
 環境を整えても、民間が動かねば「笛吹けど踊らず」では成長にはつながりません。
 どんなに日銀が国債を爆買いしてベースマネーを増やしても、肝心の民間銀行が融資を増やさねば市中のマネーは増えず、2%の物価目標も達成できません。民間の挑戦を促すには、さらに何が必要なのか。

 問われるのはこの部分であり、政策を成長の「必要十分条件」に近づけるためには何を組み立てるべきなのかが大事なのですが、与野党間に明確な違いが見えていません。

 消費増税の延期だけでなく、経済対策の必要性ではどの党も一致していますが、今年度は剰余金など補正予算の財源は不足しそうです。

 だからこそ、将来の税負担に直結しない国債を財源とする財政投融資の出番です。
 財政再建という制約の中で、アベノミクス第二の矢の機動的な財政政策も制約を受けてきましたが、この制約を突破するのが財政投融資、しかも、現在はマイナス金利とも言われる超低金利というチャンスです。

●財政投融資の仕組み


 財政投融資は普通国債とは違って、税金で返済しなくてよい国債が財源です。
 世界ダントツ一位の対外純資産国日本にとって大事なのは、金融資産の中身の質です。
 赤字国債のように将来の富につながらない国債は金融資産の質を落としますが、資産を残し、将来の生産性につながる国債への運用なら、金融資産の質を改善できます。
 この点で、同じ国債でも、公共事業などに充てられる建設国債ならOKではありますが、将来世代に資産を残すと同時に、これも将来世代に税負担を残すものです。
 もう一つ、財政投融資の財源に充てられる国債である財投債なら、それはインフラや貸付金のように資産を残すとともに、税金で返済する国債ではありません。

●財投と郵貯の誤解
 ただ、財政投融資には色々な批判がありました。それは郵政民営化の大義名分にもなりました。
 郵政民営化の大きな大義名分は、資金の流れを「官から民へ」取り戻すというものでした。
 
 かつては、政策金融機関(日本開発銀行、輸出入銀行、住宅金融公庫等々)、多数の公団、事業団に財政投融資が運用され、政府が肥大化し、それが官僚の天下り先、権益につながっていたとされました。
 今はだいぶ合理化され、こうした「財投機関」も整理統合でスリムにはなっています。

 行革に反すると批判されがちだった財政投融資も、現在は、そうした批判を受けてきたような、かつての姿とは異なるものになっています。
 あまり知られていませんが、2001年の財投改革で、根本的な変革がなされました。

 つまり、昔の財投は、郵貯や年金など、国の信用を通じて集まった資金が大蔵省資金運用部に強制預託される仕組みが基本になっていて、財政投融資にとってみれば、財源は、受動的に入ってくる資金でした。
 それをどうハメ込むかということで財政投融資が肥大化しました。
 いわば、財政投融資の編成は、「入るを量って出ずるを制す」でした。
 それが、財投改革で強制預託制度が廃止され、国債で資金調達することになり、郵貯や年金などの原資の側と、財政投融資との間には、金融市場が介在することになりました。
 結果として市場規律が働くことになり、財政投融資の編成も、真に必要な資金ニーズを見極めて、それに必要な財源を調達するという能動的な資金調達へと、資金の性格が180度、変わりました。
 「出ずるを計って入るを制す」になったわけです。「入る」のほうは、国債市場という金融市場の規律が働きます。

 結果として、財政投融資全体の規模は急激に縮小し、現在(今年度計画13.5兆円)は、かつての40兆円規模の3分の1です。
 小泉政権が取り組み、07年に実現した郵政事業民営化は、その後になされたものです。
 すでに、郵貯と財政投融資は切り離されていました。
 
 民営化後の「ゆうちょ銀行」の場合、運用資産は現在約200兆円で、その大半を国債で運用していますが、それはあくまで、資産運用者としての「ゆうちょ銀行」が自主的にポートフォリオを組んで市場で運用している結果です。
 こうした市場運用の中で、最近は国債の利回りが低下し、それでは儲からないという民間金融機関の判断として、ゆうちょ銀行は高リスク高リターン、不動産や海外インフラ投資などにシフトしようとしています。年金のGPIFも同様です。
 つまり、「ゆうちょ」も「かんぽ」も年金も、市場での運用の一環として国債を購入しているのであって、財投債という国債とひも付きではありません。


●郵政民営化の真の意味
 それではなぜ、郵政事業は民営化されたのでしょうか。
 驚くべきことに、当時、一般国民だけでなく、多くの有識者も、政治家や官僚までも、ほとんどの人々が財政投融資との関係で郵政民営化の意義を理解していました。

 実は、郵政民営化とは、このままでは右肩下がりとなる郵政三事業(郵便、郵貯、簡保)を官業のまま放置していくと、いずれ国民負担が免れないため、これを株式会社化することで、「デット・エクイテー・スワップ」(債務の株式化)という民間企業の再生手法を活用することで、三事業を持続可能なものにしようとすることにありました。

 こうした真の理由が知られないまま、郵政解散で小泉総理は国民から拍手喝さいを受け、自民党は総選挙で圧勝しましたが、政治で大事なのは必ずしも中身ではないということなのでしょう。
 何かに向けて断固たる決意で改革する姿勢こそが政治では大事です。

●行革と機能する政府
 「民業圧迫」、「官の肥大化」など、財政投融資は行革との関連で批判されがちですが、量的な政府の規模でみれば、実は、日本は先進国の中で最も「小さな政府」に属します。
 このことは機会を改めて論じますが、よく言われる中央集権・官僚主導というのも、何が問題かといえば、量的規模よりも仕組みの問題だと思います。

 仕組みの根本にあるのが「戦後システム」。
 これをどう組み替えるか。そうしたビジョンも国政選挙で本来問われるべきテーマでしょう。
 大事なのは「機能する政府」です。
 民間ではできない、国にしかできない仕事を国はきちんとできているのか、という視点も行革には必要です。

 アジアのインフラ整備の主導権は、AIIBを設立した中国が握るのか、今般「質の高いインフラパートナーシップ」を打ち出した日本が握るのかが問われています。
 もし、国際協力銀行が民間同様の市場規律のもとに置かれたまま、民間金融機関とさほど変わらないことしかできないのなら、国策や国家戦略の遂行に支障を来すでしょう。
 今回、財政投融資からの出資で、同行のリスクテイク機能が高められました。
 国内で官か民かで争っている場合ではありません。

 民間にできることは民間に任せる一方で、国は国にしかできないことを堂々と遂行すべきです。
 国内のインフラ整備などもそうです。
 今回、自民党は参院選の選挙公約で「ゼロ金利を活用した超低金利活用型財政投融資の制度を早急に具体化し、今後5年間で官民合わせて30兆円の事業規模を目指す」ことを打ち出しています。
 具体的には、リニア新幹線の大阪への延伸時期を早めることなどが話題になっています。

 官は官として民ではできない分野で能力を高める必要があると思います。
 これが本当の行革であり、このような観点から、国家の将来に向けた方向づけをする事業に財政投融資が機能を発揮することで、民間が納得してチャレンジできる環境を強化すべきだと思います。

松田まなぶのビデオレター、第39回は「機動的な財政政策へ、郵政民営化と財政投融資への誤解を解く」チャンネル桜、6月21日
こちらの動画をご覧ください。


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将来の税負担につながらない財政投融資、機動的な財政政策への第3の道。(松田まなぶのビデオレター)

●アベノミクスは成長の必要条件として正しい
 先の伊勢志摩サミットでは、世界経済がリーマン前と同様のリスクが高まっていることや、財政政策の協調についての合意を安倍総理が目指しました。
 それは消費増税再延期の布石でしたが、その場合に、その理由はアベノミクスの失敗ではない、日本経済はアベノミクスで改善しているが、世界経済が心配だからだという大義名分を得るものでした。
 ただ、もう一つ、日本が大型の経済対策をとりやすくする環境整備もあったと思います。

 サミットの場でどこまで明確な合意ができたかは議論の余地があるとしても、いまの日本経済に必要な措置なのであれば、何もこの場で合意されるまでもなく、日本として財政政策を堂々と打ち出せばよいと私は思います。
 日本経済が、消費増税で個人消費が腰折れする弱い状況であるのは事実でしょう。
 ただ、これは「アベノミクスの失敗」とはいえません。
 3本の矢のアベノミクスそのものは正しく、経済状況が以前に比べて改善しているのは事実です。

 そもそもアベノミクスは成長の必要条件です。
 成長の環境条件を整えるものであって、それに色々なことを組み合わせないと必要十分条件にはならない性格のものだと考えます。
 必要条件なのだから、それ自体は正しいものです。
 では、何を組み合わせれば必要十分条件になるのかが課題です。

●金融政策、財政政策、成長戦略
 すでに日本は金融政策は相当なことをやっています。
 成長の環境条件として金融政策は大変がんばっています。
 しかし、日銀に当座預金を積み上げても、銀行がリスクテイクしなければ市中マネーは顕著には増えません。市中マネーが増えなければ、2%の物価目標も達成できまません。
 金融政策は民間によるリスクテイクの環境条件をつくるものであり、あとは銀行のリスクテイクです。民間による挑戦です。

 その際、やはり、総需要が増えて銀行が貸出できる先が増えないと、市中マネーは増えないという壁に金融政策はぶつかっています。
 そこで、第2の矢の機動的な財政政策による総需要の追加が求められるのですが、財政政策には財政再建という制約があります。
 第3の矢の成長戦略には、それ自体が効果に時間がかかるという壁があります。
 その中で、マイナス金利にまで進んでいる金融政策に政策手段を頼り、専らそこに負担がかかってくることになると、それも限界に直面することになります。

 ここは財政政策の出番となるわけですが、プライマリーバランス目標のもとでは国債は増やせないという制約があるだけではありません。
 日本は先進国で最も政府におカネがない国です。
 それは、高齢化の進展に伴う社会保障給付の増大を賄えるだけの消費税率引上げを先延ばしし続けてきたために、社会保障に財源をとられ、他の分野は緊縮財政を強いられているからです。
 かと言って、消費税率を引き上げられないぐらい日本経済は弱い。そして国債は増やせない。政策は袋小路に見えます。
 別の知恵や工夫はないものでしょうか。

●大事なのは資産運用の質
 実は、日本は世界最大の対外純資産国です。政府にはおカネがなくても、国全体でみれば、国内では巨額の国債に運用してもなお余りあるおカネが世界に流れています。日本の対外純資産残高は2015年末で339兆円、世界ダントツ一位をずっと継続しています。
 国債発行が増えても、それだけのバッファーがあることからみても、そこに量的な制約がある状況とはいえないでしょう。国家全体の破綻にはほど遠い状態です。

 問題は、日本の金融資産の中身です。
 資産運用は本来、それによって富を生み出し、そこから収益を得るためになされるものですが、そうではない資産運用である赤字国債、つまり、将来に富を生み出さずに税負担だけを生み出す資産運用の比重が高まっています。
 大事なことは、次の世代に有用な資産を残し、生産性を高める資産運用です。ポートフォリオの質が大事です。

 こう考えれば、赤字国債は減らしていく一方で、建設国債を増やしてもいいということになります。
 ただ、建設国債も、それによって創られる資産の中身を十分に吟味しなければ、将来世代にとってありがた迷惑な資産のために将来世代が税負担をすることになりかねません。

●財政投融資と将来の税負担につながらない国債
 ここで登場するのが財政投融資と財投債です。
 これは国による融資や投資ですから、それ自体が資産形成です。
その財源は国債ですが、その償還は税金ではなく、国による融資などによって返ってくるおカネが返済財源になります。

 財政投融資の貸付先である政策金融機関(日本政策金融公庫など)の場合は、中小企業など、貸出先の経済活動を促進し、その果実でおカネが返済されます。
 財政投融資の貸付先である事業実施機関(有料道路など)の場合、それで整備されるインフラの使用料金収入が返済財源になります。これはインフラの利用者が得る便益に見合って利用者が負担するもので、一般国民が負担する税金とは異なります。

 この財政投融資の財源に充てられる国債は他の国債とは区別なく発行されていますが、その部分については、普通国債(赤字国債や建設国債やそれらの借換債)のような償還ルールの外側にあります。税負担で償還されるものではないからです。
 
 秋にも策定されると予想される経済対策に向けて、たとえば整備新幹線の財源に財政投融資を活用すべきとの議論が出ていますが、国債マイナス金利のいま、国債で財源を調達し、将来の税負担につながらない財政投融資は、経済対策の柱として大いに期待されるものです。
  かつて何かといえば行革に反するとしてやり玉にあげられてきたのが財政投融資ですが、いまこそ出番。

 今回のビデオレターでは、財政投融資の意義を見直してみました。
 松田まなぶのビデオレター、第38回は「財政投融資、機動的な財政政策への第3の道」チャンネル桜、6月7日放映。
こちらの動画をご覧ください。

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