Q&A3924 産後採卵再開までの期間は? | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

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生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

Q 下記質問を送らせていただいた産婦人科医です。いつも丁寧に対応いただきありがとうございます。

2019.1.14「Q&A2074 産婦人科医から質問3つ
2019.7.8「Q&A2251 精索静脈瘤手術について
2019.11.19「Q&A2387 ☆産婦人科医から質問:不妊治療の怖さについて


これまで先生のブログを通じて、次回妊娠までの期間と合併症増加について勉強させていただきました。妊娠までの期間に関しては先生ご紹介いただきました論文を読み勉強しましたが、一方で採卵再開に関してご教示いただけますでしょうか。恥ずかしながら自身では該当論文を検索できていない状況です。

授乳が終わっており、正常月経が再開できる人は再開後、または元来PCOSなどで自然月経再開が見込まれない方は薬剤消退出血後の月経再開後で特定の期間を設けずに採卵を行っても、卵子獲得個数、成熟卵獲得率、良好胚獲得率、着床率、妊娠率、出産率や妊娠合併症の違いなどは認められないのでしょうか。妊娠期間までに関しては患者様に説明し納得いただくことは多くても、産後職場復帰までに採卵貯胚だけは行っておきたいと言う患者様(産後2〜6か月)が最近多く、このような質問をさせていただきました。

 

A これまでに発表された論文は、ほとんどが自然妊娠や新鮮胚移植で行われています。つまり、排卵(採卵)と着床(移植)がセットになっています。2019.6.21「☆出産後次回妊娠までの理想的な期間は?」にご紹介した論文(Fertil Steril 2019; 111: 1145)が唯一、凍結胚移植によるデータですが、採卵時期による検討はされていません。産後すぐの採卵は、おそらく問題ないとは思いますが、客観的なデータがないため、大丈夫と断定することができません。

 

なお、このQ&Aは、約3週間前の質問にお答えしております。