Q&A3626 プレドニン、ヘパリン、ピシバニールについて | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

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生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

Q リプロ大阪に通院中です。採卵を終え、移植を控えています。

先日、がん検診で訪れた地元の総合病院(不妊治療もしている病院です)で下記の事を言われました。
①着床期のプレドニンなどのステロイド、ヘパリン投与は着床に逆効果の可能性がある
②ピシバニールは好酸球菌(?)の死骸だから、投与しても意味がない
実際のところはどうでしょうか。エビデンスなどあれば教えてください。

 

A このようなことをおっしゃる医師がおられるのも事実ですが、根拠になる論文を探しても見つかりません。

①プレドニン、ヘパリン投与が着床に逆効果であることを示した論文はありません。

2022.6.27「不妊症の免疫学的検査・治療」でご紹介した論文では、不妊症の免疫学的治療のメタアナリシスを実施したものであり、プレドニンもヘパリンも有意に良好とは言えませんが、逆効果であることを示すものではありません。ヘパリンの有効性を示した論文の記事は下記です。

2017.8.11「☆ヘパリンをお使いの方へお知らせ その2

2017.7.4「免疫学的不妊治療

2016.2.6「☆ヘパリンをいつから開始すべきか

2015.6.4「☆ヘパリンの胎盤形成促進作用

 

②ピシバニールは増殖不能の溶連菌(Streptococcus pyogenes Su株ペニシリン処理凍結乾燥粉末)で、癌の方の免疫機能を強化する薬剤として、1975年に日本で開発製造され、認可された薬剤です。本剤の投与により、ヒトでは、好中球、マクロファージ、リンパ球数の増加、NK細胞に対する作用、IL-8、TNF-α、G-CSF、GM-CSF等のサイトカインの産生が認められることが報告されています。生殖医療におけるピシバニールのエビデンスは不足していますが、投与しても意味がないことを示した論文はありません。

 

なお、このQ&Aは、約3週間前の質問にお答えしております。