本論文は、2型糖尿病の方は不妊率が高く、流産率が高く、出産率が低いことを示しています。
Fertil Steril 2021; 116: 505(スエーデン)doi: 10.1016/j.fertnstert.2021.02.009
要約:スエーデンのSkaneヘルスケア登録者を対象に、1998〜2019年に18〜45歳の女性で2型糖尿病と診断された方230名と2型糖尿病でない方179,434名の比較を行いました。なお、初回妊娠(出産、流産)前、あるいは不妊症の診断がつく前の方のみを対象としました。PCOSと肥満の有無で補正したオッズ比は下記の通り(全てに有意差あり)。
2型糖尿病 無 有 修正オッズ比(信頼区間)
出産率 83.8% 62.6% 0.73(0.66〜0.81)
不妊症 10.2% 35.2% 2.69(2.22〜3.26)
流産率 12.9% 24.4% 1.78(1.41〜2.23)
妊娠歴あり 96.6% 83.5% 0.87(0.82〜0.93)
解説:2型糖尿病の方の妊孕性に関するデータはほとんどありません。2型糖尿病はPCOSと肥満の合併が多いためリスク因子の検討はこれらの要因を除外する必要があります。本論文は、2型糖尿病の方は、PCOSと肥満の有無で補正してもなお、不妊率が高く、流産率が高く、出産率が低いことを示しています。この情報は、これから妊活を目指す2型糖尿病の女性にはあらかじめお知らせしておく必要があるでしょう。