Q&A3500 3228の続き | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

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Q 2022.3.7「Q&A3228 着床障害、カルジオンリピン抗体陽性」で回答頂きありがとうございました。

 

①2022年4月(36歳)転院先で新たに採卵したグレードAの胚盤胞を自然周期で移植(生理終わり頃からバイアスピリン使用)→胎嚢確認後ヘパリン使用→9週で稽留流産
②2022年9月慢性子宮内膜炎検査陰性→10月、グレードAの胚盤胞を自然周期で移植(バイアスピリン及びエンブリオグルー)→陰性

1 ①と②の移植時の違いはエンブリオグルーです。エンブリオグルーが着床を妨げる事はあるのでしょうか。前例踏襲なら使用を控えた方がいいかと思いますが、エンブリオグルーにデメリットは特段ないと言われ、次回移植で使用するか迷っています。
2 ①で胎嚢確認後、杉ウィメンズクリニックでヘパリンを使用しました。不育症の先生からは使用すべきと言うほどの血液検査結果ではないが、希望があれば使用できるとのことで、念のためヘパリンを使いました。もし、今後着床した場合、松林先生であれば、ヘパリンを使用しますでしょうか。流産手術の際、検査をしなかった為、①が正常児であったかはわかりません。

 

A 

1 エンブリオグルーが着床を妨げるという論文はないと思います。しかし、人それぞれ合う治療と合わない治療がありますので、質問者さんにはエンブリオグルーが合わないということが想定されます。次回からは使用しないことをお勧めします。

2 医師によって見解は異なるところもありますが、カルジオンリピンIgG抗体 23U/mlはヘパリンを使用すべき数値と私は考えています。また、流産手術の際には可能な限り絨毛胎児染色体検査を実施することをお勧めします。正常か異常かによって、その後の対策が180度変わるからです(正常なら原因不明不育症の対策へ、異常ならPGTへ)。

 

なお、このQ&Aは、約4週間前の質問にお答えしております。