Q&A 3377 妊娠中のE2が低いです | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

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生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

Q 原因不明不育症のため、免疫グロブリン、ピシバニール、プレドニン等は経験しましたが、それでも残念な結果になった為、今回はそちらは触れずに質問させてください。

数回流産経験がありますがいつも妊娠後のE2が低いです(黄体機能不全ですが、自然周期の方が妊娠後の数値がまだマシな為、自然周期での妊娠が多いです)。
E2値
BT7‥150
BT14‥448
BT21‥430
BT28‥415
BT35‥370  

ちなみにBT7の判定日にE2が低いということで、ウトロゲスタン1日2錠→4錠へ、プロギノーバ1日1錠→2錠へ、P25を2日に一度打つようになりBT14で数値は上がったもののその後緩やかに下がっています。普通は妊娠後上がっていくホルモンと言われましたが上がらず、毎回赤ちゃんは週数通りの大きさ&心拍数なのに胎嚢が小さく2週間遅れです。ちなみにP4は20前後あります。

そこで先生にお聞きしたいのですが、
①E2が上がらない原因はなにが考えられますか(ホルモン補充周期の方なら分かるのですが自然周期なのでそこも気になります)。
②胎嚢が小さいこととE2が低い事に関連がありますか。
③免疫異常と染色体異常以外に胎嚢が育たない原因はありますか。
④黄体機能不全の場合このホルモン剤の量で足りますか。

 

A 

①自然周期でのE2の出どころは、その周期に発育してきた卵胞内の顆粒膜細胞からです(排卵後の卵胞の抜け殻から)。したがって、E2が上がらない場合には、良い卵胞からの排卵が起きていない可能性を示唆します。私なら、自然周期の卵胞発育の途中でHMG製剤を数回投与します。
②自然周期での妊娠初期のE2は排卵後の卵胞の抜け殻から出ていますので、胎嚢(胎盤)の大きさとは関係ありません。胎盤からのホルモンは、もう少し先で出るようになります。
③胎嚢が育たない原因は不明です。
④自然周期での妊娠初期のE2は、本来排卵後の卵胞の抜け殻から出るのですから、後付けのE2補充が有効かどうかは不明です。なお、黄体機能不全とは、一般的に黄体ホルモン(P4)低下を意味しており、E2低下を意味しません。

 

下記の記事を参照してください。

2021.6.27「☆黄体機能不全:学会のオフィシャルコメント2021

 

なお、このQ&Aは、約3週間前の質問にお答えしております。