嬉しい報告:複合型モザイク胚で元気な男の子を出産 | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

2024.8.27「嬉しい報告:モザイク胚に関して質問後に移植」で、モザイク胚のお話でしたので私も報告させてください。

以前松村先生にご相談させていただいた時の自然妊娠は10週で流産に至り、一度の人工死産(14週21トリソミー)2度の流産(9週ターナー、10週20トリソミー)という経過を辿りました。妊活の区切りと決めていた45歳もかなり目前でしたので、以前顕微授精をして唯一残った胚をお腹に戻し、妊活を終了しようと決意しました。この胚は5年前41歳の時に採卵した胚で、2トリソミーモザイク25%・11トリソミーモザイク30%・16トリソミーモザイク30%・19モノソミー30%という複合型モザイクで、当初は妊娠の確率は10%も無いので戻すだけ無駄と言われました。それでもたった一つだけの胚でとても決心がつかず、5年間ずっと凍結していたのですが、松村先生のブログを拝見させていただいているうちに、1年1年モザイク胚への見解が変わって行き、ついには複合型モザイクは高確率で正常卵なのではないのかという希望を持たせていただいたブログを読みました。

この胚が今や元気いっぱいヤンチャ盛りの9ヶ月の男の子です。羊水検査を勧められましたが、こんな奇跡でお腹にしがみついてくれた子を、何がなんでも産もう、何があっても育てようという夫婦揃っての意見で、行いませんでした。検査をしていないので、実際のところはわかりませんが、妊娠時、そして今もドクターが太鼓判を押すほどの健康な男の子です。どうか皆さん、モザイク胚でもがっかりせず、希望を持ってください。

松林先生、いつも最先端の情報ありがとうございます。今回の妊娠出産で、心の支えでした。

 

コメント:モザイク胚移植の出産報告は世界的にも多数あり、本来は赤ちゃんになれる胚である可能性が高いのではないかという論調になってきています。なお、日本では、モザイク胚移植の前に遺伝専門家による遺伝カウンセリングが必須となっています。