Q&A3058 第12因子低下でコロナワクチンは? | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

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生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

Q 第一子妊娠の際に、リプロのオプション検査をさせて頂き無事、出産できました。リプロの対策がなかったら、子供は抱けてなかったと思います。大変、感謝しております。ありがとうございます。

そして、第二子をお迎えにいこうと思い、昨年、またリプロにて不育症検査をさせて頂き、第12因子が43%でした。コロナが流行り、そして育児も悪戦苦闘しており、治療をストップしました。年齢的な事もあり、もしかしたら子供は一人で終了するかもしれません。

 

コロナワクチンは血栓ができる可能性がある。と聞きワクチン接種を躊躇しております。打ちたい気持ちはありますが、血栓も怖いです。松林先生は、どうお考えでしょうか。

 

A 第12因子低下による血栓の作用機序と新型コロナウイルスワクチンによる血栓症(TTS)の作用機序は全く異なるものです。したがって、第12因子低下でワクチンによる血栓リスクは変化しないものと推察されます。もっとも、mRNAワクチンであるファイザー社およびモデルナ社のワクチンを打つ場合にはTTSは全く考慮しないで良いです。アデノウイルスベクターワクチンであるアストラゼネカ社およびジョンソン&ジョンソン社のワクチンを打つ場合にのみTTSの可能性がわずかに生じるかも知れません。どちらの種類のワクチンも使用可能と考えますが、より安全度の高いmRNAワクチン接種をお勧めいたします。

 

COVID-19 関連血栓症アンケート調査結果報告(日本血栓止血学会、日本動脈硬化学会)2020.12

TTS の頻度は0.01〜0.001%ですので、新型コロナウイルスワクチンを打たなかった場合に、新型コロナウイルスに感染した方が血栓リスクが高くなります(1.85%)。ワクチンを打っておいたほうが安全度が高いと思います。

 

下記の記事を参照してください。

2021.6.26「Q&A2972 プロテインS活性低下でコロナワクチンは?

2021.6.25「Q&A2971 抗リン脂質抗体でコロナワクチンは?

2021.6.25「☆新型コロナウイルスワクチンと血栓症(TTS)

 

なお、このQ&Aは、約2ヶ月前の質問にお答えしております。