Q&A2929 他の病院を探さなくてはいけないのですが… | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

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生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

Q 41歳、第二子希望

36歳 AMH 6.18。人工受精で妊娠。胎嚢確認後、心拍確認出来ず稽留流産
37歳 慢性子宮内膜炎治癒後、3度目の胚盤胞2段階移植で妊娠、8w5dで稽留流産
38歳 リプロ東京へ転院。先生に採卵して頂き、2度目の胚盤胞移植(2個移植)で妊娠。出産まで至りました!ありがとうございました!不育症で引っかかったのはビタミンDだけでした。
41歳 第二子希望で残りの胚を移植。胚盤胞2段階移植で妊娠。経過順調でしたが、卒業の診察時心拍停止しており3度目の稽留流産
41歳 自然妊娠。現在6w5dですが、切迫流産の為自宅安静中。エコーでは、心拍が遅かったので、今回も厳しいのではと考えております。

今回もダメだったらまた採卵からとなります。貴院での治療が希望なのですが、先生を指名できない事、子ども連れての受診が出来ない事、仕事と治療の両立が難しい事(通院に往復4時間かかります)、経済的理由があり、諦めざるをえません。他の病院を探さなくてはいけないのですが…、
①私は染色体異常が多いように思います。この場合、どこの病院で採卵しても卵の質や染色体異常数の確率は同じでしょうか。
②リプロ東京での採卵はアンタゴニスト法で1個初期杯と4個胚盤胞が取れ顕微受精でした。最近は、黄体フィードバック法もあるようですが、私にはどんな採卵法があっていると思われますか。刺激薬剤や、使用量によってそんなに採卵結果が違ってくるものでしょうか。
③PGT-Aも考えましたが、高額で助成金も使えなくなるということで出来ません。この場合、良好胚に出会えるまで流産しながら移植するしかないのでしょうか。

 

A 

①本当に染色体異常が多いかどうかはPGT-Aを実施してみないとわかりません。一般的に41歳では68.9%が異常です。どこの病院で採卵しても卵の質や染色体異常数の確率は同じだと思いたいのですが、海外のデータを見ると正常胚率には施設間格差がかなりありますので、実際には違うようです(おそらく薬剤選択や培養環境の違いによる)。
②過去に妊娠出産されたときと同じ方法を踏襲するのが良いです(卵巣刺激法も移植法も同じが良い)。
③PGT-Aを実施しない場合には、複数胚移植で対処するしかないでしょう(例えば、異常率2/3なら3個移植)。

 

下記の記事を参照してください。

2016.8.9「☆女性の年齢別染色体異常頻度 その2

 

なお、このQ&Aは、約2ヶ月前の質問にお答えしております。