松田まなぶオフィシャルブログ Powered by Ameba

日本を夢の持てる国へという思いで財務省を飛び出しました。国政にも挑戦、様々な政策論や地域再生の活動をしています。21世紀は日本の世紀。大震災を経ていよいよ世界の課題に答を出す新日本秩序の形成を。新しい国はじめに向けて発信をしたいと思います。


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機能していない国債減債制度と永久国債~財政財源を生み出す道はある~松田まなぶのビデオレター

 

●もっとおカネを回すために

 老後の不安と、少子化。この2つをどうするかが、これからの日本経済や国力の決め手になると思います。

 老後の不安は個人消費の低迷による経済停滞の問題に、少子化は長期的な成長力の問題につながっています。

 政府は「働き方改革」に経済政策の最重点を置いており、確かに、それによる労働参加率や生産性の上昇は不可欠ですが、肝心の需要が増え、おカネが回っている経済状態であってこその「改革」ではないでしょうか。

 国民総委縮状態のもとでは、企業も個人も身動きがとれません。

 

 今年4-6月期の実質経済成長率は、速報段階での年率0.2%が、改定値で年率0.7%に上方修正され、今年の「うるう年要因」を除去すれば、年率1.7%へとさらに跳ね上がるとされます。

 しかし、中身は、マイナスの超低金利で伸びている住宅投資と公共投資。これら政策要因による成長で、個人消費はほとんど伸びていません。

 医療も介護も貯えも、安心でそこそこ豊かな老後をほとんどの国民が描けない国。

 将来不安の中で財布の紐が固い状況がずっと続いています。

 少子化については、欧州には、子どもを3人も産めば働かなくても済むだけの給付金がもらえる国々があります。

 老後の不安も少子化対策も、いずれも社会保障費の財源問題に行き着きますが、日本の消費税率は欧州の20%前後に比してあまりに低く、税率引上げはさらに経済を停滞させるという袋小路にあります。

 

 今般、日銀は金融政策の総括的検証を行いましたが、異次元緩和でいくらベースマネーを増やしても、市中マネーの回転は未だ十分とはいえません。

 2%のインフレ目標もさることながら、国民の実感として、必要なところにおカネが十分に回っていないのではないでしょうか。

 なんとかブレークスルーの道はないものだろうか。

 こんなところにも、ヘリコプターマネーのような新機軸への待望論が出る背景があります。

 

 松田まなぶのビデオレターでは、このところ「永久国債とヘリコプターマネー」を取り上げていますが、今回は、これを日本の世界に冠たる国債償還制度との関係で論じています。

 この仕組みはあまり知られていませんが、実態は機能しておらず、永久国債を論じる上での重要なポイントになります。

 

●永久国債とは…

 そもそも永久国債とは、その保有者に対して、国が元本は返済せず、金利だけを支払い続ける国債です。

 こんなものできるのか、と言われるかもしれませんが、英国に「コンソル公債」と呼ばれる永久国債の事例があります。

 これは、18世紀初めのナポレオン戦争で悪化した財政を立て直すために、金利だけを支払う国債として英国政府が発行したもので、その後、近年に至るまでロンドン金融市場で取引されていました。

 1752年に、政府の財政問題に対処し債務をまとめる(コンソリデート)ために、最初のコンソル公債が利子率3.5%で発行され、その後、利子率は3%、そして2.5%へと引き下げられます。国債費を軽減する効果を発揮し、1888年には新コンソル債が発行されました。

 永久債であれば、民間では、いまの日本でも「永久劣後債」のような事例がありますし、元本は返さないという点では株式に近いともいえます。

 

 松田まなぶがかつて、その大半を執筆した共著「永久国債の研究」(光文社)では、その株式に近い性格に着目して、広く公共部門に「債務」(デッド)ではなく、エクイティー型のファイナンス手法の導入を提言いたしました。

 また、財政を元本返済負担から解放するという文脈でも考察いたしましたが、そのままでは財政規律がなくなるので、別の規律が必要ということも提言しました。

 

●世界に比類なき日本の国債「減債制度」

 私は、いま、永久国債を論じる意味があるのは、日本が世界に稀なる国債の「減債制度」を営んでいるからだと考えています。

 実は、日本の財務省が財政規律の根本と位置付けているのは、60年償還ルールによる「減債制度」です。決してプライマリーバランスなどではありません。

 これは、国債を発行したら、60年かけて、つまり3世代にわたって、徐々に税金で元本を返済することで国債残高を減らしていく制度です。

 

 10年満期物の国債は10年経ったら全額、税金で償還するのではありません。そんなことをしたら財政はパンクするでしょう。

 国債を償還する財源は、借換債という国債を発行して調達することで返済していますが、毎年度、国債発行残高の60分の1の金額については、借換債ではなく、税金で元本返済をする仕組みが営まれています。

 単純化していえば、借換債も含めて国債がすべて10年満期だとすれば、発行された国債は、満期が来るたびに6分の1ずつ税金で返済されていき、60年後にはゼロになって消滅するということになります。

 

 この制度を営むため、国の毎年度の予算では、国債発行残高の60分の1に相当する金額を一般会計に「債務償還費」として計上して支出し、国債整理基金に「定率繰入」をしています。

 国債全体の発行や償還に預かる国債整理基金は、これを国債の元本返済の財源に組み入れ、借換債の発行で調達した資金と併せて、国債償還に充てています。

 

●減債制度を営むために国債を発行するという矛盾

 政府が掲げるプライマリーバランス目標も、あるいは、公債等/GDP比率を安定的に低下させる目標も、財政や経済運営のよろしきを得て、結果として財政健全化を達成するものであるのに対し、この仕組みは、国債発行残高そのものを直接減らそうとするものですから、財政規律の中でも最も厳しいものだといえるかもしれません。

 

 他国はどうなっているのか、国立国会図書館に調査してもらったところ、日本と類似の、こうした減債制度を営む国はほかに見当たらないということです。

 他の主要先進国は、国債の償還財源は国債で調達し、財政に余剰が出た場合には税金で返済するというやり方になっているようです。

 つまり、世界に冠たる厳しい財政規律を課しているのが、日本の60年償還ルールです。

 

 ところが、減債制度としてこれが本当に機能しているかといえば、そうとは言えません。

 この仕組みを営むために、今年度当初予算の場合、一般会計に、国債発行残高(今年度末約838兆円)の60分の1に相当する13.7兆円の金額が債務償還費として計上されています。

 しかし、今年度当初予算での新規国債発行額は34.4兆円です。

 毎年度、この定率繰入をはるかに上回る新規国債が発行されており、いくら定率繰入で残高を減らそうとしても焼け石に水、ネットでみれば国債発行残高は増える一方です。

 

 問題はここからです。

 実際のところ、残高を減らすという意味では機能していないこの減債制度も、毎年度の国債発行に対する歯止めになっていればよいのですが、逆に、毎年度の国債発行額を増やす原因になっています。

 残高の60分の1は税金で返済といっても、その源である一般会計の財源自体が、税収以外に、多額の国債発行で賄われています(歳入に占める国債の比率は今年度予算35.6%)。

 カネに色目はありませんから、歳出に計上されている債務償還費(定率繰入)の財源は税収だと強弁できるかもしれませんが、大事なのは、この減債制度なかりせばとの比較です。

 もし、このルールがなければ、債務償還費を計上しなくて済み、その分、歳出額は減りますから、歳入のほうも同額だけ、つまり、今年度の場合、13.7兆円、新規国債発行額を減らせます。

 減債制度を営むために国債発行額が増えているという自己矛盾状態です。

 

 結局、現状は、残高の60分の1の国債を減らすために同額の国債を発行している、つまり、実質的には、国債の全額を借換債でロールオーバーし続けているのと同じです。

 よく考えてみれば、これは、元本を返済しない永久国債と同じ状態だといえます。

 

●永久国債で国債を減らす

 元本を返済しないなら定率繰入も不要になるはずですし、事実上機能していない減債制度を維持する理由もないはずですが、これについて、当時、国債の責任者だった財務省の私の同僚は、こう答えていました。

「減債制度は確かに機能していないが、理想と現実との間にこれだけのギャップがあるということを毎年度の予算で国民に示すことが財政規律につながる。」と。

 果たして、予算書を見て、こういうことを理解し意識している国民がどれだけいるでしょうか。 

 日本は国際スタンダードより厳しいことをしながら、先進国最悪の財政となり、機能していない仕組みによって自分で自分の首を絞めても金科玉条のルールを守り、やせ我慢している。そんな姿にも見えます。

 自分の首を絞めているというのは、定率繰入をやめれば、同じ新規国債発行額で、その分、財政支出を増やして、国民にもっとおカネを回せるはずだからです。

 

 ただ、そうは言っても、減債制度を全面的にやめるべきだとまでは言いません。

 私は、この国際標準以上に厳しい日本のルールは貴重だと思っています。

 むしろ、本当に国債を減らす真の「減債」制度を考えるべきです。

 

 ここで登場するのが永久国債です。

 現状がすでに永久国債状態なら、アベノミクスで日銀が多額に保有することになった日銀保有国債について、満期が来るごとに永久国債に乗り換え、これを日銀が半永久的に保有すれば、その分、国債そのものが消滅します。

 永久国債の場合にも国が負い続ける財政負担は利払い費ですが、日銀が保有すれば日銀が国から受け取る金利は国庫納付金で国に返りますから、実質的に元本も利子も国の債務は消えることになります。

 

 むしろ、現状よりもこちらのほうが本物の「減債」だといえるかもしれません。

 政府と日銀との間で一種のデット・エクイティ・スワップを行うようなものともいえます。

 こうして国債が実質的に消滅するのであれば、その分は定率繰入の必要はなくなり、財政の自由度は高まることになります。

 

 ただ、すでに400兆円にのぼる日銀保有国債の全額についてこれを行うことには、色々な問題があります。やるとしても、そこには一定の限度が必要です。

 それを考えるのが政策論です。

 次回以降は、このオペレーションが可能な条件を論じ、この議論をもう一歩、世の中に提言できる政策論へと近づけてみたいと思います。

 

松田まなぶのビデオレター、第45回は「減債制度の構造的矛盾、必然と言える永久国債の発行」チャンネル桜、9月13日放映。

 

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永久国債で政府の借金を消滅させる道はあるのか~日銀の金融政策との関係~松田まなぶビデオレター

●異次元緩和による財政再建
 日本の財政は先進国最悪ですが、累増する巨額の国債を消滅させるのは理屈の上では簡単です。それはインフレでもなく債務不履行でもありません。
 いま、日銀は異次元緩和で市場から国債を「爆買い」しており、日銀が保有する国債は約400兆円にまで膨れ上がるに至っています。
 これまでもこのブログで論じてきたように、政府と日銀を連結させた「統合政府」ベースでみると、日銀が国債を保有すれば、その分、政府の負債が日銀の政府に対する債権となって相殺されてしまいます。そして、その分、日銀の(負債)、つまりマネタリーベース(日銀当座預金)が拡大します。
 政府の借金がマネーに変換されるわけです。

また、政府が日銀の保有国債について日銀に支払う国債の利払い費は、日銀納付金の形で政府に「行って来い」で戻ってきます。「通貨発行益」で利払い費削減が削減されるわけです。
 以上がアベノミクスによる財政再建効果です。

 しかし、異次元緩和が「出口」を迎えるなど、日銀が保有国債を減らすことになると、この財政再建効果は元に戻ってしまいます。
 
 そうであれば、日銀が保有する国債を、満期が来るたびに、元本の返済が不要な永久国債に乗り換えて、日銀が半永久的に保有し続ければ、その分、国債は永久に消滅することになります。アベノミクスによる財政再建効果は永久に確定します。
 これで政府の債務は日銀に封じ込められて、完全に処理されます。このオペレーションで、その対象となった国債は世の中から消えます。究極の措置といえます。

●金融政策の自由度を制約してしまう
 しかし、最大の問題は、このオペレーションそのものが、国債を日銀当座預金(マネー)へと姿を変えさせるものですので、この増えたマネーが永久に減らないことになるということです。
 異次元緩和で拡大しているマネタリーベースとは、日銀当座預金です。国債の保有額に対応して、銀行が日銀に持つ当座預金が積み上がっているわけですが、日銀としては、これをいずれ減らすことができるということを前提に、いまの国債爆買い政策を実施しているはずです。

 もし、減らすことができないとなると、いまの異次元緩和政策で拡大したマネタリーベースは、後述の「ポートフォリオ・リバランス効果」を発揮し続けることになり、市中マネー(マネーストック、マネーサプライ)の拡大が止まらなくなると懸念するのが、日銀当局の健全な良識というものでしょう。
インフレを抑制できなくなるという心配です。

 しかし、では「出口」で実際に、日銀が保有する国債を市中に売却することになるのかというと、それによって金利が急騰し、国債価格の暴落が起き、金融市場にも経済全体にも、利払い負担が急増する財政にも、大きな弊害をもたらす懸念があります。
 06年に日銀は金融引き締めに転換し、国債を市中に売却しましたが、それがその後のリーマンショックのときに、日本が先進国最大のGDPの落ち込みを示すことにつながったという批判があります。
 そのときの反省もあり、出口でも国債売却は、そう簡単にはできないかもしれません。

 そこで、もう一つ、出口でのよりスムーズで緩やかなマネタリーベース縮小ということで、保有国債の売却ではなく、保有国債のうち満期が到来する分について、それを補充することをやめるということが考えられます。
 いま、日銀は毎年、市中からグロスで120兆円の国債を買うことで、満期が来る国債40兆円を補充し、ネットで80兆円、国債保有額を増やしています。
この40兆円の補充をやめることから出口戦略を開始することが考えられますし、米国FRBも、そうしています。
 満期到来国債の補充をしなければ、その分、日銀当座預金の減少に寄与します。政府は満期国債の償還の財源として借換債を市中で発行しますので、日銀当座預金から日銀政府口座への支払いが行われるからです。

 しかし、日銀が保有する国債が永久国債の永久保有だとすると、これも不可能になります。

●本当にマネタリーベースの縮小が必要になるのか?
 ただ、日銀が出口を迎えて以降、本当にマネタリーベースを縮小しなければならないのかというと、必ずしもそうとは言い切れないかもしれません。

 第一に、よく、マネタリーベースと市中マネーに関係について、市中マネーの量はマネタリーベースの量の一定の倍数の値に決まる、この倍数を「信用乗数」というという理論が聞かれます。式で書くと、
 M(市中マネー)=m(信用乗数)×H(マネタリーベース)
となりますが、実は、mが安定しているわけではありません。
 マネタリーベースが大きくなると、mの値も小さくなります。

 ですから、経済が活発になって、信用創造(銀行による市中への貸出など)も活発になると、例えば、過去のトレンドでmが7だとすると、異次元緩和で膨らんだマネタリーベースの7倍まで市中マネーが増えて、インフレが制御できなくなる、とは必ずしも言えないと思います。
 この議論は、民間に莫大な資金需要があって、銀行が預金準備率による制約ギリギリのところで融資拡大を続けるインフレパラダイムの時代の議論ではないでしょうか。

 また、異次元緩和とはポートフォリオ・リバランス効果を期待しているものであって、銀行が日銀当座預金を取り崩して、それを原資にして貸付などを増やすという関係にはありません。
 ですから、400~500兆円に膨らんでいる日銀当座預金が市中に出ていくというものでもありません。

 第二に、民間銀行とて、かつてほど国債を保有したいとは思わなくなっている可能性があります。
 先般、東京三菱UFJ銀行が、財務省に対して、国債発行市場で一定量の国債購入を引き受けることを約束している「国債プライマリーディーラー」という資格を返上しました。
 いままでは、国債は国が元本保証する「信用リスクゼロ」の金融商品として、バーゼル規制上、自己資本比率の分母(資産)に算入しなくて良い扱いでしたし、不良債権処理に懲りた銀行は民間への貸し付けでリスクをとるよりも、国債への運用を選好してきました。
 最近では、異次元緩和のもとでの「日銀トレード」で日銀が国債を買ってくれますから、民間金融機関も喜んで国債を買っています。

 しかし、いま、新バーゼル規制として導入が予定されているのが、「金利変動リスク」を自己資本比率の計算に入れるということです。
 国債もマイナス金利となっている状況では、金利変動リスクを考慮に入れざるを得ません。
 銀行の国債保有にもBIS規制上の制約がかかるようになりますし、銀行にとっても、あまりに多額の国債保有はリスクだとの認識が強まっています。

 ですから、出口を迎えて、日銀が異次元緩和前の水準まで銀行に国債を売り戻そうとしても、そこまで銀行は国債を買い戻そうとはしないかも知れませんし、それが望ましいともいえないようにも思われます。

●保有国債の額を維持しても金融引き締めをする手段はある?
 ただ、マネタリーベースを縮小しなくても、金融引締め政策の手段は他にもあります。
 
 第一に、日銀当座預金に付利をする、つまり、金利をつけることです。
 基本的に日銀当座預金は、預金者からの現金引き出し要請に銀行が応えられるよう、民間銀行の預金の一定比率(預金準備率)を日銀に預託しなさいという準備預金制度が核になっています。この準備預金の金利はゼロです。
 いま、量的緩和と呼ばれる金融政策で増えてきた日銀当座預金とは、この準備預金の額を上回る「超過準備」です。
 その部分の金利は、本年2月までは0.1%でしたが、それ以降、新規に積まれる日銀当座預金の部分についてマイナス0.1%としたのが、「マイナス金利」政策です。
 これは何も、日銀におカネを積むより市中への貸付におカネを回せ、と、銀行に慫慂する政策ではありません。そんなことをすると銀行は日銀に国債を売却できなくなります。日銀に国債を売った代金は日銀当座預金に自動的に積まれるからです。
 それは銀行の運用の財源として取り崩される性格のものではありません。

 そうではなく、日銀への国債売却で銀行が巨額に積んだ日銀当座預金の金利が、上記のようにほとんど金利収入を生まない、一部はマイナスだということになると、銀行はもっと金利の高い貸し付けなど市中への運用を増やして、銀行全体としての資産収益率を維持しようとする。
 異次元緩和で期待されているのは、こうした「ポートフォリオ・リバランス」効果です。

 もし、日銀当座預金に「付利」をして、その金利を引き上げれば、市中運用に比べた日銀当座預金の「不利」な度合いが相対的に低下し、このポートフォリオ・リバランス効果も抑制されることになります。
 ただ、日銀の側では、保有国債の見合いの負債である日銀当座預金に金利コストがかかるようになりますから、その分、日銀の利益が減って、国庫納付金が減るという副作用があります。
政府としては、日銀に支払った国債金利の全額ではなく、それに対応する日銀当座預金の金利分を差し引いた金額だけ、利払い費が節減できるということになります。
 
 第二に、日銀が売出手形オペをすることです。この購入代金分、日銀当座預金は減少し、日銀の負債構成は当座預金から手形へとシフトします。
 ただ、手形の金利分だけ日銀には金利負担が発生します。これもコストがかかります。

 第三に、預金準備率の引上げです。
 本年8月末時点で日銀当座預金は約300兆円ですが、これと、現状の民間銀行の預金残高との比率をもって準備預金率だと設定すれば、銀行が現状以上に信用拡大(預金の増大)をすることが抑制されます。
 現行法のもとでは、日銀当座預金200兆円程度に対応する水準まで預金準備率を引き上げることは可能なようです。

 ただ、銀行にとっては、金利を生まない日銀当座預金に多額の運用資産が張り付くことによる機会費用を挽回する道としての市中運用拡大の道が塞がれてしまうので、預金金利を下げたり、貸付金利を上げるなど、ユーザーにコストを転嫁する恐れがあります。

 このように、日銀当座預金を縮小しなくても金融引き締めの手段はありますが、いずれもそれなりのコストが発生しますので、これらだけに頼るわけにもいかないようです。。

●永久国債オペができる範囲はあるのではないか。
 以上を踏まえれば、次のことはいえると思います。
 つまり、日銀が「出口」以降のいずれかの時点で金融引締めのために保有国債を減らして日銀当座預金を縮小させる必要に迫られることがあるとしても、保有国債をゼロにすることは考えられないということです。
 本年8月末時点で約400兆円(397兆円)まで膨らんだ保有国債は、異次元緩和政策を始める直前の2013年3月末は125兆円でした。異次元緩和の3年半で271兆円増えたのですが、それ以前も100兆円を上回る国債を日銀は保有していたわけです。
 
 日銀の金融政策の自由度を制約せずに、先の永久国債オペが可能な範囲は一定程度、ありそうです。
次回以降のビデオレターで、この論点を議論していきます。

松田まなぶのビデオレター、第44回は「財政再建と金融引き締め、永久国債の出口戦略とは?」チャンネル桜、8月30日放映。
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松田まなぶの新提案、ヘリコプターマネーと永久国債を使う方法。世界一厳しい減債制度の国だからできる。

知恵は使いよう。いま話題の「ヘリコプターマネー」も「永久国債」も、そのままでは現実の政策にはならない「劇薬」です。
しかし、いくつかの原理原則さえ徹底すれば、少しばかりの発想の転換で、意外なところにブレークスルーの道が拓かれるように思います。
なぜなら、日本は世界一厳しい財政規律として国債の60年償還ルールという「減債制度」を営んでいるからです。これは他国に例がありません。
しかし、現実には、このルールを営むために、毎年度の赤字国債新規発行額が膨らんでいます。何かおかしいです。ここに、永久国債を導入して国民生活や実体経済におカネを回す余地があるのではないか。それが私の提案です。



この提案を本邦初で示したのが、本年8月20日、都内某所で開かれた勉強会「あてな倶楽部」で講師をしたときでした。題して、「永久国債とヘリコプターマネー~日銀の異次元緩和のメカニズムと新たな財政財源の可能性~」。
 皆さん、日頃から関心の高い方々でしたので、2時間かけてじっくりとお話しました。長いですが、この本文の最後に動画を掲載しています。
 以下、ごく簡単に、新提案のエッセンスを解説します。
 講演でも勉強会でも講師としてお呼びいただければ、可能な限り、出かけていきます。



●ヘリコプターマネーによる財政再建が進行中
 まず、最近の金融経済の閉塞感の中で話題になっているヘリコプターマネーですが、それは政府紙幣や日銀券を市中にばら撒くことだけを意味するものではありません。
政府の債務を通貨に変えることもヘリコプターマネーの一種です。
それであれば、今、アベノミクスが日銀による国債の「爆買い」を通じて大規模に実施しています。
 
政府と日銀を連結して「統合政府ベース」で捉えると、今の異次元の金融緩和で日銀が国債保有額を増やしている分だけ、財政再建効果が生じています。これは安倍政権の成果です。
つまり、日銀が市中から国債を購入すれば、その分、政府の債務は日銀の政府に対する債権となり、統合政府の中では相殺されます。
その分、国債の購入代金が振り込まれる日銀当座預金の形で、日銀の負債が増えます。
これがベースマネー(日銀券残高+日銀当座預金)です。
つまり、統合政府全体の民間に対する負債総額は変わらず、その中で政府の負債はマネーへと変換されます。

加えて、日銀に支払われる国債金利は、それと見合いの日銀当座預金の金利がほぼゼロ(最近では一部にマイナス金利が導入)なので、そのまま日銀の収益として国庫納付されます。
これを通貨発行益と言います。国債利払い費が行って来いで政府に戻り、金利負担もなくなります。

問題が生じるのは、2%の物価目標が達成されて金融緩和が「出口」を迎え、日銀が金融引締めなどの必要に迫られてベースマネーを縮小しようとする時です。
日銀当座預金の縮小のためには、日銀が保有国債を減らす以外、他に有効な方法はほとんどありません。その時、右の財政再建効果は元に戻ってしまいます。


●永久国債で国債を消滅させるマジック
ならば、政府が元本返済の不要な永久国債を発行し、日銀保有国債が満期を迎えるたびにこれに乗り換えていき、日銀に永久に保有させれば、財政再建効果は確定することになります。
しかし、これでは日銀は、異次元緩和で膨らんだベースマネーを永久に縮小できなくなり、将来の金融政策の自由度が制約されてしまいます。
やはり何事にも原理原則や規律が必要です。
そこで、原則の第一として、政府と日銀が協定を結び、物価目標達成の前後で局面を区別することを考えます。統合政府の発想も、上記の「永久国債オペ」も、物価目標達成前の局面に限定し、達成後は日銀の独立性と通常の政策運営に戻します。
第二に、いかなる劇薬も、物価目標達成後の政策を大きく縛らない範囲に限定します。
そして第三に、将来にツケだけを残す赤字国債の償還負担を減らすことをもって、財政規律とすることとします。
現行の国債償還60年ルールは、本来はインフラなど資産を残す建設国債向けのものです。赤字国債はその存在自体が罪であり、本来、できるだけ早く消滅させるべきものではないでしょうか。

●世界に例のない日本の「減債制度」の実態
実は、日本は他国に例のない国債「減債制度」を営んでいます。
通常、国債を償還する財源は国債(借換債)の発行で賄いますが、借換債ではなく税金で償還する部分として、毎年度、国債発行残高の60分の1ずつ、国の一般会計から国債整理基金に「定率繰入」をして、国債を減らすこととしています。
そのため、一般会計には元本返済費として国債発行残高の60分の1に相当する債務償還費を計上しています。これは、今年度当初予算では13.7兆円にのぼります。
しかし、実際には毎年度、この定率繰入を上回る新規国債(今年度34.4兆円)を発行しています。減債制度は機能しておらず、国債は増える一方です。

ここで大事なのは、むしろ、定率繰入をするために、その分、毎年度の赤字国債の発行額が多くなっているということです。これでは本末転倒です。
永久国債オペにより、国債は日銀に封じ込められ、民間に対する公的債務は消滅します。金利負担も実質的にはなくなります。
もし、日銀が保有する国債をすべて赤字国債(及びその借換債)とみなせば、永久国債オペは赤字国債を消滅させます。
これは、前記の財政規律の本旨が実現するものでもあります。
他方、建設国債は将来世代にもインフラなどからの受益があります。世代間の負担の公平の上で、消滅させる合理性は薄いといえます。
今年度予算では、定率繰入(債務償還費)のうち赤字国債の元本返済分は十兆円近くと試算されます。これと同額の「永久国債オペ」をすれば、同額の赤字国債が消滅して事実上の「減債」になります。
そうなれば、その分は定率繰入をする理由がなくなります。
ならば、その財源として増えていた新規赤字国債の発行を十兆円近く減らせることになります。

●国民におカネを届ける方法
ここで国債発行を減らさず、従来通りの新規国債発行を維持すれば、どうなるでしょうか。この十兆円近くを国民生活や実体経済に向けた財政支出に充てられるようになります。

永久国債化で消滅する国債がありますから、国債残高は従来と変わりません。
変わるのは資金の流れです。
これまでは、償還される国債が新規の国債に置き換わる「ストックからストックへ」でした。
これが、消えた国債と同額の新たな国債が財政支出へと回る「ストックからフローへ」に変わります。
日銀が異次元緩和で国債を買うことで民間への負債(ベースマネー)をいくら拡大しても、実体経済の側で実需が増えなければ、肝心の市中マネーはなかなか増えないことを、私たちは現在、経験しています。
市中マネーとは、マネーストックとかマネーサプライと言われるもので、民間銀行の預金と現金の合計です。私たちが手にするおカネです。
この「永久国債オペ」は、実需におカネを回して市中マネーそのものを拡大させるものです。

実は、日本の財政当局が財政規律の根幹に位置づけているのが、前記の減債制度です。決してプライマリーバランスなどではありません。
実際に国債残高を減らす。これほど厳しい財政規律はありませんが、現実からはほど遠いのが実態です。
なのに、なぜ、国債発行額を増やしてもこのルールを続けるのか。毎年度の予算で「理想と現実とのギャップ」を国民に示すためだそうです。

しかしながら、国民の誰もが意識せず、どの国にもなく、実際には機能していないルールを金科玉条とすることで日本経済の首を絞めることと、実質的に国の債務を消滅させつつ、同じおカネを多くの国民の生命や生活を守る救民対策、少子化対策や人的資本への投資、科学技術の振興などに回すこととの、いずれが賢明でしょうか。

もちろん、この永久国債オペにも限度はあります。
その限度として、私は、日銀の保有資産となる永久国債の額を、日銀の永久債務である日銀券の残高以下にとどめることを考えてはてどうかと思っています。
これであれば、資産負債管理の考え方ともつじつまが合います。
現在、日銀券残高は100兆円程度。物価目標2%達成まであと3年としても、永久国債は30兆円にしかなりません。
余裕は十分にありますし、すでに400近い国債を持つ日銀にとって、その程度の額の永久国債保有なら、金融政策は制約を受けません。

ただし、2%目標が達成された暁には、増えた財政支出の財源を恒久財源へと切り替える努力をすべきでしょう。
構造改革が日本経済にとっての最重要課題であることも論を待ちません。
ただ、おカネがもっと回り、個人消費も増えていく経済循環を生まなければ、合理化努力も企業の革新も現実には困難です。

ちょっとした創意工夫で、私たちは自ら首を締めている状態から自らを解放することができる。その一つの事例として、一見、荒唐無稽な永久国債の考え方を提起するものです。
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