Q&A3644 凍結胚盤胞移植で回復中とは? | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

Q 35歳、4歳と2歳の子供がいます(1度の採卵で凍結初期胚移植で2人授かりました)

現在、3人目の移植に進んでいますが残りの初期胚移植がうまくいかず貯胚がなくなり、新たに採卵をし、今回4AAの凍結胚盤胞移植を行いました(AHAあり)。午前中の移植で移植前の説明を受けましたが、融解前「4AA」、融解後「回復中」とだけ記載がありました。「回復中???これは大丈夫なんですか?」と聞くと「融解からそんなに時間もたっていませんしね。回復は順調に進んでいますよ!」と言われその場は安心しました。しかし、段々と妊娠の可能性が低い胚だったのではないか?と気になってきました。移植した今、何を考えても仕方ありませんが、松林先生は「回復中」をどのように捉えてるのかお聞きしたいです。

①凍結胚盤胞移植の説明時における「順調に回復中」(午前中移植)とはどのような状況なのか。それは移植して大丈夫だったのか。
②「回復中」の場合、妊娠の可能性が低いのか
③先生の経験上、移植前の説明時に「回復中」となることは稀なのか。

 

A 

①初期胚では凍結前と融解後のグレードにほとんど変化はありませんが、胚盤胞では凍結前と融解後のグレードに大きな変化が見られることがしばしばあります。胚盤胞は中のお水を抜いてから凍結するため、凍結中は「しぼんだ状態」になっています。これは、お水を抜かないと氷の結晶が胚に刺さって胚が壊れてしまうためです。そのため、融解直後は全て「しぼんだ状態」になっています。徐々に回復して、中にお水が満たされた状態になっていくのですが、それには時間を要します。通常朝一番で融解しますので、午前中の移植では「回復途中」であり、午後移植の場合は「回復後」になっていることが多いです。リプロダクションクリニックでは、「回復途中」の場合には、胚盤胞の大きさで表現しますので、G1(BL1)とかG2(BL2)と記載しています。移植に関しては、全く問題ありません。
②妊娠の可能性は十分あります。
③午前中の移植では、ほとんどが「回復中」になります。午後の移植でも「回復中」の場合もあります。

 

なお、このQ&Aは、約3週間前の質問にお答えしております。