Q&A3441 NIPT結果で迷っています | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

Q リプロ東京でお世話になり、現在妊娠16週の45歳です。2年半の通院中は、松林先生にも何度か採卵と診察をして頂き、大変お世話になりました。有難うございました。

今回は今後羊水検査をすべきか悩んでおります。13週で産科でNIPTと精密エコーを受診しました。1回目の結果は判定保留で、エコーは異常なしでした。私は胚盤胞を2個移植し、バニッシングツインで、胎児ゲノム率が検査には8%必要だが、7%しかなく判定保留になったとのことでした。15週で再採血を行いましたが、2度目の結果も胎児ゲノム率が4%で判定保留となりました。通院中の産科では採用していない検査会社(アイファクト?)ではゲノム率が4%なくても結果を出せるとのことで、1度目も2度目の結果も陰性とのことでした。アイファクト社の結果を信じて良いか迷っています。エコーは3つの病院で診て頂いていますが、NTや鼻の高さなど正常範囲と言われています。

①アイファクト社も日本の病院で広く採用されているのでしょうか。
②週数が進んで胎児ゲノム率が下がるということはあるのでしょうか。下がると考えられるリスクはありますか。BMIは正常です。

 

A 母体血漿中には胎児由来のセルフリーDNA(cfDNA)が含まれ、循環しています。このcfDNAを検出するのが、非侵襲性出生前検査(NIPT)です。第一世代のNIPTは「DNA量比較法」または「カウント法」と呼ばれる方法で、第二世代のアプローチは、「SNP解析」など遺伝子情報を解析する方法です。サンプルにおけるcfDNAの割合を胎児DNA断片量といい、NIPTの能力に影響します。第二世代の方法では、胎児DNA断片率が2.8%という低さでも、高い精度で胎児染色体のコピー数についての情報が得られるとされています。胎盤から得られるcfDNA は妊娠7週以降検出でき、妊娠週数に伴って増加し、分娩後数時間内に検出不能となります。胎児DNA断片量が基準値を下回る場合には結果は出ませんが、この基準値は各社で異なっています。胎児ゲノム率(胎児DNA断片量)のカットオフ値は検査会社の独自の指針ですから、私がとやかく言えるようなことではありません。

 

①調べる限りでは、イルミナ社のVeriSeq NIPT SolutionがiFACTという動的基準値を採用しているようです。日本のマーケットでどの会社のシェアが多いのか、私にはわかりません。
②胎児ゲノム率(胎児DNA断片量)は妊娠週数に伴って増加が認められますが、母体の体重増加に伴いcfDNAの割合は減少します。BMIが正常なのでしたら、胎児ゲノム率(胎児DNA断片量)が減少する理由は不明です。

 

NIPTはいかなる方法でもスクリーニング検査に過ぎませんので、ご心配であれば羊水検査をお勧めいたします。

 

なお、このQ&Aは、約3週間前の質問にお答えしております。