Q&A2836 医師や看護師は少ない!? | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

Q 私が住んでいる県では大病院の統廃合が話題となっています。
 
県の人口は約230万人、県庁所在地の人口は約108万人です。先生ならお分かりでしょうが、医学部がかなり久しぶりにできたところです。県立がんセンター、日赤病院 労災病院を一つにし、拠点を人口約5万の市に移転するという案が出ました。3病院が1つになるとベット数が約1300になり、大学病院を300ほど上まわります。しかし、これでは住民は困るわけだし、有病率や受療率からいっても確実に赤字になります(誘致に乗り出している市長はかなりやり手です)。
 
ここからは国政の話になりますが、高齢化社会が進むので医師は増やす必要はないという見解です。沢山の医師、看護師が体をこわしています。何を考えているのかわかりません。
 

A 病院の集約化(センター化)は、医療資源の無駄を省くことに繋がりますので、医師や看護師などの医療スタッフを効率よく配置することができ、結果的に医療経済学的にロスが少なくなります(医療者や国家にプラス)。しかし、患者さん側からみると(ほとんどの方で)病院が遠くなり、病院にかかりにくくなります(患者さんにはマイナス)。どちらが良いとか悪いとかいうことでなく、人口減少の現代においては、病院を集約化せざるを得ないのが現状だと思います。日本は国民皆保険制度のため、全国どこでもほとんど同じ高いレベルの医療が受けられますが、そのような国は北欧諸国以外にはないように思います。もちろん北欧諸国でも医療の効率化のため集約化を計っていますので、日本と比べ病院はさらに少なくベッド数も少なくなっています。日本の良いところを活かしつつ、今後の医療政策が進むことを期待しています。

 

なお、このQ&Aは、約3ヶ月前の質問にお答えしております。