Q&A3151 絨毛膜羊膜炎の原因は? | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

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生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

Q 2019.7.26「Q&A2269 妊娠中に気になること」と2021.6.5「Q&A2951 妊娠18週感染+出血性流産で回答いただきありがとうございました。

その後、死産した産婦人科へ絨毛膜羊膜炎の原因となった菌が何だったのか、問い合わせましたが不明だったのでいくつか検査を受けました。
●一般細菌培養同定→婦人科にて
●ウレアプラズマ、マイコプラズマ→近くで検査できる病院はなかったので郵送検査キットを利用しました。
●子宮内フローラCHECK KIT
淋菌、クラミジア、トリコモナス、B群溶連菌、カンジタはすべて陰性で、検出されたのはエンテロコッカス、スタヒロコッカスのみで治療の必要はないとの事でした。子宮内フローラはラクトバチルス99.9%でした。

①何も治療しなくて良いでしょうか。
②検査結果からすると絨毛膜羊膜炎の原因となった菌は自然になくなったということでしょうか。
③妊娠中の予防策としてNugentスコアの検査ですが、細菌性腟症の検査で「一般細菌培養同定」の検査でも良いのでしょうか。培養では菌種の特定はできるが、ウレア、マイコプラズマなどひっかからない菌があるので、Nugentスコアのほうがいいという事でしょうか。塗抹検査とNugentスコアの検査の違いが分からないので教えていただきたいです。
④子宮腺筋症の疑いがあるのですが、移植前に出来ることは何かありますでしょうか。出産時に毎回破水しているのも関係があるでしょうか。

現在、胚移植へ向けてラクトフェリン、リプロのBASIC、ビオスリー、を飲んでいます。リプロ大阪で慢性子宮内膜炎と不育症の検査予定をしております。
 

A 

①エンテロコッカス(腸球菌)とスタヒロコッカス(ブドウ球菌)は常在菌です。細菌対策としての治療は不要です。
②絨毛膜羊膜炎の原因菌は不明です。自然に無くなったのか、検出できていないのか、どちらかでしょう。
③現在の産科学では、Nugentスコアのほうが良いという事です。参考までに、細菌性腟症のNugentスコア(J Clin Microbiol 1991; 29: 297)の算出方法は下記です。


スコア   ラクトバシルス   ガルドネラ/バクテロイデス   他の桿菌
0        4+          0           0
1        3+          1+         1~2+
2        2+          2+         3~4+
3        1+          3+
4        0           4+
 
④子宮腺筋症の疑いのレベルでは、何もしない方が良いです。

 

なお、このQ&Aは、約2ヶ月前の質問にお答えしております。