Q&A2568 ホルモン移植周期の黄体ホルモン量 | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

Q 現在通っている不妊クリニックではエストラーナテープとルトラールしか使用しません。
生理2日目からエストラーナテープを張り、生理18日目からルトラールを1日3回(朝昼夜1錠ずつ)です。前のクリニックでは膣座薬などを使用していたこともあり、ルトラールだけでは黄体ホルモン補充が不十分ではないかと思っています。現在通っている医師にもこの質問を訪ねてみたのですが「当院では座薬がなくても妊娠している人が多く問題ない」とのことでした。黄体ホルモンの量が足りないから着床しにくいということは、ないのでしょうか。私は生理が不規則ですし、ホルモン調整で凍結融解胚の移植しか方法はありません。黄体ホルモンが不足していると着床、妊娠に影響を及ぼすのではないかと不安があります。内膜の厚さ以外の、着床しやすい黄体ホルモンの目安の値などおし教えて頂けないでしょうか。

 

A 最新の報告によると、ホルモン移植周期に限らず着床に必要な黄体ホルモン量は4.0 ng/mL以上あれば十分です。しかし、採血で黄体ホルモン濃度が確認できるのは、膣座薬とプロゲステロン筋注製剤(短時間作用型)のみで、ルトラールやデュファストンなどの内服薬やP125などの筋注デポ製剤(長時間作用型)は血中濃度に反映されません。「当院では座薬がなくても妊娠している人が多く問題ない」のは、あくまでもその院内での成績であり、他院と比較した場合に成績が良くない可能性は否定できません。

 

下記の記事を参照してください。

2018.3.12「☆ホルモン補充周期の黄体ホルモン製剤:膣剤単独で流産と化学流産が増加!?

2017.9.9「黄体ホルモンと着床の関係

2015.9.4「☆黄体ホルモン濃度はいくつあれば良い?

 

なお、このQ&Aは、約2ヶ月前の質問にお答えしております。