Q&A2074 産婦人科医から質問3つ | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

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生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

いつも先生のブログを通じ勉強をさせていただいております、一産婦人科医であります。お忙しい中大変恐縮でございますが、脈絡のない質問を3つ、ご相談、ご教授いただきたくメッセージを送らせていただきます。今後も先生のブログを楽しみにしております。

Q1 2014.10.13「
☆新鮮胚移植の条件
こちらの文献を読ませていただきましたが、先生のブログ内ではlong法と記載されておりましたが、小生が文献読んだ中ではいわゆるAntagonist法かとは思いますが、私の解釈が間違っているでしょうか。

A1 論文読み直してみました。おっしゃる通りアンタゴニスト法でしたので、修正いたしました。


Q2 2016.12.30「Q&A1320 ☆排卵をさせなければ卵子の温存ができますか?
自滅するのが圧倒的に多いと私も理解しておりましたが、ピル内服である程度はコントロールできるのでしょうか。ピルを飲んでいても自滅する卵子は多く、ピルでの卵子温存はある程度にとどまるのでしょうか。実際1か月だけでもと言ってOCを希望される患者様も今まで経験しておりますが、短期間ではあまり効果はないでしょうか。
A2
 AMHは、胞状卵胞以前の小さな卵胞(一次卵胞、二次卵胞、前胞状卵胞)の顆粒膜細胞で作られます。ピルを用いると、これらの小さな卵胞が減少し、AMHが一時的に低下します。つまり、卵胞の供給を一時的に一部停止させます(つまり卵子が無くなるスピードも減少)します。「供給を一時的に一部停止」のイメージは、水道の蛇口を絞るイメージです。ただし、1か月だけでも有効かどうか検討されていませんので何とも言えません。一方、Q&A1320のように鎮痛剤で排卵を抑えるのは、卵胞が育ってしまっていますので卵子の温存にはなりません。こちらは水道の蛇口が全開でお風呂に水をためているイメージです(卵胞供給を継続したまま、卵巣内に古い卵胞を残しただけ)。

 

下記の記事を参照してください。

2013.6.25「ターナー症候群の妊娠

2013.5.21「☆☆ピル(OC)のメリット

2013.4.22「☆ホルモン剤(ピル)の使い方でAMHが半減?


Q3 治療周期中にキャンセルになる場合、カウフマンはよくないと先生はブログの中で何度かおっしゃっていたかと思いますが、実際その場合はどのような処方をされていらっしゃるのかご教授願えますか。自然に月経発来を待たれるのでしょうか。
A3 上記のA2からピル使用を極力短期間に留めておきたいので、必要な場合のみ最少日数確実に生理調整でき、かつ副作用がない薬剤を選択しています。実際には、プレマリン0.625mg+ノアルテン5mgを朝夜1錠ずつ7日間使用しています。

 

なお、このQ&Aは、約3ヶ月前の質問にお答えしております。