本論文は、2回目のmicro-TESEについての検討です。
Fertil Steril 2021; 115: 915(トルコ)doi: 10.1016/j.fertnstert.2020.10.005
Fertil Steril 2021; 115: 881(米国)コメント doi: 10.1016/j.fertnstert.2021.01.052
要約:2014〜2018年に非閉塞性無精子症(NOA)のため初回のmicro-TESEを実施した435名の中で、精子回収出来なかった125名が2回目のmicro-TESEを実施しました。精子回収が出来た23名(18.4%)と出来なかった102名の違いを後方視的に検討しました。なお、オペは初回も2回目も全て一人の術者が実施しました。精子非回収群と比べ精子回収群では精巣容積が有意に小さくなっていました(11.3 vs. 8.2 mL)。また、クラインフェルター症候群(7/14=50%)では他の患者背景の方と比べ、精子回収率が有意に高くなっていました。病理所見での精子回収率は下記の通り(有意差あり)。
精子回収率
精細管硬化/ライディッヒ細胞過形成 54.5%(6/11)
セルトリ細胞のみ 10.1%(7/69)
精子成熟停止 18.6%(8/43)
精子低形成 100%(2/2)
解説:本論文は、2回目のmicro-TESE精子回収できる方の特徴を後方視的に検討した最大症例数のものであり、精巣容積が小さいこと、クラインフェルター症候群、精細管硬化/ライディッヒ細胞過形成、精子低形成であることを示しています。2回目のオペを説明する際に役立つ情報であると言えます。
コメントでは、NOAの患者さんの治療はチャレンジであるとした上で、初回のmicro-TESEで30%程度の方で見落としがあるとの報告もあり、培養士の技術のみならず、オペを実施する術者の技術が極めて重要であるとしています。精子が入っている精細管を術者が取り出さなければ、いくら優秀な培養士でも精子を見つけることはできません。